Cherish the Day ~My heart will go on~

昨日、カコちゃんが言った。

「二人とも、もう得るものを得たから、ここらで離れ離れにしよう、って神様が決めたんだよ。
振り返ったら、全部プラスになったやん。これを糧に次に進みなさい、って神様が言ってるんだよ」

私が思ってるのと同じ事を言う。

もし、あの人が、家族も世間も自分をも、欺いて生きていける人なら、 私も自分の気持ちを正面からぶつけただろう。

生々しい感情のすべてを剥き出しにしただろう。

別にそうしたって良かったんだよ。

それで前向いて生きていけるのならね。

「一瞬」「一瞬」――

あの人との触れ合いはまさに「一瞬」だった。

だけど「その一瞬」に、私たちはどれほどの想いを交わしたことだろう。

何も言わなくても、心が通じ合う人っているんだなあ、と とても不思議に思ったし、 だからこそ、いろんな想いが胸に響いて、辛くもあり、嬉しくもあった。

離したくない。

離せるわけがない。

だけど過ちを犯すよりは、決然と別れる方を選ぶ。

私は、あの人に、家族や世間に嘘ついて生きていくような真似はさせたくない。

人一倍純粋で誠実な人だからこそ……。

「最後の手紙に住所と電話番号でも書いてやろうかな」

と言ったら、テンちゃんに怒られた。

……そうでございますね。

「もう逢えないの?」と聞かれたら、私は潔く頷くわ。

もし君が、お友達として家に招いてくれるのなら、喜んで逢いに行くけれど……。

朝、会ったら、いつも「おはようございます」と挨拶してくれた君、 廊下で会ったら、飛び上がらんばかりに驚いていた君、クリップ飛ばして子供みたいに遊んでいた君、 「手術するよ」と言ったら、上セーター、下白衣姿で更衣室から飛び出してきた君、「何か困ったことがあったら、また言うて」と言ってくれた君……。

すべてが愛しく、すべてが無くしがたい。

たとえ一言も言葉に聞かなくても、 君にとって私がどんなに特別な存在だったか、痛いくらいわかる。

一度でいいから、君を腕の中に思いきり抱き締めてあげたかった。

弱くても、幼くても、君はそのままで良いのだと……

君の誇るべきはその「感性」なのだと、言ってあげたかった。

だから、生涯消えない『YES』の一言を、君にあげる。

駆け引きでも、所有欲でもない、掛け値なしの私の『想い』を。

それが私に計り知れないものを与えてくれた君へのお返しだ。

君ほど純情かつ誠実な想いを捧げてくれた人は無い。

だから私も、この心をぜ~んぶあげる。

……もう二度と自分から不幸になったりしないように。

映画『タイタニック』のラストで、ジャックがローズに言うよね。

「君はこんな所で死んではいけない。 長生きして、子供を産んで、幸せに暮らすんだ」と。

自分の死の間際に、なんで人にこんなことが言えるんだ、 と私は不思議でならなかったけど、でも、今なら、ヒジョーに共感してしまう。

愛してたら、言えるんだわ。自分が沈むと分かってても。

My Heart will Go On……

「なに笑ってるの」と言った時、「笑ってないよ」と笑った、 あの瞳の輝きが忘れられない。

初稿: 99/05/26 メールマガジン 【 Clair de Lune 】 より 

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