「三部作」としての評価はともかく、SFとしても、映像としても、ある分野の先駆けとなった第一作目の価値は非常に大きいと思う。
そしてまた『マトリックス』をはじめ、世界中のクリエーターに大きな影響を与えた「攻殻機動隊」について、『意味不明』と言うことは『王様はハダカだ』と口にするくらいヤバイことだったりするが、一つ理解の糸口が見えれば、次から次へと引き込まれるはずだ。
モフィアスが言う「You are the prisnor of your mind」「Free your mind」は、思い込みに囚われた、すべての現代人に捧げたい言葉である。
§ 映画『マトリックス』について
マトリックス [Blu-ray] (Blu-ray)
by キアヌ・リーブス, ローレンス・フィッシュバーン, キャリー=アン・モス
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昼間は冴えないぼんくら会社員、裏の顔は「ネオ」の名で知られる天才ハッカー、トーマス・アンダーソンは、伝説のサイバー・ヒーロー「モフィアス」から「You are the One.」であると告げられる。
今、君が生きている世界はコンピューターの作り出した仮想現実であり、実体はMatrixと呼ばれる機械の中に取り込まれているのだと……。
日本のアニメ(押井守の「攻殻機動隊」)にインスパイアされて制作された、ウォシャウスキー兄弟監督のSFサイバー・アクション。
特に、スローモーションを駆使したアニメチックな映像は、その後のハリウッド映画に多大な影響を与え、「マトリックス前」「マトリックス後」なる言葉もあるくらい。
巷では「オタク映画の極致」だの、「何が言いたいのかサッパリ分からん」という批判もあるが、アメリカのニューソート哲学を少しでもかじっていれば、この作品の本当のメッセージが理解できる。
SFではなく哲学として見て欲しい、20世紀後半を代表する傑作である。
勢いで三部作まで作られしまったけど、Matrixは最初の一作だけ見ればいいやって感じ。よほどのファンでもない限り、続編を見ても、感動が薄れるというか、かえってワケわからん状態になるだけではないかと思う。
私も「Matrixの続編」については、第一作とは別物の映画として受け止めている。ネオをスーパーマンにしてしまった時点で、最初の哲学性が薄れてしまったような気がするから。
第一作だけなら、史上に残る傑作と評価させて頂こう。その意味が理解できれば、目の覚めるような映画である。
この作品が誤解を生みやすいのは、「The One」の日本語訳が「救世主」であり、人間VS機械のバトルものと受け止められやすいからだと思う。
オリジナルのシナリオでは、「One」はあくまで”One=「ある一つのもの」を表す代名詞”であり、Oneの意味するところは、レジスタンスのリーダー、モフィアスの「探し求める人」、ヒロイン・トリニティが「恋するであろう相手」、そして、大いなる意志に選ばれた「唯一の存在」等々、いろんな含みがある。
「救世主」と訳せば、いかにも勧善懲悪もののヒーローのように感じるが、ネオは決して救世主ではなく、物語における一つの象徴なのである。
確かに、この映画は、エージェントと呼ばれる悪役と格闘したり、アニメみたいに銃弾をかわしたり、ヘリコプターで高層ビルに激突したりと派手なアクションが多い。
また、「仮想現実」とか「コンピューターの支配」といった設定も、いかにもSFぽくて、それだけで蹴ってしまう人も多いのではないかと思う。
が、作者の言わんとするところは、「君の心が現実を作り出す」というアメリカのニューソート的なメッセージである。
モフィアスが目覚める前のネオに言う、「You are the prison of your mind(君は、君の心の囚人)」というセリフが、全てを物語っているのではないだろうか。
本作の『Matrix』とは、人間に代わって地上を支配した機械が、永続的なエネルギーを得る為に、人間を「電池」として管理する為のシステムである。
全ての人間は、人工子宮の中で生産され、赤ん坊になると、生体維持装置のチューブや電気プラグに繋がれて、一体ずつカプセルに閉じこめられる。
そして、コンピューターは、彼らの脳の刺激に応じて「現実世界を彼らの脳の中に作り出し(仮想現実)」、人間は一生それに支配されて生涯を終えるのである。
物語は、コンピューター会社に勤める平凡なサラリーマン、トーマス・アンダーソン(ハッカーとしての名前は”ネオ”)が、
謎の美女トリニティと、ハッカーの世界ではカリスマ的な英雄モフィアスに出会うところから始まる。
そして、今、彼が「実在している」と思っている現実が、実は、コンピューターの作り出した仮想現実であり、実体は、機械社会のカプセルの中で、チューブに繋がれて眠っているのだと知るのだが、これは私たちの現実社会にスライドしても十分に通じる理屈ではないだろうか。
つまり、私たちが見ている「現実」というのは、私たちの中の「こうにちがいない」「こうあるべきだ」という無意識の思い込みに支配されている。
たとえば、「私は太って醜い」という思い込みがあれば、どんな角度から見ても醜いようにしか見えないし、「私は何をやってもダメだ」という思い込みがあれば、出来ることでも出来なくなってしまう。
Matrixでは、モフィアスが、トレーニングシステムの作り出した仮想現実の中で、ビルからビルをひらりと飛び越えるシーンがあるが、それはまさに「思い込みからの開放= free your mind」であり、心を自由に解き放てば、今まで見えなかった現実が目の前に開け、不可能と思い込んでいたことが可能になるのである。
言い換えれば、Matrix とは、人間の恐怖、不安、疑いといったものの象徴であり、それこそが真に人間を束縛するものの正体なのである。
映画のラスト、自分が「The One」であることを確信し、最強のパワーを手に入れたネオは、いまだ多くの人々が囚われているコンピューターの仮想現実の中で、まるでスーパーマンのように空に舞い上がる。
これこそ『魂の自由』――モフィアスら、レジスタンスが目指す、『Matrixからの解放』に他ならない。
Free Your Mind.
君が心の奥底に抱く「思い込み」から自由になれば、君は空だって飛べるんだ。
それがこの作品の真のメッセージなのである。
/video/matrix_trailer.flv
この映画に関しては、英語のセリフで見た方が理解しやすいと思います。
全体的に割と平易な英語で書かれていますので、興味のある方は、英語のサブタイトル付きでご覧になって下さい。
参照記事→『
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