子育てコラム

密室育児でよかったと思う

2006年2月9日

うちの息子は、抗生剤内服後ということもあり、二週間、一時保育休止を指示されています。

最初、それを聞いた時、早産騒動の退院後間もないこともあって、

「二週間?! それでは、私の身が持ちませ~ん(T.T)」

って、泣きたいぐらいだったのですが、担当医いわく、

「抗生剤の内服後は、抵抗力が落ちているので、新しいウイルスに感染する危険性が高いです。そして、今、一番注意しなければならないのは、母胎の感染です」

まったくもって仰る通りなので、この二週間は、安静第一に、自力で乗り切る覚悟をしていたのですが、これが意外とスムーズで、びっくりしているところです。

というのも、息子は始終機嫌が良く、ほとんど泣かないし、癇癪も起こさないからです。

「あの癇癪騒ぎは何だったの?」というくらい、穏やかで、元気で、オムツ替えと食事以外は、ほとんど手が掛からないような感じです。

もちろん、私もお腹が重いし、以前のように子供を抱き上げることは出来ませんが、床の上抱っこでも十分満足してくれるので、息子は息子なりに、何かを察して、協力してくれているのかもしれません。

だけど、それ以上に嬉しいのは、子供の様子を、一日中、側で、つぶさに見られることですね。

「あれ、今日はこんな事ができるのか」
「こんな言葉、いつ覚えたのかな」

なんて、毎日が発見の連続ですし、これがいわゆる「育児の楽しさかしら」って、いっぱい堪能させて頂いているところです。

しかし、今度の件に関しては、ちょっとした皮肉なんですよね。

というのも、一月の中旬、私は夫にこう話していたからです。

「ねえ、二月から、保育園の回数を減らそうよ。
 私も体調が良いし、出来るだけ、家で、自分で見たい。
 だって、息子と二人でイチャイチャ出来るのも、生涯最後のチャンスだし」

そして、回数を減らすも、何も、医師から休止の指示が出て、結局、保育園は、ほぼ一ヶ月間、お休みに近い状態。

その間、熱を出したり、激しく咳き込んだり、私が入院したりと、息子には、決して楽な期間ではなかったですが、それでも、ずっと家に居ることができて、しかも、両親がいつもより手厚く面倒を見てくれて、嬉しかったのではないかと思います。

ちょうど、その折り、実家の母から手紙が着いて、

「ユキちゃんには、保育園は早過ぎるのかもしれないよ。あんたもしんどいだろうけど、もう少し、家で、夫婦で、見ておやり」

と書いてあって、確かに、そういう一面もあるかもしれない……と考えさせられたのでした。

ともあれ、あと10日ばかり。

お腹の方も、きつい張りはなく、家事も買い物も最小限にして、のんびり過ごす予定なのですが、いろいろ考えたら、「うちには密室育児が合ってるなあ」と思うことしきりで、弊害よりも、メリットの方に目が行くようになりました。

確かに、密室育児は、母親の精神状態が不安定になりやすいけれど、決して抜け道が無い訳ではないし、時間が解決してくれる部分も多いでしょう。

たとえば、「いつの間にか指しゃぶりが無くなった」とか、「親の言う事が解るようになった」とか。

確かに、育児のハードルは次から次にやってきて、一段落したと思ったら、また次の問題がやって来て、休む間なしの一面もありますけど、その分、母親も、どんどん知恵と力がついてくるし、少なくとも、「生後一ヶ月の乳児を抱えてウロウロ」の頃に比べたら、はるかに耐性は強くなっているような気がします。

今は、密室育児と言えば、虐待の代名詞みたいになっていて、専業で、密室育児やっている母親は、総じて虐待容疑者のような見方をされている部分がありますけど、身体にアザが出来るような、明らかな暴力行為ならともかく、「それが虐待か、否か」という判断は、個人の認識による部分が大きいでしょう。

