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「パパはいじめない」虐待死のA君、親かばう 1月 28日, 2010年 by 阿月 まり

東京で小学1年のA君(7)が両親から暴行を受けて死亡した事件。

ニュース記事を読んだとき、松本清張の傑作『鬼畜 』を真っ先に思い浮かべた。

参照記事 → 本当の『鬼畜』は誰? 松本清張の描く「子捨て」と「子殺し」

日常的に虐待され、アザだらけになっても、「パパはいじめない」と言う。

他人に告げ口したのがバレて、あとで返り討ちに遭うのが怖いから?

違う。

それでも親を信じているからだ。

「自分の親は、そんな悪いことをする人じゃない」

「叩かれるのは、ボクが悪いから」

それが『子供』というもの。

どんな悪魔みたいな親でも、親は『親』。

だから、優しい顔をした親の利己主義に苦しむ。

どこかおかしい、と気付いても、疑うことができず、自分を責める。

そして、自ら滅び行く。

「パパはいじめない」

それは恐怖心ではなく、そう信じたい子供心だ。

どんなに殴られても、憎まれても、いつか、親は、自分だけを愛してくれるのではないか、と。

サザエさん一家みたいに、温かいちゃぶ台を囲んで、とりとめもない話でアハハと笑い転げる、そういう平凡で、当たり前の幸せが、いつかきっと自分の所にもやってくると希望を持っているから(自分が「いい子」になれば)、誰に、どんなに促されても、親を責める言葉は出てこない。

自分を殺そうとした親にさえ愛と信頼を捧げ続ける。

それが『子供』だと。

そういうことを改めて考えさせられた事件だった。

「お父さんから、いじめられてないか?」。男性は海渡君が千草容疑者の連れ子だと知っていたため、虐待を受けていたことも知らずに声をかけた。「いじめられてません。悪いことをしたら怒られるけど」。はきはきとした返事に、男性は異変を感じなかった。

一家の様子が変わったのは昨年夏。近所の住民たちは、「ぶっ殺してやる」という大人の声と、「ギャー」という子どもの叫び声を何度も聞いていた。数軒先に住む男性はアパートの窓越しに、大人が子どもを床に落とす光景も目にした。

区の「子ども家庭支援センター」も昨年9月、A君の胸や腹にアザがいくつもあるのを、診察中に見つけた歯科医から通報を受けていた。A君は医師に「パパはいつもぶつんだよ」と話したという。

この事実は学校にも伝えられ、校長、副校長、担任の3人がアパートを訪ね、A親容疑者が「二度と殴らない」と話したため、報告を受けた同センターも児童相談所も「対応は不要」と判断していた。

児童虐待の初期対応を担う区の「子ども家庭支援センター」は今回、「学校側が状況を把握出来ている」との理由で両親に面会していなかった。児童相談所にも文書で情報提供しただけで、同相談所も「センターが対応している」として、A君が学校を休みがちになる10月以降、状況を把握することはなかった。

 厚生労働省では「学校任せではなく、三者の密な連携が必要だった」として、児童相談所を運営する都道府県に対し、「虐待の情報提供後、原則48時間以内に子どもを目視する」「安全確保のための一時保護を辞さない」ことを求める通知を出した。

これだけの大人が関わっても救えなかった。

なんと痛ましいことかと思う。

『自由の尊重』も良し悪しだ。

結局のところ、火の粉をかぶるのは行政だってゴメン……という部分があるかもしれない。

それにしても、この両親。父親、33歳。母親、22歳。

子供が7歳ということは、14~15歳にかけて出産したということか。

なら、母親の母親は、40代~50代。まだ「現役」と呼ばれてもおかしくない世代である。

娘夫婦が1年以上前から虐待の日常化した家庭生活を送っていて、母親の母親は何も気付かないのだろうか。

孫の顔を見た時、どう見ても殴られたとしか思えないような傷があれば、普通は問題の根深さに気付くと思うのだが。

もう止めようがなかったのだろうか。

男と結婚した時、祖母である実母の家から引き取ったということは、「自分で育てよう。いい家庭を作ろう」という気持ちがあったはずだろうに、逆に、虐待に加担したということは、親子関係よりも男女関係を取った、ということだろう。

男に下手に忠告して、逆ギレされるよりは、無関心。

日々繰り返される暴力の中で、やがて感覚が麻痺して、自分も加担。

殴れば殴るほど、苛立ちが増す。

本気で「死ねばいい」と思う。

そんなところか。

そういう親(人間)の心理を『鬼畜』にたとえた松本清張。

自分を海に投げ捨てた父を庇い、警察の尋問にも無言を貫いた息子の哀しい横顔が思い出される。

※ちなみに、この小説は、実際にあった事件をモデルに書かれています。

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