子育てコラム

「来年」のない子供たち

2006年1月3日

私が通っていた看護学校は、がんセンターの附属で、実習先も大半が癌病棟でした。

その中には、当然、小児病棟もあって、余命半年とか一年の、白血病の赤ちゃんや、悪性腫瘍の幼児、入退院を繰り返す悪性貧血の小学生などがたくさん入院していました。

私たち看護学生は、一年生の時に、勉強を兼ねて、小児病棟の子供達の為にクリスマス会を催すことが義務づけられていたのですが、何代も前の先輩の時に、こんな事があったそうです。

サンタクロースに扮した学生が、会の終わりに、子供達に向かって、

「来年、また会おうね!!」

と言った時、1人のお母さんが、突然「ううっ」と嗚咽をもらされたのです。

「この子に、『来年』という時があるのかと思うと……」

あとは言葉にならなかったそうです。

以来、クリスマス会では、「来年」とか「次の」という言葉が禁句になり、子供とお母さんにとっては、これが『最後のクリスマス』なのだということを肝に銘じて臨むようになりました。

「来年」なんて、私たち健常者には当たり前だけど、そうじゃない人もいるんですよね。

私も、子供を寝かせ付けながら、

「あー、今日も一日、疲れたぁ。自分のことも、なーんも出来ひんかった」
「いつになったら、自分で自分のこと、してくれるようになるんやろー」

とかって、思うことがあります。

そういう時って、明日も、明後日も、来月も、来年も、来るのが当たり前だと思っているから、そういう気持ちになるんですよね。

子供を持つと、「小学校に入学したら」「高校を卒業したら」って、いろいろ考えますけど、世の中には、来年のことさえ思い描けないお母さんもいる――。
そう思うと、やっぱ、「今日一日」のこと、自分が当たり前のように思っていること、感謝しないといけないんだなーと感じます。

私が実習に行ったのは、十数年も前のことですから、そこでお会いしたお母さん方というのは、ほぼ100%、子供を亡くされているわけで、今頃、どのようにされているのかなあと、ふと思い出すことがあります。

これは人づてに聞いた話ですが、一度、小さなお子様を亡くされると、もう次の子を愛そうという気持ちにもならず、二度と子供を産まない道を選択される方も少なくないそうです。

そういうお母さんから見れば、「子供が食べ散らかして、掃除が大変」なんて愚痴も、「なんと幸せなことか」と、思われるでしょうね。

……ということを、昨日、頂いたコメントを読みながら、思い返しました。

私も、まだまだ発展途上母です。

でも、皆さん、それぞれの立場、それぞれの決意で、頑張りましょうね。

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