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	<title>sanmarie*com &#187; 名曲クラシック</title>
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	<description>映画・音楽・書籍レビュー、恋と生き方のエッセー、子育てコラムなど</description>
	<lastBuildDate>Fri, 30 Jul 2010 23:00:49 +0000</lastBuildDate>
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		<title>天上に響く声 / 癒しの美少年コーラス『ボーイズ・エアー・クワイア』</title>
		<link>http://sanmarie.me/boysairchoir</link>
		<comments>http://sanmarie.me/boysairchoir#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 24 Jun 2010 12:11:04 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[キリスト教]]></category>
		<category><![CDATA[珠玉のシンフォニー]]></category>

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		<description><![CDATA[人がもし『天国』を感じるとしたら、それはどんな風に心に映えるだろう。
私にとっては、ケンブリッジの聖堂がそうだった。
それまでも何度かカトリックの教会を訪れたことはあったけど、あれほど身の引き締まるような厳粛さを感じた [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/06/cambriage.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/06/cambriage-e1280357238535.jpg" alt="University of Cambridge　ケンブリッジ大学　カテドラル" title="ケンブリッジ　聖堂" width="180" height="249" class="alignright size-full wp-image-13455" /></a></p>
<p>人がもし『天国』を感じるとしたら、それはどんな風に心に映えるだろう。</p>
<p>私にとっては、ケンブリッジの聖堂がそうだった。</p>
<p>それまでも何度かカトリックの教会を訪れたことはあったけど、あれほど身の引き締まるような厳粛さを感じた空間も初めてだった。</p>
<p>まるでピンと張り詰めたような空気と光の透明感。</p>
<p>ふと見上げると、天まで突き抜けるような青空が広がり、何かが未来を祝福しているような悦ばしい光にあふれる。</p>
<p>その時、耳に聞こえてきたのが、ボーイズ・エア・クワイアの『Sleepsong』。</p>
<p>私がこの世で最も美しい音楽と思っている中の一つである。</p>
<div class="myvideo">Sleepsong<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/boysairchoir"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>初めて出会ったのは大阪の図書館。<br />
紙のジャケットに入ったそのCDは、暇つぶしのつもりだった。</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005622J?ie=UTF8&#038;tag=ma046-22&#038;linkCode=as2&#038;camp=247&#038;creative=1211&#038;creativeASIN=B00005622J">blue bird</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=as2&#038;o=9&#038;a=B00005622J" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B00005622J&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>家に持ち帰って、プレイヤーにかけてみてびっくり。</p>
<p>天使の声かと思った。</p>
<p>まさに天上の音楽と呼ぶにふさわしい美しい旋律に陶然となった。</p>
<div class="myvideo">Lully, lulla, thow little tiny child<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/boysairchoir"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>通に言わせれば、エコーばりばりの音作りで、正当派少年合唱団（たとえばウィーン少年合唱団）とは似て非なるものというご意見だが、この美しさは本物でしょう。</p>
<p>天国を感じたい時、このCDを聞くと、天使の影を感じます。</p>
<p>本当に呼ぶんです。</p>
<p>そういえば、イギリスの小さな田舎町を訪れた時、ふと立ち寄った聖堂で少年合唱団のコンサートがあったのですが、音響設備も何もない石造りの聖堂に、彼らの歌声はそれはそれは美しく響き渡ったものでした。</p>
<p>まるで歌の波動が天井を突き抜け、町中を祝福の光で包むかのようでした。</p>
<p>昔──スピーカーもマイクロホンも何も無かった時代、バッハもモーツアルトもヴェルディも、こうした聖堂の響きを熟知していたのでしょうね。</p>
<p>コンサートホールで聞くレクイエムも壮大だけど、昔ながらのカトリックの聖堂で聞く聖歌は美しさもひとしお。</p>
<p>昔の人は、石造りの音響というものを本当によく考えて、教会を設計したものだと思います。</p>

<a href="http://twitter.com/?status=RT+%40sanmariecom%3A+%E5%A4%A9%E4%B8%8A%E3%81%AB%E9%9F%BF%E3%81%8F%E5%A3%B0+%2F+%E7%99%92%E3%81%97%E3%81%AE%E7%BE%8E%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%80%8E%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%80%8F+-+sanmarie%2Acom+http%3A%2F%2Ftinyurl.com%2F29u2byb" class="tweet-this" ><div align="right"><img src="http://www.sanmarie.me/sanmarie/wp-content/plugins/simple-tweet/img/tweet.gif" title="ツイート" alt="ツイート" />ツイート</div></a>]]></content:encoded>