たとえば、感情にまかせて、子供に二、三発、平手打ちを食らわしただけで、「ああ、虐待してしまった」と罪の意識にかられる人もあれば、昼間オムツもほとんど替えず、授乳も、TV見ながら、携帯で喋りながらで、幼い子供が夜の11時、12時まで、起きて騒いでいても、「私はちゃんと育てています」と言う人もあるし。

後者は虐待には入らないかもしれないけど、子供を粗末にしているという点では、大して代わらないような気がします。

それに、一口に虐待といっても、母親が直接手を下すケースが100%という訳ではなく、母親の同棲相手とか、その子と直接関わりのない男性パートナーが、「自分に懐かない、ムカつく」という理由で暴力ふるっているケースも多いわけで、もう少し、その実態というものが明らかにされないと、密室育児に悩んでいる母親を、無意味に怖がらせるだけだと思うのですが、どうでしょう。

私は、自分の心的体験を振り返って、つくづく思うのですが、「密室育児」そのものが悪いのではなく、「援助を得にくい」という点に大きな問題があるんですよね。

また、母親自身、なかなか発想の転換が出来なくて、いつまでも子無し時代のライフスタイルにこだわったり、ちょっとイヤな事があると、すぐ「自分には向いてない」と即断したり。

そこで、『楽しさ』ではなく、デメリットばかりに目が行けば、誰だってこんな生活はイヤになるし、他人の生き方が羨ましく思えても、仕方ないかもしれません。

しかしねえ。

密室育児は、突き抜けたら、楽しいですよ。

私は、最近、こう呼んでるんです。『蜜月育児』って。

だって、子供と過ごす最初の数年間って、子供との蜜月であり、夫との蜜月でもあるから。

もう10年もしたら「ママより友達」、20年もすれば「ママよりカノジョ」、30年もしたら、「女房子供が大事」で、家になんか寄りつきもしないだろうし。

40歳の息子が、あなたの首に抱きついて、「ママ、大好き」なんて言ってくれます?

50歳になった息子は、あなたの葬式を出して、心の片隅では、ホッとしてるかもしれないんですよ。

そんな事を考えたらさー。

抱けるうちに、抱いておきたいわ、しっかりと。

私は、密室育児の利点は、「子供の成長過程をつぶさに見て取れる」というのもありますけど、最大の良さは、「子供が求めた時、いつでもギュっと抱きしめてやれる」ことだと思います。

これって、子供にとって、最高の贅沢ではないでしょうかね。

私は、それが叶わなかったから、余計でそう感じます。

確かに、密室育児は辛い。

母親の精神状態も不安定になりやすいし、抜け道も得難い。

それだけに、子供がきちんと成長した時の、充実感とか達成感もひとしおではないかと思います。

子供の保育時間が長いと、私はやはり子供を遠く感じてしまいます。

自分と子供の間に、ワンクッションあるのです。

「自分の手で育てている」という実感も薄れてくるし、時間的、体力的に余裕ができても、自信を喪失するばかりで、精神的に落ち着きません。

そして、自分がそのように感じるから、子供もどこか振る舞いが不自然になるのでしょうね。

少なくとも、我が家にとっては、それが長ければ長いほど、良い結果をもたらさないように感じます。

うちの母親は、「ユキちゃんには早過ぎる」と言ってましたけど、その実、私自身が、「子供を人任せにするには早過ぎる」のかもしれません。

密室育児みたいな、身動きのとれない状況に置かれて、「くそー」と思ったこともいっぱいありましたけど、今となっては、これまで考えもしなかった価値観や生き方を知ることができて、本当に良かったと思っています。

私の身体的理由から、二月中旬には一時保育を再開する予定ですが、夫と協力して、なるべく早くお迎えに行って、時間短縮の方向で行くことを検討しています。

あと10日。

これが人生最後の蜜月になっちゃうのかな。

なんて早いの、ホントに。

この「早さ」に、後から気付いた時には、もう遅いんですよね・・。

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