映画

ウィル・スミスのいない映画『インデペンデンス・デイ: リサージェント』&1996年版

2017年2月4日

クリントン大統領の時代、火星人型エイリアンの巨大円盤の襲撃から「20年後」を設定した『インデペンデンス・デイ:リサージェント(復活)』を観ました。

周囲の評判通り、特撮は凄いけれど、ストーリーはいまいち。

Amazonのレビューも散々で、完全に期待外れの続編になってしまいました。

完敗の理由は、『ヒーローの不在』でしょう。

前作のように、ウィル・スミスという魅力的なリードキャラクターがいて、それに引っ張られる形で、皆が一丸となって反撃する設定と異なり、今回はリードキャラクターの印象も薄いし、そもそも誰の目線で描かれているのか分からない。あちこちで話が同時進行する為、その度に流れが途切れ、盛り下がってしまう。せっかく前作のキャラクターを引き継ぎながら、それが全く活かせず、私でも思い付きそうな囮作戦でエイリアンクイーンをおびき出し、クイーンが倒れた途端、他はすごすごと引き上げていく、肩透かしな作りでした。特撮が凄いだけに、余計で物足りく感じますよね。

私としては、ジェフ・ゴールドブラムの面変わりに、ただただ「時の流れ」が身に染みるばかり。
ああ、あれから20年も経ったんだなぁ……と。観客を落ち込ませてどーする!?

これは ヒラリー will be を想定した女性大統領の設定か。でも、現実の大統領選は映画を遙かに超えましたよね^^;

トランプさんも、これくらい人を集めたかったろうに。

唯一の救いは、マッドな科学者の昔と変わらぬ笑顔。

エイリアンクイーンも、既にジェームズ・キャメロンの『エイリアン2』が強烈なインパクトを与えてますから、真新しさは無し。
クイーンしか思い付かなかったのかなぁ。もう少し、ひねりが欲しかった。

『インデペンデンス・デイ』(1996年)の魅力

それに比して、前作(1996年制作)『インデペンデンス・デイ』の面白かったこと。

最大の魅力は、主人公のヒラー大尉を演じたウィル・スミスでしょう。

私の記憶する限り、アフリカン系の俳優がアクション大作の主人公を演じたのは本作が初めてではないかと思います。もちろん、それ以前にもアフリカン系の俳優が主役を務めることはありましたが、それはヒューマン・ドラマだったり、コメディだったり、少なくとも一級のアクション映画のヒーローとして登場したことは無かったはずです。エディ・マーフィーもコメディ系ですしね。(違ってたらゴメンナサイ)

そんでもって、当時の映画雑誌に、エメリッヒ監督のコメントとして、「落ちこぼれが世界を救う」がテーマだと紹介されていたのが記憶に残っています。(20年前の事なので、定かでないが)

実際、本作で活躍するのは、社会の底辺、もしくは落ちこぼればかり。

プログラマーのデイヴィッド=ITの天才だが、出世コースから外れた冴えない男

ジャスミン(ヒラー大尉の恋人)=ストリップダンサー

ラッセル・ケイス(最後に円盤に突っ込む)=皆にバカにされる農家のオヤジ。

ホイットモア大統領=支持率低下中。

オーキン博士=エリア51に籠もりっきりで、完全に世間ズレしたオタク研究員。

ヒラー大尉もNASAの採用試験に不合格となり、決して突出したパイロットではありません。

いわばボロボロの寄せ集めのチームで総攻撃するのが本作の魅力で、そのノリはあくまで漫画であり、壮大な冗談。

だから、何も考えずに楽しめるし、後味も爽快なんですね。

本作は、とにかくテンポがいい。この場面は公開前から繰り返しCMで流れていましたから、皆、何が登場するか知っている。
だから、物語の冒頭で早々と登場して、あっという間に攻撃が始まる。リサージェントが前半でもたつくのとは対照的です。

今でこそ「ホワイトハウス襲撃」もポピュラーですが、20年前はインパクト大でした。
あの頃はまだアンタッチャブルな存在でしたからね。

この巨大円盤を目にする度に、「アカウニの尻の穴」を連想するんですよね。
うちの親戚が漁師で、ウニが大きな収入源だったんです。
どうやってウニの身を取り出すかというと、最初にナタみたいな裁断包丁で横向きにスライスして、耳かきみたいな器具で身を剥がします。
ウニの身は非常に柔らかく、崩れると商品にならないので、「私もやりたい」と言っても、絶対にさせてくれませんでした。
ウニ一つ、けっこうな値段がするそうです。

ウニ↓ 正しくは「口」です^^;

Photo : うに専門店 小林商店

エイリアンの秘密の信号にいち早く気付くITの天才、デヴィッド。ジェフ・ゴールドブラムも『ジュラシック・パーク』の出演を機に勢いづいてました。

本作で一躍スターダムに上り詰めたウィル・スミス。今観ても、魅力的。彼を見出したエメリッヒ監督も慧眼ですね。

ヒラー大尉の恋人で、勇敢な女性ジャスミン。トンネル火災に遭遇したら、一も二もなく、このスペースに避難すべし!を強く印象づけた名場面。(本当だよ)