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	</item>
		<item>
		<title>『ロマン』という言葉は宮川泰士（＝宇宙戦艦ヤマト）に教わった</title>
		<link>http://sanmarie.me/yamato-2</link>
		<comments>http://sanmarie.me/yamato-2#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 08 May 2010 09:33:46 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[マンガ・アニメ]]></category>
		<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[珠玉のシンフォニー]]></category>

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		<description><![CDATA[人間が『宇宙』を感じる時──
それは満天の星空だったり、ニュートンやホーキンスに関する宇宙物理学の書物だったり、スペースシャトルのTV中継だったり、いろいろだけど、私の場合、やはり宮川泰士さんの音楽が一番強烈で、寝ても [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/05/yamato.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/05/yamato-e1280357936836.jpg" alt="宇宙戦艦ヤマト" title="宇宙戦艦ヤマト" width="400" height="286" class="aligncenter size-full wp-image-13462" /></a></p>
<p>人間が『宇宙』を感じる時──</p>
<p>それは満天の星空だったり、ニュートンやホーキンスに関する宇宙物理学の書物だったり、スペースシャトルのTV中継だったり、いろいろだけど、私の場合、やはり宮川泰士さんの音楽が一番強烈で、寝ても覚めても『ヤマトのサントラ』という時期があったものだ。</p>
<p>まずは人間業とは思えない<a href="http://www.k-kawashima.info/">川島和子さん</a>のスキャットがある。</p>
<p>おそらく、ヤマトの音楽を耳にした多くの子供たちにとって、川島さんの「あ～～あ～～」という有名なスキャットは、まさに衝撃だったのではないだろうか。</p>
<p>私も子供心に「シンセサイザーで作った声にちがいない」と思っていたし（人間のものとは思えなかった）、人の声だと分かってからも、「こんな美しい声で歌う人が日本に居るわけがない」と絶対的に思い込んでいた。</p>
<p>小学校5年生の時、月500円のお小遣いを半年貯めて、当時、2300円ぐらいだったLPレコード「<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005EN69?ie=UTF8&#038;tag=ma046-22&#038;linkCode=as2&#038;camp=247&#038;creative=7399&#038;creativeASIN=B00005EN69">交響組曲 宇宙戦艦ヤマト Symphonic Suite Yamato</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=as2&#038;o=9&#038;a=B00005EN69" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />」を購入したのだけど、その時、スキャットの主が「川島和子」という日本女性と知って二度びっくり。</p>
<p>私もマネして何度も口ずさんだけど、あの高く澄み切った声はついに出なかった。（当たり前ダ）</p>
<p><a href="http://sanmarie.me/yamato-2"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p>
<p>それにしても美しいのは宮川さんの作るメロディ。</p>
<p>部屋の明かりを消して、目を閉じて聞いていると、まるで宇宙を漂っているようで、「この世には素晴らしく美しいものが存在する」ということを子供心に確信したものだ。</p>
<p>すべては「漫画の世界」と分かっている。</p>
<p>だけど、もしかしたら、自分も銀河の彼方に旅することが叶うかもしれない。</p>
<p>何百万、何千万という時を越えた、光の渦の彼方に、自分が本当に探し求めるものが見つかるかもしれない。</p>
<p>……なあんて、夢に見ながら。</p>
<p>この世に幾千の「魂の出会い」があるとすれば、ヤマトのサントラ＝宮川さんの音楽との出会いも、魂があらわれるような体験だった。</p>
<p>子供の頃に、こうした美しい声と旋律にどっぷり浸かれたたことは、本当に幸せだったと思う。</p>
<p>そんな宮川さんも、もうこの世にはいらっしゃらない。</p>
<p>訃報を聞いた時、この方は銀河の彼方に旅立って行かれたのだな、と思った。</p>
<p>もし、宇宙の女神が存在するならば、それはやはり、松本零士の描く『スターシア』か『メーテル』のような姿をしているのだろう。</p>
<p>川島さんのスキャットに、宇宙の神秘と広がりを感じた子供達は、きっと知らない間に出会っているはずだ。</p>
<p><a href="http://sanmarie.me/yamato-2"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p>
<p><br/><br />
ちなみに、商品としての宇宙戦艦ヤマトは、著作権問題で揺れに揺れて、名盤と呼ばれるこれらのサントラ盤もいまだ再販されず、マーケットプレイスで１～２万円の高値がついている。<br />
これではファンのみならず、作曲した宮沢さんだって浮かばれないような気がする。<br />
もう一度、きちんとした形で再販して欲しい。<br />
そしたら買うからさ。</p>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B00005EN69&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe>　　<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B00005EN6A&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>

