「子供の騒音」と「住宅の造り」 迷惑とか何とか言う前に・・

10月 19日, 2009年 in コラム 子育て・家育て

近年では、「西東京の公園差し止め問題」(参照記事=「記者の目:西東京の公園騒音差し止め仮処分決定=神澤龍二」)に代表されるように、生活騒音、特に、子供をめぐる騒音がクローズアップされています。

私も、一人暮らしだった頃、隣の若夫婦の娘(3歳ぐらい)が、夜にドタンバタンと走り回り、ベランダに出て「キャハハー」とやるのが、何とも苦痛だった経験があるので、よく分かります。

ついで言えば、その後に入った同棲カップルの「あの声」もすごかった。

夏の夜に窓を開けっ放しで励むから、もう近所中に響き渡って……。

その前は、階下に住むヤンキーの超大音量ロックに苦しんで、アパートの管理会社に駆け込んだこともありました。

幼稚園に接したアパートに住んで、やはり異常な騒音(ピアノ、ステレオ、スピーカー)に耐えきれず、3ヶ月で引っ越したこともあったなあ。

便利な町中に住む以上、ある程度は妥協しなければならないけれど、度を過ぎた騒音は、やはり言いしれぬ精神苦となって心身を軋ませるものです。

自分の嫌いな「音」を聞く度に、心臓がドキーンと縮み上がり、胸が苦しくなってくる気持ち、私にも分かります。

とはいえ、騒音問題の難しいところは、受け手によって感じ方がまったく異なる、という点。

たとえば、階下で大音量でロックを流していたヤンキー娘。

私が管理会社に相談に行った時、言われたことが、

「でもねぇ、そんなこと訴えてきてるの、あなただけなんですよね」

つまり、一人の主張では動けない。

住人みんなが苦痛に感じていることなら注意、もしくは退去命令が出るけども、個人がわあわあ苦情言ってる分には、相手できない、ということですよ。

一応、その管理会社は、ヤンキー娘に電話を入れて、やんわり注意してくれたみたいですけど。

結局、改善することなく、私の方でアパートを出て行きました。

あれも辛い体験でしたねぇ。。。

でも、ホントに、すごい音量だったんですよ。

よく、みんな我慢してたなーというぐらい。

多分、設計上の問題もあると思いますが。

ゆえに、「子供の騒ぐ声」も、「うるさい」と感じる人、「別にいいじゃない」で流せる人、半々だと思います。

うちは集合住宅の1階で、キッチンの出窓の下で子供がボール遊びしているようなロケーションだけど、子供の声はちっとも気にならないし、むしろ聞こえてほっとする感じ。

好きか、嫌いかで言えば、好きな方です。

また、コミュニティからも、「子供の声がうるさい」と言った苦情は一度も聞かれず、うちも相当、やかましい部類に入りますが、嫌みも悪口も言われたことがないです。

この辺り、日曜大工する家庭も多くて、ひどい時は、二週間連続、「ギギギギ~」といったドリルの音がひっきりなしに聞こえることもありますが、騒音はお互い様。

人間、生きていく以上、騒音が出るのは仕方ないことだし、よほど度を過ぎたものでもない限り、隣のドアを叩いて「静かにしろ!!」と怒鳴りこむこともないですね。

みんな、余裕があるというか、寛容というか。

生きているだけでラッキー! みたいな雰囲気は確かにあります。

じゃ、なぜ、ポーランドの住人は、こんなに大らかなのか。

決定的な理由の一つに、住宅の造りがあります。

こちらの住宅は、一戸建てでも、集合住宅でも、煉瓦造りが基本。

「三匹のコブタ」のお家みたいに、厚さ20センチぐらいある煉瓦を1個1個積み上げて外壁、内壁を作り、その上からさらに発砲スチロールみたいな分厚い防寒剤をびっちり敷き詰め、さらに塗装料をたっぷり厚塗りします。

窓も、防寒目的から、たいがい二重ガラスです。

それも一枚一枚が分厚いので、ボールが当たったぐらいでは、割れません。

ゆえに、日本のツーバイフォーなんかのアパートでよくある、「階上でスプーンを落とした音が鳴り響く」とか「壁の向こうから隣の夫婦のヒソヒソ話が聞こえる」とか「階段を上り下りする音がリアルに伝わる」ということがまったくありません。

たとえば、子供がソファから飛び降りて「ドーン」という物音を立てても、人を集めてパーティーを開いても、上下左右にほとんど響かないのです。隣の女の子がピアノを練習しても、窓を閉めれば、微かにしか聞こえてきません。

ウソみたいなほんとの話です。

このように、「日常の静けさ」が、かなりの高レベルで保たれているから、人々の精神状態も穏やかだし、たまに大きな物音が響きわたっても、「しゃあないなぁ」でやり過ごせる。

これはもう、住宅の勝利です。

というか、本来、住宅があるべき姿をきちんと維持している。

「生活騒音」は、当人の努力だけで抑えられるものではないのです。

窓を閉めても、子供の歓声や車のエンジン音がもろに聞こえてくる。

スプーンを落とした音が、かちゃーんと鳴り響く。

壁一枚隔てた向こうにヒソヒソ声が聞こえる。

これは、騒音問題というより、住宅の造りに問題があるのではないでしょうか。

技術的には劣るところのあるポーランドでさえ、これほど完璧な防音効果のある建物が作れるのに、それよりはるかに優る日本の住宅メーカーに作れないわけがない、と思うのですが。

私も、いろんなアパートに住んだ経験があるので分かりますけど、単身者が住むような一間のアパートの壁なんて、まるでベニヤ板のようでしょう。

「地震に強い」「生活音を軽減」とか言うけれど、こちらの住宅に比べたらハリボテみたいですよ、実際。

もちろん、日本の気候風土に煉瓦は合わないだろうし、メーカーも建築士もいろいろ配慮してはいるんだろうけど、それにしても、これほど違いがあるものかと不思議に思わずにいないのです。

もっと床や壁を厚くするとか、出来ないものなのでしょうか。

「材料が少ない=工期が早い=コストが安く上がる」という構図を優先で住宅作りしているのだとしたら、これは間接的な社会問題といっても過言ではないと思うのです。

「子供の騒ぐ声が迷惑」とか何とか言う前にね。

住宅地の騒音問題において、隣近所で揉めるだけでは、建設会社の思うツボだよ。

「足音の響き渡るような」粗悪な建物を造っても、誰にも、何も咎められることがない、「騒音を出す方が悪い」で片付くんだから。

誰もが「当たり前」と思っていることに意外な盲点がある。

それを忘れてはいけないような気がします。

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