ドビュッシーの音楽はまさに『絵画』だ。
実際、そのようなタイトルの曲もあるくらい映像美にあふれている。
目を閉じた時、これほどまでに鮮明に絵になって現れる音楽があるだろうか。
初めて『月の光』を聞いた時は、あまりのイメージの広がりに気が遠くなりそうなくらい感動した。
音が水になったり、光になったり、鍵盤の上をきらきら跳ねまわる。
まさに『耳で聞く絵画』である。
ドビュッシーと言うと、『月の光 clair de lune』(私の初めてのHPのタイトルでもある)が圧倒的に有名ですが、私の一押しはやはり前奏曲第1巻の『沈める寺』です。
ピアノの響きだけで作り上げた――とでも言うのでしょうか。
スケールもなければトリルもない、音を重ねただけの旋律ですが、水の底から押し寄せるようなダイナミズムにあふれ、まさに『沈める寺』のタイトルにふさわしい傑作です。
ちなみに、この曲のモチーフとなったのは、フランスの古い『イースの伝説』です。
テキストは、こちらから引用しました。
フォトショップ・プラクティショナー / コラージュギャラリー 『イースの伝説』より by 有香さま
ブルターニュ南部のコルアイユの善良な王グラドロンは、溺愛していた美しい娘ダユーの為にイースの都を建設しました。
イースは海面よりも低い土地に建設されたため、立派な水門と堤防に守られていました。
ダユーは放蕩で悪徳の限りをつくし、彼女の治める都は欲と快楽の上に繁栄していました。
美しいダユーに求婚する男性は数知れず、彼女と一夜を過ごした男性は魔法によって無惨にも殺され海に捨てられていました。
ある日、頭から足の先まで赤の衣装に身を包んだ不思議な王子が現れます。
今までの男とはまったく違うこの男は、この堕落した町に罰を与えるべき登場した神の使いでした。
ダユーは恋に落ち、男の要求通りに、王が首にかけていたイースの水門の鍵を盗み出してしまいます。
それと同時に、繁栄した都は一瞬のうちに、海底に沈んでしまいました。
それからというもの、人魚になったダユーは、その魅惑的な歌声で男たちを海に誘い出しました。
人魚ダユーの姿を見たものは、決して生きて戻ることはなかったといいます。
海底に眠るイースの都は、グラドロンの教会でミサが行われなくなるとき、この世のものとは思えないほど美しい姿で浮上してくると言われています。
大都市パリ(Par-Is)は、「イースのような」という意味から名づけられました。当時のブルターニュ地方はアルモリカ(海の国)と呼ばれており、ケルト難民が大勢押し寄せていました。
この地に伝わる伝説には、ケルト神話的なものが数多く残っています。19世紀にテオドール・エルサール・ド・ラ・ヴィルマルケによって「バルザス・ブレイズ」がまとめられました。
ドビュッシー作曲の「沈める寺」は、この「イースの伝説」が元になっており、グラドロンの教会での祈りの声とイースが浮上するその姿、そして鳴り響く教会の鐘の音を表現したものです。なんとも幻想的なプレリュードではありませんか。
ドビュッシーの名演というと、上記のミケランジェリや、フランスのミシェル・ベロフ、ギーゼキング、フランソワ等が非常に有名ですが、私はあえてワイセンベルクを挙げたいと思います。
「絵画」というよりは、クリアで知的なドビュッシーです。
亜麻色の髪の乙女~月の光/ドビュッシー:ピアノ名曲集 (CD)
by ワイセンベルク(アレクシス)
価格: ¥ 3,260円
8点の在庫あり 中古価格
3,260円より
世にドビュッシーの名盤は数あるけれど、レビューにもあるように、これほど透明で洗練されたピアノを聞かせるのは、ワイセンベルク唯一ではないかと思う。
磨き抜かれた水晶のように硬質でありながら、シルクのように繊細で、正確。
それでいて聴衆に媚びない孤高の輝きがあり、聴く方はいつも彼に片思いだ。
私は安さにつられて購入したのだが、結局、これに勝る演奏にいまだお目にかかったことがない。
ドビュッシーと言うと「いかにも!」といった弾き方をする人があるけれど、ワイセンベルクのそれはベタついたところが一つとしてなく、すべてが「さりげない」のだ。
癒しの音楽として聴くにも最高で、複雑でありながら、ちっとも耳に触らない名演である。
Amazonのサイトで試聴できるので、ぜひ聞いてみて下さい。
1. 版画
2. 練習曲集第2巻~組み合わされたアルペジオ
3. ベルガマスク組曲
4. 子供の領分
5. 前奏曲集第1巻~亜麻色の髪の乙女
6. 喜びの島
7. レントより遅く
【Amazon レビューより】
ワイセンベルクはラフマニノフやプロコフィエフのロシア物を弾くかと思えばショパンやリスト、バッハ等も弾く意外といろいろ弾く人。(大体曲は限定されるけど…)そんなワイセンベルクが今度はドビュッシーを弾く。最初の「版画」から驚いた。透明感のある美しい音、情景が目の前に浮かんできそう。「雨の庭」は他の演奏家が弾いて聴こえるのと違う所があり、粒のそろった速い演奏が好き。他の曲も文句なしにすばらしい!一曲一曲が生き生きとしていて美しく、心が癒される。これからも聴き続けたい愛聴盤だ。
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余りにも有名な「月の光」も、氷のテクニシャン・ワイセンベルクの手にかかると少なからず印象が変わる。通常のドビュッシー弾きの「月の光」が靄に包まれた春の円い朧月だとしたら、ワイセンベルクの「月の光」は、晩秋に青く冴え渡る三日月のようだ。その音色はあくまで硬質で、明晰である。
