航空ショー

先日、ポーランドの主要都市の一つ、Radom(ラドム)で、大規模な航空ショーがあった。

世界各国から名うてのパイロットが集まり、華やかなアクロバティック飛行を競う、有名なイベントである。

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Radom周辺は大変な混雑で、ようやくイベント会場であるエアポートに到着した時には、入場を待つ人の群れに揉まれて、一歩も進めぬ状態。

上空では、何分かおきに、数機の編隊を組んだ飛行機が赤色や青色の煙を吐きながら、旋回、回転、急降下といった見事なアクロバット飛行を披露し、その度に、皆が足を止め、あちこちから歓声が上がるような、大変なお祭りムードだった。

とはいえ、親に肩車されたり、ベビーカーに乗せられた小さな子供たちが、この人混みと長時間のノロノロ歩きに耐えられるわけもなく、歓声に混じって、あちこちからグズグズ泣き叫ぶ声と、それを叱咤する親の甲高い声が聞こえるようになった頃、一機の小さなコンドルのような飛行機が上空で見事なアクロバットを披露し始めた。

まるでジェットコースターのように上昇と降下を繰り返し、その度に、観客の目が釘付けになる。

その凄まじい急旋回に、昔読んだ戦闘マンガの内容を思い出し、「あんなアクロバットを繰り返して、ブラックアウト(極端な重力の変化により意識を喪失すること)しないのかな……」と思った瞬間、突然、遠くに真っ黒なキノコ雲が立ち上った。

「事故だ」

夫がつぶやいて間もなく、先頭を歩いていた人々が、徐々に引き返し始めた。

「飛行機が墜落した」

「ショーは中止だ」

人から人に伝えられ、それまで前を向いて、携帯電話をかけたり、モバイル・ニュースをチェックしていた人々も踵を返し、今来た道を引き返し始めた。

それから1時間後、私たちは、ベラルーシから来た2人のパイロットが、この墜落事故によって死亡したことを知った。

どちらも20年以上の経験を持つベテランで、地上20メートルぐらいまで降下した際、浮上するのに必要な速度が得られなかった事が事故の原因らしい。

onet.pl 事故のニュースより

この航空ショーでは、昨年も、2機の飛行機が正面衝突し、やはりパイロットが死亡する事故があった。

そんなにまでしてアクロバット飛行を見せ物にするメリットは何なのだろう。

こうも死亡事故が続くと、イベントの存在そのものが疑わしくもなる。

だけど、20年以上のベテランにして、予測不能の事故で命を落とすことがある。

それは誰にとっても衝撃的な事実だった。

誰が、今日、自分の命が終わると知って、出掛けてゆく人間がいるだろう。

誰が、今日、今生の別れになると知って、見送る人間がいるだろう。

ベラルーシで訃報を受け取る家族の気持ちを思うと、いたたまれない。

命を落としたパイロットとは、会ったことも、話したこともないけれど、確かに、彼が生きてそこに居た瞬間、そして、死んで何もかも終わってしまった瞬間に立ち会ったことは、今さらながら、人ひとりの命の重さを訴えかけるに十分だった。

これでも、来年も、イベントは催されるのだろうか。

観客を喜ばすためとはいえ、パイロット達に、あまり無茶なアクロバットを要求しないで欲しいものだ。



それにつけても、この日の9号線はまた凄かった。

なんと、わずか1時間の間に、3箇所で事故が発生したのだ。

それも見晴らしのいい、車両も少ない、大草原の一本道のような所で、だ。

幸いけが人はなかったようだが、それにつけてもこの好条件、アクセル踏んで、トロトロ走っていれば、片眼をつぶっても運転できそうな、ゆるゆるの一本道で、なぜ、3台、4台の玉突き事故が発生するのだろう。

夫の話によれば、最近のニュースで、「ポーランドでは雨天より晴天の方が事故の発生率が高い」と報じていたそうだが、まったくもって頷ける話である。

下手なドライバーは、バンパーを車庫の入り口にぶつけて泣くだけだが、慢心した不用心なドライバーは、他人の車に突っ込んで、他人の人生をボロボロにする。

時速80キロで安定走行すれば、一つの渋滞もなく快適に運転できる田舎の国道を、なぜ120キロで飛ばす必要があるのか、この手のドライバーに聞いてみたい。

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