<a href="http://twitter.com/?status=RT+%40sanmariecom%3A+%E3%80%8E%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%80%8F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%A8%80%E8%91%89%E3%81%AF%E5%AE%AE%E5%B7%9D%E6%B3%B0%E5%A3%AB%EF%BC%88%EF%BC%9D%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%88%A6%E8%89%A6%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%88%EF%BC%89%E3%81%AB%E6%95%99%E3%82%8F%E3%81%A3%E3%81%9F+-+sanmarie%2Acom+http%3A%2F%2Ftinyurl.com%2F2aroq72" class="tweet-this" ><div align="right"><img src="http://www.sanmarie.me/sanmarie/wp-content/plugins/simple-tweet/img/tweet.gif" title="ツイート" alt="ツイート" />ツイート</div></a>]]></content:encoded>
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	</item>
		<item>
		<title>『沈める寺』　ドビュッシー名曲集　＆　アントニオ・ガウディ</title>
		<link>http://sanmarie.me/debussy</link>
		<comments>http://sanmarie.me/debussy#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 01 May 2010 22:13:58 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[ピアノの名曲]]></category>

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		<description><![CDATA[ドビュッシーの音楽はまさに『絵画』だ。
実際、そのようなタイトルの曲もあるくらい映像美にあふれている。
目を閉じた時、これほどまでに鮮明に絵になって現れる音楽があるだろうか。
初めて『月の光』を聞いた時は、あまりのイメー [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>ドビュッシーの音楽はまさに『絵画』だ。<br />
実際、そのようなタイトルの曲もあるくらい映像美にあふれている。<br />
目を閉じた時、これほどまでに鮮明に絵になって現れる音楽があるだろうか。<br />
初めて『月の光』を聞いた時は、あまりのイメージの広がりに気が遠くなりそうなくらい感動した。<br />
音が水になったり、光になったり、鍵盤の上をきらきら跳ねまわる。<br />
まさに『耳で聞く絵画』である。</p>
<h3>§ 『沈める寺』と『イースの伝説』</h3>
<p>ドビュッシーと言うと、『月の光　clair de lune』（私の初めてのHPのタイトルでもある）が圧倒的に有名ですが、私の一押しはやはり前奏曲第１巻の『沈める寺』です。<br />
ピアノの響きだけで作り上げた――とでも言うのでしょうか。<br />
スケールもなければトリルもない、音を重ねただけの旋律ですが、水の底から押し寄せるようなダイナミズムにあふれ、まさに『沈める寺』のタイトルにふさわしい傑作です。</p>
<p>ちなみに、この曲のモチーフとなったのは、フランスの古い『イースの伝説』です。<br />
テキストは、こちらから引用しました。</p>
<p>フォトショップ・プラクティショナー / コラージュギャラリー　『イースの伝説』より　by 有香さま</p>
<blockquote><p>
ブルターニュ南部のコルアイユの善良な王グラドロンは、溺愛していた美しい娘ダユーの為にイースの都を建設しました。<br />
イースは海面よりも低い土地に建設されたため、立派な水門と堤防に守られていました。<br />
ダユーは放蕩で悪徳の限りをつくし、彼女の治める都は欲と快楽の上に繁栄していました。<br />
美しいダユーに求婚する男性は数知れず、彼女と一夜を過ごした男性は魔法によって無惨にも殺され海に捨てられていました。<br />
ある日、頭から足の先まで赤の衣装に身を包んだ不思議な王子が現れます。<br />
今までの男とはまったく違うこの男は、この堕落した町に罰を与えるべき登場した神の使いでした。<br />
ダユーは恋に落ち、男の要求通りに、王が首にかけていたイースの水門の鍵を盗み出してしまいます。<br />
それと同時に、繁栄した都は一瞬のうちに、海底に沈んでしまいました。<br />
それからというもの、人魚になったダユーは、その魅惑的な歌声で男たちを海に誘い出しました。<br />
人魚ダユーの姿を見たものは、決して生きて戻ることはなかったといいます。<br />
海底に眠るイースの都は、グラドロンの教会でミサが行われなくなるとき、この世のものとは思えないほど美しい姿で浮上してくると言われています。<br />
大都市パリ（Par-Is）は、「イースのような」という意味から名づけられました。</p>
<p>当時のブルターニュ地方はアルモリカ（海の国）と呼ばれており、ケルト難民が大勢押し寄せていました。<br />
この地に伝わる伝説には、ケルト神話的なものが数多く残っています。19世紀にテオドール・エルサール・ド・ラ・ヴィルマルケによって「バルザス・ブレイズ」がまとめられました。<br />
ドビュッシー作曲の「沈める寺」は、この「イースの伝説」が元になっており、グラドロンの教会での祈りの声とイースが浮上するその姿、そして鳴り響く教会の鐘の音を表現したものです。なんとも幻想的なプレリュードではありませんか。
</p></blockquote>
<div class="myvideo">Debussy: La Cathedrale Engloutie<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/debussy"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<h3>§ ドビュッシーに関するCD</h3>
<p>ドビュッシーの名演というと、上記のミケランジェリや、フランスのミシェル・ベロフ、ギーゼキング、フランソワ等が非常に有名ですが、私はあえてワイセンベルクを挙げたいと思います。</p>
<p>「絵画」というよりは、クリアで知的なドビュッシーです。</p>
<h6>ドビュッシー・ピアノ名曲集　アレクシス・ワイセンベルク</h6>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000STC5X8&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>世にドビュッシーの名盤は数あるけれど、レビューにもあるように、これほど透明で洗練されたピアノを聞かせるのは、ワイセンベルク唯一ではないかと思う。<br />
磨き抜かれた水晶のように硬質でありながら、シルクのように繊細で、正確。<br />
それでいて聴衆に媚びない孤高の輝きがあり、聴く方はいつも彼に片思いだ。<br />
私は安さにつられて購入したのだが、結局、これに勝る演奏にいまだお目にかかったことがない。<br />
ドビュッシーと言うと「いかにも！」といった弾き方をする人があるけれど、ワイセンベルクのそれはベタついたところが一つとしてなく、すべてが「さりげない」のだ。<br />
癒しの音楽として聴くにも最高で、複雑でありながら、ちっとも耳に触らない名演である。</p>
