夫婦関係は何度でもやり直しがきく

夫婦関係のいいところは、何度でもやり直しがきくことだと思います。

もちろん、やり直しのきかないケースもありますが、日常的な範囲で言えば、夫婦関係というのは、無限のやり直しの機会を与えられた特殊な人間関係であると言えましょう。

たとえば、恋人の場合。

考え方の違いや倦怠期や些細な言葉のとり違いから機嫌を悪くし、「もう電話にでない」とか「メールがきても返事しない」とか、一方的にコミュニケーションを断ってしまうことが可能ですよね。

そして、そのまま疎遠になり、文字通り「お前とは終わった」といつでも関係を清算してしまえる。

ある意味、恋人というステータスに不安を感じ、女の子が終わりの見えている恋でも必死になってしまうのは、この「いつでも清算」という関係の頼りなさがそうさせている部分もあると思います。

しかし、夫婦になると、ちょっとイヤなことがあったぐらいで「お前とは終わった」なんてことは言ってられません。

まして子どもがあれば、たとえ夫婦間の亀裂が決定的だとしても、明日からすぐ他人になることなど不可能です。たとえ結婚生活が終わっても、「父」と「母」という形でその繋がりは死ぬまで続きます(子どもにとっては、あなたの死後も)。

恋人同士は「あんな人、キライ。顔も見たくない」で済んでも、夫婦の場合、相手の顔を見たくなくても、見ざるをえない、子どもがいれば話さざるをえない状況におかれるわけです。

これは別の角度から見れば地獄のような繋がりですが、反対から見れば、無限にやり直す機会を与えられているといえます。

切りたくても容易に切れない現実生活が、日々、人間の心持ちを鍛えるわけですね。

たとえば、恋人同士なら、ケンカして一ヶ月ぐらい合わない間にすっかり心が冷え切ることもあるでしょう。

でも、夫婦は、一ヶ月も顔を合わせないわけにいきませんから(実家にでも帰らない限り)、どうしたってコミュニケーションをとらざるをえない状況になります。

今日の夕食はいるのか、いらないのか。先週出したクリーニングは仕上がっているのか。今度の法事はどうするのか。運動会は義父母も参加するのか。etc。

そういう小さなことがキッカケとなり、また持ち直す。相手を見直す。

夫婦関係というのは、そういう凸凹を繰り返しながら、生活の延長に続いて行く形状記憶合金みたいなものかもしれません。

おそらく結婚を躊躇する人の多くは、この「絶対的に拘束された状態」に不安と不信を抱くのかもしれませんが、ある意味、これほど運に守られた関係もなく、「簡単に切れないからこそ掴める幸せ」というのもあると思います。

そんな関係は、他に親子ぐらいしかありません。

怒っても、恨んでも、愛想が尽きても、失望しても、なんだかんだで一緒に生きて行く。

それって、ある意味、奇跡的にすごい人間力だと思います。

Site Footer