あなたを幸せにしない恋愛コンテンツとの付き合い方

今も昔も、悩める乙女の皆さんは、自分の求める答えを探して、恋愛指南本、女性誌、女性向けウェブサイト、等々、朝から晩まで巡回しておられることと思います。

「恋愛コンテンツ」は「育児」に並ぶ、永久不変の鉄板ネタで、似たような話の使い回しで、20年でも、30年でも食っていける。

それはさながらビジネスマンの自己啓発モノと同類です。

内容なんて数十年前からさして変わらないのに(自己啓発なんて、基本はローマ時代から変わってないですよ)、ちょっと言い回しを変えるだけで、今日も、五年後も、十年後も、それで食っていくことができる。

提供する側にとっては、こんな美味しいテーマはないです。

なぜって、恋愛ほど、自分の思い通りにならない物事もない。

美人だろうが、国立大卒だろうが、年収1億だろうが、世界のセレブだろうが、自分の意のままに愛し愛され、映画みたいな幸福を生涯満喫できる人など、まあ皆無ですよ。

そして、多くの場合、躓きの石はみな同じ。

だから、恋愛コンテンツも、ツボさえ掴めば、あとはいくらでも同じネタの使い回しで何年と稼ぐことができる。

そして、それを求める人も、女性が美容院に通うがごとく、途切れることがない。

ゆえに、永久不滅のコンテンツとして、ネットの世界でも生き延びてゆくわけですね。

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今も女性向けのウェブサイトはたくさんあるし、そこには決まり事のように恋愛コンテンツも掲載されている。

そこに書かれた「男性はこんな女性を求めてる! 独身男性100人に聞きました!」「もっと愛される女性になる! 夢が叶う七つの法則」とか、読んだことがある人、多いでしょう。

でもね。

自分で実際に恋愛コンサルト業などを営んで、年間数百人、数千人の女性と対話し、いろんなケースを見て知って、それを書籍にしている人ならともかく。

どこの誰が書いてるかも分からない、在宅主婦が「一本 ○○円」で受注してるような恋愛コラムもけっこうあります。

女性のペンネームを用いて男性が書いている場合もあります。

一度、コツさえ掴めば、実際に見聞きしなくても、いくらでも話は作れるんですよ。

ちょっと経験のある、想像力豊かなライターなら、おちゃのこさいさいで一本仕上げますよ。

「最近のあなた、こんなことで悩んでませんか」

「そこで、独身男性にアンケート。

・気が利いて、いつも笑顔でいる女性がいいな(25歳・建築業)

・仕事が多忙だから、会えない時も、辛抱強く待ってくれる人がいいですね(30歳・出版業)

・太めとか、鼻ぺちゃみたいなのは気にならないけど、食べ方が下品な女性はドン引きです(32歳・塾講師)」

みたいな話、そこら中にあるでしょう。

こんなのも、いくらでも作れるんですよ。

男性でも、女性になりきって「恋の悩み」ぐらい書けますし。

別にそれが罪悪ではないけれど、「そういうもの」という意識ももって読まないと、一から十まで純粋に信じて頷いてたらバカを見ることもありますよ・・という現実が一つ。

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第二は、そこに必ずスポンサーや利益繋がりの意向が働くということ。

世論──というか、人間の印象は、言葉でどうとでも誘導できます。

たとえば、ブライダル産業がスポンサーに付いてたり、著名人でも誰それ繋がりでお互いにヨイショし合ってたり、「こういう流れになったら商売あがったり」みたいな部分もある。

そうなると、不都合なことって、言えなくなるんですよね。

たとえば、女性誌にはたいがい化粧品メーカーがスポンサーについてる。

「私はナチュラル派」という記事でも、真っ向から化粧品を否定する話は絶対に出てこない。

せいぜい、「こういう使い方は危険です」「こういう成分に気を付けて」というぐらい。

そんでもって、「美肌は洗顔から」という話に持って行って、「やっぱり、こういう洗顔石鹸がいいよね!」という印象をもつようになる。

なんでも巧妙だし、その他の『不都合な真実』は出てこないのが『商業』というものですよ。当然といえば、当然ですけども。

もちろん、その全てがウソとか誇張というわけでもないです。

中には「なるほど」と頷ける話もたくさんあるし、為になる情報もたくさんあります。

でも、意識の隅っこで、「なんで、この人は、こういう事を言うかな」と考える。

その人が売ってる物、仲良くしてる人、よく顔を出す媒体など、注意深く見ていたら、プラスアルファの部分も浮かんできます。

やっぱ、世の中は、しがらみですからね。

何人たりと、これから完全に独立して言論するのは難しい。

どんな強い人でも、どこか誰かの顔色を窺い、自身の損得を気にし、言葉をオブラートに包みながら、あるいは、そこから導かれる印象を計算しながら、やってるものです。

ゆえに、それも何でも純粋に信じて鵜呑みにしてると、不倫ブームに乗っかって遊んでたら、旦那・子供にバレて家を追い出されたとか、望まぬ妊娠して一生台無しになったとか、みんなバイトでのんびり暮らしてるからと油断してたら貧困老人になってコンビニ弁当も食えないとか、取り返しにつかない事にもなりかねないので、何でも差し引いて考えた方がいいよ、という話です。

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そんでもって、多くの人は、自分に都合のいい答えだけを探してる。

不倫に後ろめたさがある人は「不倫も立派な恋のうち。誰にも迷惑かけてないんだし、自由じゃない」という意見に頷くし、結婚してないことにコンプレックスのある人は「独身の方が断然おトク。子育てなんか人生最大の負債」という意見に「私の味方」を求める。

その対極にある意見には耳を傾けようとしないし、自分を疑うこともない。

結局、何千、何万というウェブサイトを巡回して、あれもこれも目を通しても、見てる箇所は同じ一点、ゆえに現実も自分自身も何も変わらない、という結果が待っている。

それは「考え」や「解決」ではなくて、自分で納得したいだけなんですよね。

そしてまた、提供する側も、そういう心理をよく分かってる。

だから、いくらでも悩む女性に迎合することが書けるし、「こう書いたら喜ぶ」という計算もある。

ゆえに、何年でも儲かるし、永久不変の稼ぎ頭であり続けるわけです。

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とはいえ、人間、最初からそんなに強いわけではないし、賢くもなれない。

そういうスッタモンダを繰り返して、ある日、突然、自分のバカさに目が覚めるものだと思います。

また、最初から何もかも見越して、「私は間違いもしないし、失敗もしません」というのも味気ない。

一生に一度くらいは、男に振り回されて、朝から晩まで恋愛コラムや占いにどっぷり浸かる経験も、後々、振り返ってみれば、一つの糧になってるんじゃないでしょうか。

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これからも恋愛コンテンツは不滅だし、一本○○円で引き受ける恋愛系ライターも引けを取らないだろうと思います。

だからこそ、ちょっと距離を置いて見る気持ち。

そして、時には、自分と対極にある「耳の痛い意見」にも耳を貸す度量が、あなたを幸せにするのではないでしょうか。

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