<p>Amazonのサイトで試聴できるので、ぜひ聞いてみて下さい。</p>
<p>1. 版画<br />
2. 練習曲集第2巻~組み合わされたアルペジオ<br />
3. ベルガマスク組曲<br />
4. 子供の領分<br />
5. 前奏曲集第1巻~亜麻色の髪の乙女<br />
6. 喜びの島<br />
7. レントより遅く</p>
<p>【Amazon　レビューより】</p>
<p>ワイセンベルクはラフマニノフやプロコフィエフのロシア物を弾くかと思えばショパンやリスト、バッハ等も弾く意外といろいろ弾く人。(大体曲は限定されるけど…)そんなワイセンベルクが今度はドビュッシーを弾く。最初の「版画」から驚いた。透明感のある美しい音、情景が目の前に浮かんできそう。「雨の庭」は他の演奏家が弾いて聴こえるのと違う所があり、粒のそろった速い演奏が好き。他の曲も文句なしにすばらしい!一曲一曲が生き生きとしていて美しく、心が癒される。これからも聴き続けたい愛聴盤だ。</p>
<p>ｰｰｰｰｰｰｰｰｰ</p>
<p>余りにも有名な「月の光」も、氷のテクニシャン・ワイセンベルクの手にかかると少なからず印象が変わる。通常のドビュッシー弾きの「月の光」が靄に包まれた春の円い朧月だとしたら、ワイセンベルクの「月の光」は、晩秋に青く冴え渡る三日月のようだ。その音色はあくまで硬質で、明晰である。<br />
</p>
<p>「沈める寺」はこちらのCDに収録されています。ドビュッシーの入門編としてもおすすめですね。</p>
<h6>沈める寺　　CD『フランス・ピアノ名曲集』より</h6>
<p>ドビュッシー、ラヴェル、サティのおしゃれで色彩的なピアノ曲を、ベロフやティボーデらの魅力的な演奏で楽しむ。</p>
<p>1. 月の光(ドビュッシー)<br />
2. 亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー)<br />
3. 水の反映(ドビュッシー)<br />
4. アラベスク第1番(ドビュッシー)<br />
5. アラベスク第2番(ドビュッシー)<br />
6. <b>沈める寺(ドビュッシー) </b><br />
7. ゴリウォーグのケークウォーク(ドビュッシー)<br />
8. 水の戯れ(ラヴェル)<br />
9. ソナチネ~第1楽章(ラヴェル)<br />
10. 「クープランの墓」~前奏曲(ラヴェル)<br />
11. 3つのジムノペディ(サティ)<br />
12. 3つのグノシエンヌ(サティ)<br />
13. ジュ・トゥ・ヴ(サティ)</p>
<p></br></p>
<h6>ドビュッシー:前奏曲集 第1巻、映像第1集、第2集 / ミケランジェリ</h6>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000YY66JQ&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>いわゆる「名盤」で楽しむなら上記動画で紹介したミケランジェリのCDがおすすめ。<br />
知的で、研ぎ澄まされた響きは白眉のもの。<br />
音の一粒一粒にまでこだわった、完璧なドビュッシーです。</p>
<h3>§ 月の光~フランス・ピアノ名曲集</h3>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B00009SF2K&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>ドビュッシーと言えば『月の光』が最も有名だが、個人的には『沈める寺』が一番好き。<br />
メロディーは単純で、テンポもゆったりとしているが、幾重にも繰り返す和音がまるで水の底から響く鐘の音のようで、まさにタイトルそのもの。『湖の底に沈んだ伝説の寺院』の物語が目に浮かぶよう。<br />
私はこの曲に触発されて、作曲に行き詰まった音楽家と、神の建築家と呼ばれたガウディの出会いを短編に書いたことがあるけども（下手の横好きで(..;)、今でもそんなイメージを抱いている。（記事後方にアップしてます）<br />
CDは、ラヴェル、サティのお馴染みの名曲が収録されており、まさにフランス・ピアノの美味しいとこどり。<br />
これでラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』が収められていたら完璧だったんだけどネ。<br />
</p>
<p>こちらは、ピアノ連弾として有名な『小組曲』。<br />
「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」の４曲から構成されています。<br />
私の印象では、それぞれの曲が春夏秋冬をイメージしているように感じられます。<br />
一番有名なのは「小舟にて」ですが、私はお気に入りは「メヌエット」。<br />
秋の初めの淋しさと舞い散る木の葉を思わせる素敵な小品です。<br />
色づくパリの庭園――といった感じですね。<br />
むかし、友達と連弾して弾いたことがありますが、弾いている途中で感動して泣けました。</p>
<div class="myvideo">Debussy &#8220;Petite Suite&#8221; &#8211; III. Menuet<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/debussy"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>CDもいろいろ出ていますが、ミシェル・ベロフが定番でしょうか。</p>
<h6>小組曲　演奏：ミシェル・ベロフ</h6>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000XAMEII&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>明快な解釈によりつつも,まさにフランス人演奏家らしい繊細なイメージで仕上げられたドビュッシーである。</p>
<p>1. 小組曲<br />
2. 交響曲ロ短調<br />
3. 6つの古代の墓碑銘<br />
4. 白と黒で<br />
5. 民謡の主題によるスコットランド行進曲<br />
6. リンダラハ</p>
<p>ドビュッシーの連弾『小組曲』は隠れた名曲だ。<br />
「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」の四つの小曲からなり、時々、カフェなどで、イージーリスニング風にアレンジされたBGMを耳にすることがある。どんな人でも、恐らく、どれかは聞き覚えがあるはずである。<br />
これはまた四季の曲であり、それぞれが春夏秋冬のイメージで聞こえてくる。<br />
個人的には「メヌエット」が大好きだ。<br />
お洒落な中にちょっぴり哀しい響きがあり、色づくパリの並木道を思わせる。<br />
一人でそっと聞きたい秀作である。</p>
<p>【Amazon　レビューより】<br />
コラールとベロフは同郷のよしみもあって、ベロフが左手の故障をきたすまでは頻繁にデュオを組んで活動していました。<br />
このアルバムは、その流れの中でレコーディングされましたが、ドヴォルザークやブラームスはいわば手慣らしであって、やはり期待はフランスものでしょう。このアルバムは満を持しての（ファンとしても）レコーディングでした。<br />