「沈める寺」はこちらのCDに収録されています。ドビュッシーの入門編としてもおすすめですね。
ドビュッシー、ラヴェル、サティのおしゃれで色彩的なピアノ曲を、ベロフやティボーデらの魅力的な演奏で楽しむ。
1. 月の光(ドビュッシー)
2. 亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー)
3. 水の反映(ドビュッシー)
4. アラベスク第1番(ドビュッシー)
5. アラベスク第2番(ドビュッシー)
6. 沈める寺(ドビュッシー)
7. ゴリウォーグのケークウォーク(ドビュッシー)
8. 水の戯れ(ラヴェル)
9. ソナチネ~第1楽章(ラヴェル)
10. 「クープランの墓」~前奏曲(ラヴェル)
11. 3つのジムノペディ(サティ)
12. 3つのグノシエンヌ(サティ)
13. ジュ・トゥ・ヴ(サティ)
ドビュッシー:前奏曲集 第1巻、映像第1集、第2集 (CD)
by ミケランジェリ(アルトゥーロ・ベネデッティ)
価格: 1,497円
10点の在庫あり 中古価格
1,497円より
いわゆる「名盤」で楽しむなら上記動画で紹介したミケランジェリのCDがおすすめ。
知的で、研ぎ澄まされた響きは白眉のもの。
音の一粒一粒にまでこだわった、完璧なドビュッシーです。
[月の光~フランス・ピアノ名曲集]((リンク先))
月の光~フランス・ピアノ名曲集 (CD)
by オムニバス(クラシック)
価格: 936円
9点の在庫あり 中古価格
279円より
ドビュッシーと言えば『月の光』が最も有名だが、個人的には『沈める寺』が一番好き。
メロディーは単純で、テンポもゆったりとしているが、幾重にも繰り返す和音がまるで水の底から響く鐘の音のようで、まさにタイトルそのもの。『湖の底に沈んだ伝説の寺院』の物語が目に浮かぶよう。
私はこの曲に触発されて、作曲に行き詰まった音楽家と、神の建築家と呼ばれたガウディの出会いを短編に書いたことがあるけども(下手の横好きで(..;)、今でもそんなイメージを抱いている。(記事後方にアップしてます)
CDは、ラヴェル、サティのお馴染みの名曲が収録されており、まさにフランス・ピアノの美味しいとこどり。
これでラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』が収められていたら完璧だったんだけどネ。
こちらは、ピアノ連弾として有名な『小組曲』。
「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」の4曲から構成されています。
私の印象では、それぞれの曲が春夏秋冬をイメージしているように感じられます。
一番有名なのは「小舟にて」ですが、私はお気に入りは「メヌエット」。
秋の初めの淋しさと舞い散る木の葉を思わせる素敵な小品です。
色づくパリの庭園――といった感じですね。
むかし、友達と連弾して弾いたことがありますが、弾いている途中で感動して泣けました。
CDもいろいろ出ていますが、ミシェル・ベロフが定番でしょうか。
[ドビュッシー:小組曲]((リンク先))
ドビュッシー:小組曲 (CD)
by コラール(ジャン=フィリップ) ベロフ(ミシェル)
価格: 1,401円
19点の在庫あり 中古価格
784円より
明快な解釈によりつつも,まさにフランス人演奏家らしい繊細なイメージで仕上げられたドビュッシーである。
1. 小組曲
2. 交響曲ロ短調
3. 6つの古代の墓碑銘
4. 白と黒で
5. 民謡の主題によるスコットランド行進曲
6. リンダラハ
ドビュッシーの連弾『小組曲』は隠れた名曲だ。
「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」の四つの小曲からなり、時々、カフェなどで、イージーリスニング風にアレンジされたBGMを耳にすることがある。どんな人でも、恐らく、どれかは聞き覚えがあるはずである。
これはまた四季の曲であり、それぞれが春夏秋冬のイメージで聞こえてくる。
個人的には「メヌエット」が大好きだ。
お洒落な中にちょっぴり哀しい響きがあり、色づくパリの並木道を思わせる。
一人でそっと聞きたい秀作である。
【Amazon レビューより】
コラールとベロフは同郷のよしみもあって、ベロフが左手の故障をきたすまでは頻繁にデュオを組んで活動していました。
このアルバムは、その流れの中でレコーディングされましたが、ドヴォルザークやブラームスはいわば手慣らしであって、やはり期待はフランスものでしょう。このアルバムは満を持しての(ファンとしても)レコーディングでした。
ドビュッシーの連弾、もしくは2台のピアノのための作品がまとめて聞くことのできる唯一のアルバムであり、作曲家の精神がみごとに反映された一枚だと思います。→タイトルに「夜の音楽」と。まさにそんな感じですね。
こちらも私の一押し、『組み合わされたアルペジオ』(練習曲 第2巻から 第11曲)
ドビュッシーらしい、華麗でクールな旋律です。
上記に挙げた、ワイセンベルクが素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
……で、何の脈絡もなく、建築家アントニオ・ガウディの登場です。
私がガウディの名前を知ったのも、またまたサントリーのこのCMがきっかけでした。
まるで夢でも見ているように独創的な彼の建築に強く惹き