近年では、「西東京の公園差し止め問題」(参照記事=「記者の目:西東京の公園騒音差し止め仮処分決定=神澤龍二」)に代表されるように、生活騒音、特に、子供をめぐる騒音がクローズアップされています。
私も、一人暮らしだった頃、隣の若夫婦の娘(3歳ぐらい)が、夜にドタンバタンと走り回り、ベランダに出て「キャハハー」とやるのが、何とも苦痛だった経験があるので、よく分かります。
ついで言えば、その後に入った同棲カップルの「あの声」もすごかった。
夏の夜に窓を開けっ放しで励むから、もう近所中に響き渡って……。
その前は、階下に住むヤンキーの超大音量ロックに苦しんで、アパートの管理会社に駆け込んだこともありました。
幼稚園に接したアパートに住んで、やはり異常な騒音(ピアノ、ステレオ、スピーカー)に耐えきれず、3ヶ月で引っ越したこともあったなあ。
便利な町中に住む以上、ある程度は妥協しなければならないけれど、度を過ぎた騒音は、やはり言いしれぬ精神苦となって心身を軋ませるものです。
自分の嫌いな「音」を聞く度に、心臓がドキーンと縮み上がり、胸が苦しくなってくる気持ち、私にも分かります。
とはいえ、騒音問題の難しいところは、受け手によって感じ方がまったく異なる、という点。
たとえば、階下で大音量でロックを流していたヤンキー娘。
私が管理会社に相談に行った時、言われたことが、
「でもねぇ、そんなこと訴えてきてるの、あなただけなんですよね」
つまり、一人の主張では動けない。
住人みんなが苦痛に感じていることなら注意、もしくは退去命令が出るけども、個人がわあわあ苦情言ってる分には、相手できない、ということですよ。
一応、その管理会社は、ヤンキー娘に電話を入れて、やんわり注意してくれたみたいですけど。
結局、改善することなく、私の方でアパートを出て行きました。
あれも辛い体験でしたねぇ。。。
でも、ホントに、すごい音量だったんですよ。
よく、みんな我慢してたなーというぐらい。
多分、設計上の問題もあると思いますが。
ゆえに、「子供の騒ぐ声」も、「うるさい」と感じる人、「別にいいじゃない」で流せる人、半々だと思います。
うちは集合住宅の1階で、キッチンの出窓の下で子供がボール遊びしているようなロケーションだけど、子供の声はちっとも気にならないし、むしろ聞こえてほっとする感じ。
好きか、嫌いかで言えば、好きな方です。
また、コミュニティからも、「子供の声がうるさい」と言った苦情は一度も聞かれず、うちも相当、やかましい部類に入りますが、嫌みも悪口も言われたことがないです。
この辺り、日曜大工する家庭も多くて、ひどい時は、二週間連続、「ギギギギ~」といったドリルの音がひっきりなしに聞こえることもありますが、騒音はお互い様。
人間、生きていく以上、騒音が出るのは仕方ないことだし、よほど度を過ぎたものでもない限り、隣のドアを叩いて「静かにしろ!!」と怒鳴りこむこともないですね。
みんな、余裕があるというか、寛容というか。
生きているだけでラッキー! みたいな雰囲気は確かにあります。
じゃ、なぜ、ポーランドの住人は、こんなに大らかなのか。
決定的な理由の一つに、住宅の造りがあります。
こちらの住宅は、一戸建てでも、集合住宅でも、煉瓦造りが基本。
「三匹のコブタ」のお家みたいに、厚さ20センチぐらいある煉瓦を1個1個積み上げて外壁、内壁を作り、その上からさらに発砲スチロールみたいな分厚い防寒剤をびっちり敷き詰め、さらに塗装料をたっぷり厚塗りします。
窓も、防寒目的から、たいがい二重ガラスです。
それも一枚一枚が分厚いので、ボールが当たったぐらいでは、割れません。
ゆえに、日本のツーバイフォーなんかのアパートでよくある、「階上でスプーンを落とした音が鳴り響く」とか「壁の向こうから隣の夫婦のヒソヒソ話が聞こえる」とか「階段を上り下りする音がリアルに伝わる」ということがまったくありません。
たとえば、子供がソファから飛び降りて「ドーン」という物音を立てても、人を集めてパーティーを開いても、上下左右にほとんど響かないのです。隣の女の子がピアノを練習しても、窓を閉めれば、微かにしか聞こえてきません。
ウソみたいなほんとの話です。
このように、「日常の静けさ」が、かなりの高レベルで保たれているから、人々の精神状態も穏やかだし、たまに大きな物音が響きわたっても、「しゃあないなぁ」でやり過ごせる。
これはもう、住宅の勝利です。
というか、本来、住宅があるべき姿をきちんと維持している。
「生活騒音」は、当人の努力だけで抑えられるものではないのです。
窓を閉めても、子供の歓声や車のエンジン音がもろに聞こえてくる。
スプーンを落とした音が、かちゃーんと鳴り響く。
壁一枚隔てた向こうにヒソヒソ声が聞こえる。
これは、騒音問題というより、住宅の造りに問題があるのではないでしょうか。
技術的には劣るところのあるポーランドでさえ、これほど完璧な防音効果のある建物が作れるのに、それよりはるかに優る日本の住宅メーカーに作れないわけがない、と思うのですが。
私も、いろんなアパートに住んだ経験があるので分かりますけど、単身者が住むような一間のアパートの壁なんて、まるでベニヤ板のようでしょう。
「地震に強い」「生活音を軽減」とか言うけれど、こちらの住宅に比べたらハリボテみたいですよ、実際。
もちろん、日本の気候風土に煉瓦は合わないだろうし、メーカーも建築士もいろいろ配慮してはいるんだろうけど、それにしても、これほど違いがあるものかと不思議に思わずにいないのです。
もっと床や壁を厚くするとか、出来ないものなのでしょうか。
「材料が少ない=工期が早い=コストが安く上がる」という構図を優先で住宅作りしているのだとしたら、これは間接的な社会問題といっても過言ではないと思うのです。
「子供の騒ぐ声が迷惑」とか何とか言う前にね。
住宅地の騒音問題において、隣近所で揉めるだけでは、建設会社の思うツボだよ。
「足音の響き渡るような」粗悪な建物を造っても、誰にも、何も咎められることがない、「騒音を出す方が悪い」で片付くんだから。
誰もが「当たり前」と思っていることに意外な盲点がある。
それを忘れてはいけないような気がします。
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