ドビュッシーの連弾、もしくは2台のピアノのための作品がまとめて聞くことのできる唯一のアルバムであり、作曲家の精神がみごとに反映された一枚だと思います。→タイトルに「夜の音楽」と。まさにそんな感じですね。<br />
</p>
<p>こちらも私の一押し、『組み合わされたアルペジオ』（練習曲　第2巻から　第11曲）<br />
ドビュッシーらしい、華麗でクールな旋律です。<br />
上記に挙げた、ワイセンベルクが素晴らしい演奏を聴かせてくれます。</p>
<div class="myvideo">Weissenberg- Debussy, Étude pour les arpèges composés<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/debussy"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<h3>§ ドビュッシーとガウディ</h3>
<p>……で、何の脈絡もなく、建築家アントニオ・ガウディの登場です。<br />
私がガウディの名前を知ったのも、またまたサントリーのこのCMがきっかけでした。<br />
まるで夢でも見ているように独創的な彼の建築に強く惹きつけられたものです。<br />
近年では、1992年のバルセロナ・オリンピックを機に再びクローズアップされ、彼の代表作サグラダ・ファミリアを中心に世界中の注目を集めたものですが、今でもガウディ詣でする観光客は絶えないといいます。</p>
<p>こちらが有名なサグラダ・ファミリア＝聖家族教会。<br />
いまだ建設途中であり、完成するのは何百年先と言われています。（最近の予測では、2256年前後）<br />
天高くそびえる尖塔に、ガウディが夢に描いた鐘が取り付けられた時、バルセロナの町にどんな音色が響き渡るのか。<br />
今、命ある者で、それを聞き届けられる人はありません。<br />
これはまさに時を超えた魂の建築なのです。</p>
<div class="wp-caption alignnone" style="width: 210px"><img alt="サグダラファミリア" src="http://bryndakirk.files.wordpress.com/2008/12/la-sagrada-familia-1.jpg" width="200" height="260" /><p class="wp-caption-text">サグダラファミリア</p></div>
<p>バルセロナはまた、パブロ・ピカソ、パブロ・カザルス、ジョアン・ミロなど、多くの天才芸術家を輩出した奇跡の町でもあり、私もぜひ訪れてみたい所です。</p>
<div class="myvideo">サントリー ローヤル ガウディ編<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/debussy"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<h6>ガウディの生涯　－バルセロナに響く鐘－　北川圭子</h6>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=402260767X&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>ガウディの生涯を物語風に読むならこの本がお薦め。<br />
専門的な話ではなく、人間ガウディの生き様に焦点を当てている。<br />
人によっては「甘過ぎる」と思うかもしれないが、私は初めて読んだ時、号泣した。<br />
こんな哀しくも美しい生き方があるだろうかと非常に感銘を受けたものだ。<br />
特に、初めて愛した女性を断念する場面や、『神への建築家』を志すプロセス、サグラダ・ファミリアに懸ける想いなどは感動もひとしお。<br />
年老いた彼が交通事故に遭ったとき、あまりにも身なりがみずぼらしかったが為に、誰もガウディだと気付かず、手当が遅れて死に至った経緯は涙なしに読めない。<br />
初めての方にも、もっとよく知りたい人にも、お薦めの一冊です。<br />
</p>
<p>で、以下は、多感な少女期に書いた短編（汗）。<br />
アントニオ・ガウディの伝記に非常に感銘を受け、ドビュッシーの『沈める寺』と絡めて創作しました。<br />
なんか、くさーい話ですけど、まあ興味がある方だけ、どーぞ。</p>
<h3>§ Short Novel『沈める寺』</h3>
<p>黒づくめの痩せた男が湖のほとりに佇んでいた。<br />
彼はひと月ほど前から湖の近くのホテルに滞在し、夕暮れになると、こうして湖のほとりにやって来て、何時までも動かぬ水面をじっと見つめているのだった。<br />
彼が何者で、何のため水面を見つめ続けているのか、知る者は一人としてない。<br />
だが、同じホテルの宿泊客が彼のことを知っていた。<br />
その客は笑いながら言ったものだ。<br />
「あの男なら、ずいぶん前に楽壇をにぎわせた音楽家だよ。当時は、誰もが彼の音楽を褒めたたえ、もてはやし、こぞって演奏したものだった。そして、彼も、自分は神に選ばれた人間で、偉大な音楽家の仲間入りを果たしたものとのぼせ上がっていたよ。しかし、自惚れが過ぎたんだろうね。彼の音楽からは、とんと霊感がなくなってしまった。今じゃ誰一人、彼の音楽になど見向きもしない。天罰でも食らったように、あっという間に落ちぶれて、今頃どこで何をしているのかと思ったら、こんな所で湖とにらめっことはね」</p>
<p>ある日の夕暮れ。<br />
湖の周囲に、にわかに黒い雲が広がり、強い風を吹き付けてきた。鏡のような水面はどす黒く濁り、落ち着かぬように波立った。湖のほとりにいた人々は追い払われるように足早に去り、後にはひゅうひゅうと風の音だけが辺りに寂しくこだましていた。<br />
最後まで残っていたボート小屋の男も、ボートをすべて桟橋に繋ぎとめると、慌てて湖を後にした。<br />
が、振り向くと、水際にまだあの男が立っている。<br />
ボート小屋の男は小走りで近づくと、後ろから声をかけた。<br />
「旦那、気でも違ったのかい。もうすぐ雨が降ろうっていうのに、まだこんな所に突っ立っているなんて。よほどこの湖が気に入りなんだろうが、もう帰った方がいいですぜ。この辺りは雨が降ると、氷みたいに冷え込むんだ」<br />
彼は答えなかった。<br />
「いったい、このひと月というもの、飽きもせず、何を見ていらっしゃるので<br />
ボート小屋の男が訝しげに聞くと、彼は、口元に自嘲的な笑いを浮かべて言った。<br />
「見ているのではない、待っているのだ。探し求める音が聞こえてくるのを」<br />
「『音』ですって？」<br />
「君は知らないのか。この湖にまつわる言い伝えを」<br />
「ああ、あの話かね」ボート小屋の男は声を立てて笑った。「それなら、子供の時、じいさんから聞かされたことがあるよ。なんでも昔、ここには大層立派な寺院があったとか。ところが、坊主も信者も金ぴかの寺院に気をよくして贅沢三昧、そのうち、神より偉いと思い上がったために怒りにふれ、寺院もろとも湖の底に沈められたという……」<br />
「そう、そして、沈められた寺は、今もこの湖の底で己の罪を嘆き、天に向かって悔恨の鐘を打ち続けているのだ」<br />
「ひょっとして、旦那はその鐘の音が聞こえてくるのをじっと待ってらっしゃるので？！」<br />
「そうだ。残念ながら、まだ聞こえてはこないがね」<br />
