勝間か、リカか。人生は迷いと後悔の繰り返し

『シーシュポスの神話』と『まじめの罠』ー努力が報われない時、どうするかという記事を書いた関係で、今も続いている「勝間和代 VS 香山リカ」に関するいろんなコンテンツに目を通してみた。

もちろん、この「VS」の構造が出版社や当事者サイドの話題作りであることぐらい大抵の人は百も承知だし、それが分かった上で「勝間が悪い」「いや、リカだって、本当のところは分かってない」云々、言いたいこと言ってるわけで、真剣にジャッジしてる人など少数だろう。

私はどちらの言い分も分かるし、友達が挫折して落ち込んだらリカのように慰め、口ばっかりで何一つ実行せず文句たらたらの人がいたら勝間のように恫喝するだろう、要は相手の人柄やシチューエーションによって当然処方箋も異なるということ。医療でも、「身体の痛み」に対して温罨法と冷罨法があるのと同じ。本当にタチが悪いのは、「温罨法が絶対的に正しい」と信じて、この使い分けができないことだ。主張そのものじゃない。

(ちなみに、打ち身・化膿に代表されるような急性・炎症性の痛みには冷罨法(アイシング)、肩こり腰痛のような慢性の痛みには温罨法が基本デス。間違えると痛みが悪化します)

それにしても、どうしてバブル世代の申し子のような勝間のイケイケ理論と、リカの癒し理論を対決させ、どちらがより正しいかジャッジしようとするのだろう。

思うに、多くの人は、その中間をさ迷ってると思うの。

勝間のように「努力しなきゃ、がんばらなきゃ」と思う。でも、疲れた時は、リカのように「ヨシヨシ」して欲しい。どこかで気持ちに決着つけて、「ありのままの自分」を受け入れようと思う。

その葛藤の中で、あーでもない、こーでもない、と、日夜、答えを探し続ける。

それこそ、勝間のように、思い描いた通りの成功(?)を手に入れた人でもない限り、ズンズン突き進むのは難しいんじゃないでしょうかね。特に、結婚したり、子育てしたりで、生き様が変わりやすい女性の場合は。

そんな中、「これが正しいのよ!」と結論づけ、背中を押してくれる人がいたら、とても楽になるじゃない。

だから、実際のところ、勝間とリカと「どちらが正しいか」を決めるより、どちらがより自分を納得させてくれるか、という点で見ている人が多いんじゃないかな、という気がする。

でもね、結局のところ、自分にとっても、世間にとっても、100パーセント正しい理論なんて、ないのよ。

ゲーテも言ってるじゃない。「人間は、生きている限り、迷うものだ」って。(ゲーテ格言集 (新潮文庫)

勝間さんはどうか知らんけど、人間って、どの道を通っても、どこかで悔やむものなのよ。池田理代子さんも書いておられますよ。「後悔のない人生なんて、ない」って。(あきらめない人生―ゆめをかなえる四〇からの生きかた・考えかた

あれも正しい、こうかもしれない、答えの見えない道を探して探して歩き続けるのが人生の本質であって、たとえ今、一つの答えに納得しても、状況が変われば、「ああ、やっぱり違う」って思うものなんじゃないかしら。

そもそも、30代、40代で、「これだ!!」という納得の生き方に辿り着けると考えること自体が幻想というか、思い上がりなのかも。

そんな半ばで悟りを開いたところで、60代になっても、70代になっても、同じ価値観、同じライフスタイルを維持しているとは限らないしね。

30代後半~40代って、社会の現実を突きつけられ、己の限界を思い知らされる年代でもあるし、その中で「まだまだ頑張れる、頑張るべき」と思うか、「これでいいんだ」と納得するか、その違いは大きいだろう。

勝間 VS リカが一つのテーマになるのは、多くの人が心の底に同じ葛藤を持ってるからじゃないかな、と思う。

どちらにせよ、もう引き返せないところまで来ているのは確かだし、今までの自分を振り返ってクヨクヨ落ち込むよりは、手持ちのカードで何が出来るかを考えた方が建設的。10代20代の頃の夢は叶わなくても、これからまだ手に入れられる幸せはあるはず。

「あなたの生き方、それで正しいんですよ」と誰も言ってくれないからこそ、この世の中を広く知ろう、人生を楽しもう、という探求心も湧いてくるんじゃないですか。

何事にも「迷い」があるのは凡夫の常だし、探すこと、考えることが人生の本質だとしたら、結論づけた時点で終わっちゃうんじゃないかと思う。──というか、それが分かれば、明日から「仏陀」と呼ばれますよ。

あの方達は主張するのが仕事だからあのように言い切っておられるけども、ミドルエイジの悩みって、1か0かで割り切れるほど単純なものじゃないし、今日は1で納得しても、明日には心が揺れるかもしれない。そういう不安の中で生きている。

辛い時代だけども、でも、いつか、報われる日が来ると思うよ。私ね、やっぱ、心映えのいい人とか、コツコツがんばってる人とか、必ずそれに見合うものを受け取ると信じてるから。あの世か、この世か、それは分からんけども。

だから、それまで目の前の課題を着実にこなしていくしかない、仕事でも、家庭でも。朝6時に起きて、ちゃんと定時に出勤して、掃除機かけて、洗濯して・・そういうつまんないことの積み重ねでも。

大したこと出来なくてもさ、「いい加減なヤツ」とだけは思われたくないじゃん。

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