『愛する能力』について ~メールマガジン『Clair de Lune』創刊号

むかーしのメルマガの原稿です。思い出に置いてます。

Salut les copains

皆様、はじめまして

嬉しいような、照れくさいような、記念すべき《創刊号》です。

まずは、【Clair deLune】に興味を持って下さってありがとう。

登録して下さった方々が、のどんな所に引かれ、何を求めていらっしゃるのか、私には想像もつきませんが、このメールが、皆様にとって“週に一度のお楽しみ”になるよう頑張っていきたいと思います。

今は感性より、知識や理性の方が先行しやすく、「個性、個性」という割には、個性が正しく理解されていない時代ではありますが、誰の中にも生き生きと息づく“個”があり、“感性”があると信じています。

なにせ初めての試みですので、上手くやれるか自信はありませんが、皆様の“個”と“感性”に触れるものを書けるよう努めていきますね。

何が飛び出すかわからない(?)【Clairde Lune】ではありますが、このメールを通じて、何か一つでも新しい発見や感動を分けて差し上げられたら……と願っています。

Presentation

まずは簡単に自己紹介しておきます。職業は看護婦、この世界に入って、はや14年のPre-Expertです。
今は体調が悪いので、外来当直を専門としていますが(夜の蝶ね)一時は終末医療に命を懸けるほどの熱血ぶりを呈していました。

でも自分にとっての本業は「モノ書き」で、看護婦は“世を忍ぶ仮の姿”――人間を観、物事を知る為の、“勉強の場”なんです。

小学校に上がった時、「小公女」と「シンデレラ」を足して二で割ったような物語を書いて、すっかり味をしめ、以来、ずっと書き続けてきました。喜びも悲しみも、心の中のものをすべて言葉に代えて「書くこと」が、私の支えであり、自身の証だったからです。

次いで、素晴らしい絵や音楽や文学に巡り合い、その偉大な精神に触れる事ができたのも、最高の贈り物。

これらがあって、現在の私が在る――

今まで、本当にいろいろな事があったにもかかわらず、挫けることなく、真っ直ぐ自分の道を歩いてこられたのは、こうした素晴らしい贈り物があったからです。

だからこそ、自分が与えられてきたものを、周りの人たちにお返ししなければならないし、また、そうする事が、いろんなものを与えてくれた人や物に対する最高の恩返しと思う――

というわけで、【Clair de Lune】があるのです。

では、Contentsにまいりましょうね。

Les Paroles

『Les Paroles』= Wordsのこと。

ここでは、日常のラブリーな出来事から、芸術に関する事まで、様々なテーマでミニミニ・エッセイをお届けします。

Vol.1の今回は、私の好きな言葉をご紹介します。

Man has to pick up the use of his functions as

he goes along especially the function of Love.
From A Room with a View

by E.M.Forster

『人生では、さまざまな能力を使ってみて、その使い方を覚えていくしかない――とくに、愛する能力の場合は。』

“眺めのいい部屋”から

E.M.フォースター

ここでは「能力」と訳されていますが、【function】には、“機能”“作用”“職務”といった意味合いがあります。

上記においては、『心のはたらき』とも訳せるかもしれません。

人は様々な「体験=心のはたらき」を通じて、精神的に成長し、人間として完成されてゆくものですが、この世におけるもっとも難しい「心のはたらき」とは、人を「愛する」ことだと思います。

人はいとも簡単に「愛」という言葉を使いますが、真実、「愛する」ことを知っている人――もしくは誰かを「愛している」魂は、希なのではないでしょうか。

人が人を「好きになる」ことは、自然な心の作用だし、「恋に落ちる」のも割合簡単だけど,「理解する」となれば、相当な努力を要する。ましてや「愛する」となれば――「愛し続ける」ともなれば、莫大な心のエネルギーを必要とします。

人は、自分自身になら、いくらでも心を注ぐことが出来るけれど、他人にはそうそう尽くせるものではない――

どんなに善良な人でも、必ずや、心のどこかで「見返り」や「ご褒美」を期待しているものであり、何のお返しも無い献身に、永く心を仕えるものではないからです。

誰の中にも、人を好きになったり、憧れたり、大切に想ったりする気持ちは、日常的に存在するけれど、「真実の愛」となれば、もっと長けた心の作用を必要とする――

人間が、自分とは異なるもう一人の全存在を、何の見返りもなしに受け止め、理解し、慈しむことは、人間としての一つの能力であり、なまじっかな気持ちで出来る事ではない、と思うのであります。

初稿:1999年4月15日  メールマガジン 【 Clair de Lune 】 より 

Site Footer