「旦那、そんなの作り話に決まってるじゃないですか。仮にだよ、本当にこの湖に寺が沈んでいたとしても、鐘の音なんか聞こえてきやしませんよ。それこそ、そんな鐘の音を聞こうものなら、身も心も呪われて、旦那まで湖の底に沈められちまいますよ」<br />
「……そう思うかね」<br />
「いやいや、旦那は想像豊かな方だ。旦那が信じて待つというなら、あえて邪魔はしませんよ。だがね、こんな天気の日まで無理しちゃいけません。いっぺんに体を壊しちまいますぜ」<br />
そう言うと、ボート小屋の男は、まだ動こうとしない音楽家を振り返りつつ、足早に去っていった。</p>
<p>風はいっそう激しくなった。まるで両耳をもぎ取るかのように、強く吹きすさんだ。<br />
やがて、刺すように冷たい雨が全身を打ち、彼は震えたが、それでも最後の力を振り絞るように黒雲を仰ぐと、風の中に咆哮した。<br />
「今こそ聞かせてくれ。この風のように、泣き叫ぶ鐘の音を。私は知っているぞ。この湖の底で、お前たちがどんな思いで鐘を打ち続けているかを。どれほど己の過ちを悔い、天に赦しを乞おうとも、決して応えてはもらえぬ惨めさに、お前たちは暗い湖の底を虫のように這いずり、のたうちながら、苦しみの鐘を打ち鳴らしているのだろう。だったら、私にも聞かせてくれ。お前たちと同じこの愚かな男に、どす黒い闇のような音色を。胸にたまるような鉛の響きを。そうすれば、私は最後の力を振り絞って、それを旋律に変えてやろう。そして、非情な天に、お前たちの叫びをとくと聞かせてやるぞ」<br />
彼の声は幾重にもこだまし、波立つ水面を駆け抜けていった。<br />
だが、周囲には強い風の音が吹きつけるばかりで、彼の耳には、沈める寺の鐘の音も、そこに潜む者たちの気配さえも、聞こえてはこない。<br />
彼は濡れて乱れた髪を力なくかき上げると、踵を返した。<br />
明日は満月だ。言い伝えによると、満月の夜に、鐘の音はいっそう高く鳴り響くという。<br />
もし、明日の夜までに、鐘の音が聞こえなかったら、何もかもあきらめて故郷に帰ろう。そして、私という音楽家がついに天に見放され、人々から忘れ去られることになろうと、それもまた神のご意志だ――と、彼は初めて己に言い聞かせたのだった。</p>
<p>次の夜は、すばらしい満月夜だった。<br />
磨きあげたような水面に黄金の光が降り注ぎ、辺りは安らかな光に包まれている。<br />
見上げれば、月が微笑んでいるようにも、沈黙しているようにも見え、音楽家は「これが最後の夜」と、言い知れぬ想いでじっと水際に立ちつくしていた。<br />
いつか曲を書いたことがある。<br />
凍てつくような独りぼっちの夜、しんと静まりかえった小路を歩いていると、月は優しい光で照らしてくれていた。その美しさを永遠に音の中に刻みつけたくて、夢中で書いたのが、世界中で愛された『月の光』だった。<br />
それはさながら音の織りなす絵画だった。人々は、旋律の向こうに闇を照らす美しい光を感じて、魂を解き放ったものだ。<br />
今なら、人々が、何に心を動かされたのか分かる。<br />
それは彼一人の栄光ではなかったのだ。<br />
すべては闇の底に静かに横たわり、水面に映る月だけが彼を哀れむように光を放っている。<br />
もう、これまでだ……。<br />
音楽家は深い溜め息をつくと、後退るように水際を離れた。まだ魂の半分が繋がれるように、ゆっくりと。<br />
鐘よ。一度でいいから、応えて欲しかった。たとえその音色は天に届かなくとも、この胸には痛いほど響いただろうに。</p>
<p>そうして、今一度後ろを振り返り、鏡のような水面を見渡した時、遠く水際にたたずむ老人の姿を見つけた。<br />
深々と降り注ぐ月の光の中で、老人もまた何かを求めるように水面を見つめていた。<br />
その姿は、彼のものとは違い、透き通るように穏やかであった。<br />
音楽家はその透明さに引かれるようにして、老人の方へ足を向けた。そして、背後から声をかけようとすると、老人の方から彼に向き直り、優しく微笑んで見せたのだった。<br />
「こんな所で、何をなさっているのです」<br />
彼が訊ねると、彼は顔をほころばせ、<br />
「なに、あまりに美しい満月なので、今夜あたり、ある音が聞こえてきやしないかと、耳を澄ませて待っているんですよ」<br />
「ああ、沈める寺の鐘の音ですね。それなら、ここにはありません。私など、もうひと月も前からここで待っていたんですよ。雨の日も、風の日も。でも、無駄でした。寺などあるはずがないんです。こんなに静かな湖の底に……」<br />
「それで、君はもうあきらめて帰ってしまうのかい？」<br />
「この満月夜を最後と決めていましたから」<br />
「では、この老人につき合うつもりで、もう少しここで待ってみないかね。こんなに美しい満月夜だよ。鐘の音が聞こえようと聞こえまいと、すぐに帰るには惜しい夜じゃないか」<br />
「ええ、いいでしょう」<br />
すると、老人は桟橋につながれているボートを指さして言った。<br />
「あれを漕いで湖の真ん中まで行ってみないかね。ここは風の音がうるさすぎる。これでは、せっかく湖の底から鐘の音が鳴り響いていても、とても聞き分けられないよ」<br />
二人は古いボートに乗り込むと、緩く結ばれたロープを解いた。<br />
音楽家は、オールを手にゆっくりボートをこぎ出すと、目を細めて水面を見つめる老人に訊いた。<br />
「一体、あなたは何のために、鐘の音を求めていらっしゃるのです？」<br />
「私は建築家でね。建築中の建物に、どうしても鐘の音が必要なのだよ」<br />
「どんな建物です？」<br />
「聖堂だよ」<br />
「聖堂――それなら鐘楼が必要ですね」<br />
「それはキリストを讃え、故郷の人々の幸福と平和を願う聖堂なのだ。私はこの聖堂に１２本の鐘楼を造ろうと考えている。その一つ一つに、さまざまな音色の鐘をつけるのだよ。朝に夕に祈る人々の上に、神の祝福が降りそそぐように。その為に、私は様々な書物をひもとき、高名な学者を尋ね歩いて、それにふさわしい鐘の音を探し求めてきた。だが、求める音に巡り会うことはできなかった。そんな時、沈める寺の逸話を耳にしてね。いてもたってもいられなくなって、探しに来たというわけだ」<br />
「あなたがなさろうとしていることは、分かるような気がします。しかし、沈める寺の鐘の音は、あなたの聖堂にはふさわしくないですよ。神の怒りにふれた寺院の鐘が、人に安らぎをもたらすとは思えません。そのような音色をお探しなら、こんな呪われた場所ではなく、もっとふさわしい場所がいくらでもあるでしょうに」<br />
老人が何も答えずにいると、音楽家も押し黙った。水面を打つオールの音がひときわ高くなり、月の影が木の葉のように揺れた。</p>
<p>そうして無言で向かい合ったまま、ボートを漕ぎ進めていくと、老人がふと口を開いた。<br />
「ここでいいだろう。ごらん、月が私たちの真上に」<br />
音楽家は手を止めると、夜空を仰ぎ見た。<br />
月は二人の頭上に清らかな光を放ち、底知れぬ闇を美しく彩っている。その優しさと安らかさは、あの夜のものと同じだった。<br />
「ずっと以前、こんな月の光を曲に書いたことがあります」音楽家は我知らずつぶやいた。「あの夜も、ちょうどこんな風に輝いていました。私は急いで家に帰ると、すぐにピアノの前に座って、五線譜に音符を書きこんだものでした。胸の中の響きが消え失せないうちに、音にしたくてね。あの頃、私は一人で、誰も私に気付きもしなかったけれど、見るもの、聞くもの、すべてが美しかった。全身が一つの楽器になったように音が魂の内側から次々にあふれ出して、それがひとつの旋律となり、人々の心に響いた時、私はどれほど幸福だったかしれない」<br />
