Notes of Life

Cherish the Day ~恋の想い出~

1999年6月28日

シャーデーの『Cherish The Day』を聴きながら、 冬の夜、恋に焦がれていた頃のことを思った。

あの日、あの時、Cupidの矢は、本当に思いがけなくその手を離れ、私の胸に突き刺さった。

あの瞬間、どうしてあんなに胸躍ったのか、今もわからない。

ただ、どうしようもなく好きになってしまったということ以外。

半年―― たった半年の間に、 私たちはなんと多くの想いを交わし、 胸にしみるような深い一瞬を重ねてきたことだろう。

時に恐れ、時に戸惑いながらも、一歩一歩、歩み寄り、 今では、振り返らずとも、気配で互いの存在を感じ合うことができる。

ほんの一瞬、目を見交わすだけで、 胸の満ちるような想いを感じ合うことができる。

もし、世界に二人きりしかなかったら、 心行くまで互いの気持ちを確かめ合うことができるだろう。

何をも恐れず、何にも阻まれず、 互いの心と身体に触れ合うことができるだろう。

それこそ、昼も夜もなく――。

凍てつくような冬の朝、 生まれたばかりの悦びとともに買ったミニバラも、 今ではすっかり大きくなり、たくさんの花を咲かせるようになった。
「七つのバラが咲きそろったら、私の願いも叶う」――と、 毎日願いをかけていた頃もあったけど、今では何を願っていたかも思い出せない。

……あまりに別れが急すぎて……。

明日で最後。

――本当に最後なのかしらと思う。

まだ何も知らないのに、別れていくなんて……。

別れの時、アンタ、ほんの少しくらい涙を浮かべてね。

「六月いっぱいで終わりだよ」と告げた時、 ただただ茫然として、言葉も出なかったあの時のように。

下戸のトリスタンは、多分、最後まで何も言えずに終わっちゃうのだろう。

いつもいつも、心からの想いは言葉にならなかったように。

そして酔っぱらいのイゾルデは、 「忠義第一」のトリスタンの後ろ姿を恨みの目で見つめつ、 またひどい二日酔いに苦しむのだ。――いつまでも醒めない酔いに。

『意気地なし』。

来世で逢ったら、一度くらい、そう言ってやる。

その時は、現世で超えられなかった垣根を超えて、私の手を取ってね。

そして一言ぐらい、気のきいたセリフも言って欲しい。

どんなにカッコ悪くても、笑わないから……。

Cherish The Day――

ただ恋だけが心に在ったあの頃は、毎日がいとおしかった。

あの人が、ほんの少し笑いかけてくれるだけで、すべてのものが満たされた。

他には何も要らないくらい……。

Cherish The Day――

もう逢えないのかと思うと、世界中の灯が消えたような気がする。 ほんの少し想われて、時々、一緒に居られるだけで良かったのに……。

七夕の夜は、年に一度でも逢える恋人たちにヤキモチを妬きながら、 月の光でも眺めていよう。

八月になったら、グランド・クロスに願いを込めて、 行き場をなくした恋心を星の彼方に葬ろう。

九月になったら、少しは癒えてるだろうか――?

新しい蕾が、葉の間からぴょっこり顔を出すように……。

Cherish The Day――

あまりに激しすぎる運命の波を思う。

天の意は何処にあるのか、 ふいと尋ねてみたくなる、 今日この頃――

初稿:99/06/28

You Might Also Like