「宇宙人に誘拐された」という過去のために、ずっと笑い物にされてきた農夫のラッセル・ケイス。家族は貧しいトレーラー暮らし。ゆえに生き延びる……という設定も、エメリッヒ監督が言うところの「落ちこぼれが世界を救う」なのでしょう。

それにしても、農薬散布のセスナ機しか経験のないオヤジが、どうやって一夜で最新鋭の戦闘機の操縦をマスターしたのでしょう。
このあたりが無茶苦茶なのだけど、それも笑って許せるノリがあるんですよね。

ここぞという時に「ミサイル発射装置の不具合」というのも、非常にわざとらしい演出なんですけど(アクション映画のあるある大百科みたいな)、けっこう泣ける場面なんですよね。

一人、突撃するオヤジ。涙を誘う。。

ちなみに、この映画をホワイトハウスでご覧になったクリントン大統領(旦那)は、「僕も戦闘機をマスターしないといけない」とジョークを飛ばしていた、という話を雑誌で読んだことがあります。

なんだかんだで、まだ余裕があったよね、この頃は。

あれから20年が経ち、再びクリントン大統領(嫁)がホワイトハウスで『インデペンデンス・デイ:リサージェント』を観る──という落ちなら面白かったのですが、現実は映画のようにはなりませんでした。

そして今、ハリウッド映画でも、政治や経済やITの中枢で中国系が当たり前のように活躍し(日本人ではなく)、エメリッヒ監督が生涯のテーマと定める「人類が一丸となって」というメッセージも、昨今の世界情勢においては、だんだん説得力を失いつつあるのも時代の流れに感じます。
1996年は、ビル・プルマン演じるホイットモア大統領の「人類は決して滅びはしない。今日が我々のインデペンデンス・デイ!」という演説が感動的でしたが、2016年になると大した演説もなく、様々な民族が結集して……という雰囲気でもなかったですしね。

「若くて経験の浅い大統領」という設定が、さりげにクリントン(旦那)を意識しているような……。

イラン、イラク、イスラエル、その他、様々な民族が一丸となって……という設定も、1996年にはまだ希望があった。
2016年になると、現実があまりに重くて、ギャグにもなりません……。

日本の自衛隊基地にも指令が届いたようです。なぜに『出口』なのか……。日系人の役者さんらしく、日本語の発音が微妙にネイティブじゃないのがポイントです♪

ちなみに、デヴィッドのお父さんはユダヤ教。ゆえに息子の名前がデヴィッド(=ダビデ。古代イスラエルの王。ペリシテ最強の戦士ゴリアテを打ち倒す英雄)。細かな所までこだわって設定してるんですよね。

1996年といえば、まだ「Windows95」の時代ですからね。Googleも、スマホも、Facebookもない。

振り返れば、恐ろしく急速にIT化とグローバル化が進み、社会の意識も変化し、国際情勢も東西二大陣営のイデオロギー対決から全く異なるものに変質して、たかが「20年」が、50年にも、100年にも感じます。

リサージェンスが細切れみたいな話になったのも、今さら「人類が一丸となって」みたいなメッセージが心に響かなくなった理由が大きいかもしれません(むしろ、逆に向かいつつある)。

エンディングのやり取りを見る限り、次作はいよいよエイリアンの本拠地に攻撃を仕掛け、エイリアンを根絶やしにする……という話になりそうですが、今度、制作する時は、ジェイソン・ステイサムあたりを主役に据えて、素手でエイリアンと格闘して欲しいです。(『インデペンデンス・デイ:アドレナリン』)

さらば宇宙戦艦ヤマトのパクリではないか

インデペンデンス・デイはどう見ても『さらば宇宙戦艦ヤマト』のパクリではないかと、公開当時から思っていました。

パクリというのは大げさにしても、これって、どう見ても、彗星帝国じゃん、、、みたいな。

ラスト、巨大円盤の側面に総攻撃を仕掛けるショットも、非常によく似てるんですよね。

真田さんが、『ウニのお尻』=戦闘機の発射口に敵の弱点を見出し、そこから内部に侵入して、中枢に爆薬を仕掛ける……という設定も同じだし。
まあ、いいんだけどね^^;

リサージェントでは「テレザートのテレサ」みたいなのが出てきて、びっくりしたわ。
これ、次作で、「さあ、参りましょう」とか何とか言って、主人公のパイロットと共に敵機に突っ込んだら、怒るぞ、ほんまに^^;

Amazonのアイテム

1996年版はおすすめですよ。思想がありそうで無いし。最後にちょっとオヤジが泣かせるし。
気分転換にどうぞ。

リサージェントはレンタルで十分。

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