「今は？」<br />
「この月の美しさが身にしみるばかりです……」<br />
言葉が風にちぎれてとんだ。彼はきつくオールを握りしめると、動かぬ暗い水面を見やった。<br />
「なぜ、沈める寺は、鐘を鳴らすことをやめないのだろうね」<br />
老人が優しい声で訊いた。<br />
「神の許しを乞うためにです。許されたい、救われたいと、己の罪を嘆き悲しんでいるからです」<br />
「そうだろうか。私には、浄化の音に思えるがね」<br />
「浄化の音？」<br />
「苦しみも哀しみもきれいに洗い流された、清澄な響きだ」<br />
「それはあり得ないと思います。いまだ呪われているからこそ、誰の耳にも届かないのではないですか」<br />
「では、鐘の音を聞いてみよう。あなたの言うように、苦悶の音色かどうか」<br />
老人は両眼を閉じると、夜の底に耳を澄ませた。まるで世界中の音を拾い集めて、一つの形に練り上げるかのような姿だった。<br />
音楽家もまた、彼に倣って目を閉じると、しんと静まりかえった水面に耳を傾けた。<br />
すると、どうだろう。荘厳な鐘の響きが幾重にも重なりながら、波のように押し寄せてくるではないか。水の底から無限の波紋を描くように、一つ、また一つと。それは、あの月の光のように澄み渡り、苦悶の影はどこにも感じられなかった。<br />
「どうだね、このすばらしい響きは。それでもまだ君は、これが苦しみの鐘に聞こえるかね」<br />
音楽家は叫んだ。<br />
「いいえ、この一点の曇もない響き――これが沈める寺の鐘の音とは……」<br />
「沈める寺は、すでに赦されているのだよ。己の過ちに気づいたときにね」<br />
「すでに、赦されている――」<br />
音楽家は打たれたように押し黙ると、もう一度目を閉じて、耳を澄ませた。あれほど求めても聞こえなかった鐘の音が、今は厳かに耳に響いてくる。信じられない思いで目を見開くと、老人が優しく微笑みかけた。<br />
「君もまた、この鐘の音にふさわしい魂を得たのだ。だからこそ、こうして君の耳にも響いてくるのだよ」<br />
「……もう一度、夢が叶うでしょうか」<br />
「もちろん。私も、これで聖堂の鐘の音色が決まったよ」<br />
　　<br />
そうして、月日が流れ、音楽家はある町を訪ねた。<br />
町の向こうには、天に向かって高らかにそびえ立つ、建築中の聖堂が見えた。</p>
<p>音楽家が再び老人を訪ねた時には、老人はもうこの世にはなかった。そして鐘の音はまだ響かずにいる。<br />
だが、彼には、そびえ立つ五本の鐘楼から、町を包み込む美しい鐘の音が、風に運ばれて聞こえてくるようだった。いつか湖で聞いた、あの鐘の音のように澄んだ響きが。<br />
彼は老人の墓の前にひざまずくと、持参した音楽をかけて聞かせた。<br />
プレイイヤーから流れ出るピアノ曲は、彼が故郷に帰り着いてから一気に書き上げたものだった。その幾重にも押し寄せるような荘厳な響きは、あの夜、彼の心を打った鐘の音色そのものだった。<br />
「今、この曲は、人々に大変愛されているのですよ。天に仕えるあなたの魂にも響かんことを祈ります。私の『沈める寺』が――」</p>
<p>Fin</p>

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	</item>
		<item>
		<title>映画『Shine』とラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番</title>
		<link>http://sanmarie.me/rachmaninov_shine</link>
		<comments>http://sanmarie.me/rachmaninov_shine#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 01 May 2010 21:49:53 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[ピアノの名曲]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://sanmarie.me/rachmaninov_shine</guid>
		<description><![CDATA[ロシアの偉大な作曲家、セルゲイ・ラフマニノフ Sergei Rachmaninovは1873年ロシアに生まれました（1943年没）。
希代の名ピアニストでもあったラフマニノフは、名曲中の名曲『ピアノ協奏曲No.2』をはじめ、『交響曲No.2』、『ヴォカリーズ』、『ピアノ・ソナタNo.2』など、様々な傑作を残しています。
その哀愁に満ちた美しい旋律は、映画やCMのBGMとしても効果的に使われており、「曲名は知らなくても旋律は知っている」という人も多いのではないでしょうか。
誰もが生涯に一度は耳にするであろうラフマニノフの美しい音楽。
ここでは私の最愛の曲『ピアノ協奏曲No.3』と、これを題材にした映画『シャイン』をご紹介します。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>ロシアの偉大な作曲家、セルゲイ・ラフマニノフ Sergei Rachmaninovは1873年ロシアに生まれました（1943年没）。<br />
希代の名ピアニストでもあったラフマニノフは、名曲中の名曲『ピアノ協奏曲No.2』をはじめ、『交響曲No.2』、『ヴォカリーズ』、『ピアノ・ソナタNo.2』など、様々な傑作を残しています。<br />
その哀愁に満ちた美しい旋律は、映画やCMのBGMとしても効果的に使われており、「曲名は知らなくても旋律は知っている」という人も多いのではないでしょうか。<br />
誰もが生涯に一度は耳にするであろうラフマニノフの美しい音楽。<br />
ここでは私の最愛の曲『ピアノ協奏曲No.3』と、これを題材にした映画『シャイン』をご紹介します。</p>
<h3>§ 【 ピアノ協奏曲第三番 】について</h3>
<p>ラフマニノフは生涯に四つのピアノ協奏曲を書き上げました。<br />
中でも最高傑作として知られている「第二番」は、世界中のピアニストがこぞって取り上げ、演奏会でもお馴染みのプログラムとなっています。<br />
しかし、この後に書かれた【ピアノ協奏曲第三番】は、第二番に並ぶ優れた作品であるにもかかわらず、演奏される機会はうんと少なく、多くのピアニストがこの楽曲を前に足踏みしています。<br />
それはこの曲が余りにも壮麗で、究極の技巧を要求される至難の大曲だからです。</p>
<p>「交響曲第一番」の不評から、作曲家としての自身を喪失し、強度の神経衰弱に陥ってしまったラフマニノフ。<br />
 しかしながら、彼は精神科医ダール博士の懸命の治療によって救われ、かの有名な「ピアノ協奏曲第二番」を書き上げました。<br />
そして、その成功によって世界的な名声を得た彼は、アメリカの演奏旅行に招待され、この【第三番】の作曲に取り掛かります。</p>
<p>１９０９年、ニューヨークで、ラフマニノフ自身のピアノによって初演された【第三番】は大好評を博し、彼の名声を盤石のものにしました。<br />
「第二番」のロマンティックで美しい世界をさらに昇華した【第三番】ですが、ラフマニノフが自らのテクニックを最高に発揮できるよう意図されたピアノ・パートは、いっそう困難な技巧が用いられ、ピアニストにとって一つの試石となっています。</p>
