薬師丸ひろ子&真田弘之の角川映画『里見八犬伝』

やっぱ、角川映画は面白い。

この『里見八犬伝』も20年ぶりに見たけれど、歳月をまったく感じさせないほど魅力的だった。

いかにも「東映太秦映画村~!」という感じの発砲スチロールの柱が倒れてきたり、イトーヨーカ堂のチビッコ・ショーに出てきそうな怪物が登場したり、スピルバーグやジョージ・ルーカスのCGバリバリの映像に比べたら随分見劣りはするけれど、それがかえって映画ならではの醍醐味を醸し出している。

大道具さん、小道具さん大活躍の、オール手作りのセットを見ていると、本来、『映画』って、こういうものじゃなかったの?──ということを、懐かしく思い出させてくれるのだ。

*

そして何より、役者が上手い。

登場しただけで空気が変わる。

ひとつ間違えば滑稽でしかない作り物のセットの中で、なんと見事に化け物や剣士を演じておられることか。

その姿を見ていると、いつしか発砲スチロールが気にならなくなる。

学芸会のセットみたいな魔宮がリアルに輝き出す。

さすが「プロ」、さすが「役者」と感嘆せずにいないくらい。

魅力と才能に満ちあふれている。

*

それにしても、「玉梓」を演じる夏木マリのなんと妖艶で魅力的なこと。この映画の真のヒロインといってもいいぐらい、その存在は際だっている。(もとふじぃ~!!という叫び声がいい。玉梓はお母さんなんだよね)

マザコンにして男の色気ムンムンの、「蟇田素藤(ひきた・もとふじ)」(=目黒祐樹)も秀逸だし、蛇の化身である「妖之介(ようのすけ)」も、ネチこいいやらしさを醸し出して気味が悪いぐらい。

薬師丸ひろ子の「きゃぁあぁあぁ~」という気の抜けたような叫びっぷりも笑えるし(「オレたちひょうきん族」でパロディをやっていた)、声だけ出演している松坂慶子も、「姫」というよりはマダムという感じ。色っぽい。

千葉真一は相変わらずカッコいいし(彼になら、斬られても本望かも)、デビューしたての頃の京本政樹も本当にみずみずしい。

この頃から一躍知名度が高まった真田広之は、初めて見た時は、「えー、こんなお猿顔が次代のホープなの」と思ったものだが、やっぱり千葉真一は見る目があったね。今や日本を代表する国際派俳優。(葉月里緒奈とのスキャンダルはガッカリだったけど・・)

そして、志穂美悦子や岡田奈々のなんと美しく清冽なこと。

今時、赤い口紅がピタリと顔に収まる女優さんがいるだろうか。

*

この作品は今でも海外で高い評価を受けているそうだが、頷ける話だ。

単純に「面白い」。

それがどうした、と言わんばかりの迫力が見ていて爽快、日常の垢をさっぱり洗い流してくれるからだろう。

私も角川映画が一大ブームだった頃は、あまりの思想のなさにうんざりすることもあったけれど、今では「いいものを見せてもらった」とつくづく思う。

ほんと、いい役者さんが、いっぱいいたんだなぁ、って。

このトリュビュートがよく出来ています(^^)

Youtubeより

玉梓姫が親兵衛に出生の秘密を明かす場面。夏木マリ様の妖艶なこと。。目黒祐樹の色男っぷりも流石。

*

これが発泡スチロールばりばりのラストファイト。80年代の角川映画らしい演出。
役者の力量もさることながら、殺陣も素晴らしいです。
セットも、なまじCGなんか使うより、発砲スチロールの方が温かみや重量感があって、よっぽどいいね。
これぞ「映画作り! 東映太秦村!」って感じ。大好きです。

*

これが話題になった薬師丸ひろ子と真田広之のラブシーン。けっこう目のやり場に困る。


関連アイテム

 

悪霊につかえ、不死身の妖怪となった玉梓は、かつて里見家に征伐された恨みを抱いて館山城に攻め入った。里見一族は虐殺され、静姫だけが生きのびる。その姫の前に仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の各字を刻んだ八つの霊玉を持った八剣士が集まる。妖怪軍団の巣窟ヘ攻め入り、激闘の中で一人一人命を失ってゆく八剣士の中、親兵衛と静姫は最後の力で玉梓に挑むのであった。。。角川映画35周年記念 デジタル・リマスター版

80年代の角川映画、当時を代表する役者たちの魅力がぎゅっと詰まった必見の娯楽大作。
悪役も、剣士達も、それぞれの個性が十二分に生かされて、演技を見るだけでも価値があります。
深作監督も見せ場を作るのが上手いし、ごちゃごちゃ考えず、エンターテイメントとして楽しんでください。

わが国の伝奇小説中の「白眉」と称される江戸読本の代表作を、やはり伝奇小説家として名高い白井喬二が最も読みやすい名訳で忠実に再現した名著。長大な原文でしか入手できない名作を読める上下巻。

いわゆる図解本。
手っ取り早く作品を理解するにはもってこいではないでしょうか。

Site Footer