<p>現在では、ウラディミール・アシュケナージをはじめ、マルタ・アルゲリッチ、エフゲニー・キーシン、アレクシス・ワイセンベルク、エミール・ギレリス、ホロヴィッツといった世界に名だたるピアニストが、多くの優れた録音を残しています。</p>
<h3>§ ギレリスのラフマニノフ</h3>
<p>私が一番最初に聴いたのが、エミール・ギレリスの演奏でした。ギレリスの若かりし日の録音です。<br />
ベートーヴェン弾きとして名を馳せるギレリスですが、こちらも非常に力強く、情熱的な名演です。</p>
<p>特に、第１楽章の独奏部――映画『Shine』の中で、デヴィッドが激しく陶酔してゆく非常に難解なカデンツァ――の怒濤のような展開に圧倒されること間違いなし。</p>
<p>YouTubeに全曲アップされているので、リンクを辿っていってください。<br />
音質も非常にいいです。</p>
<div class="myvideo">Emil GILELS plays RACHMANINOV 3d Concerto 1954 (1-4)<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/rachmaninov_shine"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p></br></p>
<p>音源はこちらです。</p>
<h6>ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第3番』、サンサーンス『ピアノ協奏曲第2番』他　<br />
ギレリス（p）クリュイタンス＆パリ音楽院管</h6>
<p><a href="http://click.linksynergy.com/fs-bin/click?id=zawGgpHtCEs&amp;subid=&amp;offerid=131139.1&amp;type=10&amp;tmpid=1161&amp;RD_PARM1=http%253A%252F%252Fwww.hmv.co.jp%252Fproduct%252Fdetail%252F1413499"><img alt="icon" border="0" src="http://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/14/1/3/499.jpg" width="100px" height="100px"></a><br />
<img alt="icon" width="1" height="1" src="http://ad.linksynergy.com/fs-bin/show?id=zawGgpHtCEs&amp;bids=131139.1&amp;type=10"></p>
<h3>§ アシュケナージのラフマニノフ</h3>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B000CBNYOG&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番">ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 / パガニーニの主題による狂詩曲</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B000CBNYOG" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000CBNYOG&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>世にラフマニノフの名盤は数あれど、「第３番」に関してはこのアシュケナージ盤がおすすめ。<br />
少女漫画のようにロマンティックでありながらテクニックは上等で安定感がある。<br />
第一楽章の独奏部のカデンツァなどは「竜崎麗華（お蝶夫人）・花の舞」といった感じだ。<br />
「こだわり」のある人には物足りないかもしれないが、大衆受けするムーディーな演奏であり、初心者にはもちろん、耳の肥えたクラシック･ファンにも心地よい一枚である。<br />
構えて聴くより、BGM的な感じでさらっと聴くのがいいかも。<br />
特に第三楽章に関しては、アシュケナージの持ち味がいかんなく発揮されて、これ以上ない美しさに仕上がっている。<br />
カップリングの『パガニーニ』もおすすめ。<br />
</p>
<div class="myvideo">ウラディミール・アシュケナージ　ラフマニノフピアノ協奏曲第3番（抜粋）<br />
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<h3>§ 映画『Shine』の物語</h3>
<p>ラフマニノフの【第三番】を題材にした作品として、最も有名になったのは、１９９７年アカデミー主演男優賞をはじめ、数々の映画賞を総ナメにしたオーストラリア映画「シャイン」ではないでしょうか。</p>
<p>本国はもちろん世界中で絶賛を浴び、【第三番】はもちろん、モデルとなった実在のピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットの名を一躍有名にした映画「シャイン」は、ピアノとラフマニノフをめぐる彼の数奇な運命が描かれています。</p>
<p></br><br />
<strong>★STORY★</strong></p>
<p>オーストラリアに住む移民の子、デヴィッド・ヘルフゴットは、幼い頃より、厳格で音楽に造詣の深い父からピアノを教わっていました。<br />
彼の才能に震撼した音楽教師は、「デヴィッドはコンクールで賞のとれる子だ。ぜひ、私に預けてください」と申し出ます<br />
が、頑とした信念をもつ父はこれを拒み、あくまで自分自身でデヴィッドを育てようとします。</p>
<p>しかし息子にラフマニノフを弾かせたい父は、ある日、音楽教師の元を訪れ、「ラフマニノフを教えてやってくれ」と頼みます。<br />
音楽教師は、「子供にあんな情熱的な曲は無理だ。まずはモーツアルトから……」と言い聞かせ、デヴィッドを預かるのでした。</p>
<p>デヴィッドはめきめきと上達し、数々のコンクールで入賞するようになります。<br />
そんな彼にアメリカの音楽学校から招待が舞い込みますが、デヴィッドを手離したくない父は、息子の気持ちなどお構いなしに、これを撥ね付けてしまいます。</p>
<p>青年になったデヴィッドは、親交あるロシアの女流作家の支えもあり、ついに父から離れることを決意し、ロンドン王立学校に旅立ちます。<br />
名教授の元で研鑚をつむデヴィッドは、ピアノ協奏曲コンクールの最終選考に残りました。</p>
<p>彼が選んだ演目は、「ラフマニノフの第三番」。<br />
教授は、「第三番は大曲だ。正気の沙汰じゃない」と懸念しますが、「では正気でなければいいんですね？」とデヴィッド。</p>
<p>コンクールに向けて、壮絶な練習が始まりました。<br />
絡み合う旋律、嵐のようなカデンツァ。<br />
デヴィッドは全身全霊をかけて、この大曲に挑みます。</p>
<p> 「まずは正確に暗譜を！ 指使いを覚えるのだ！ 目隠ししても弾けるように！ そうすれば音楽は自然にハートからあふれ出す」。<br />
教授の言葉どおり、目隠ししてピアノに向かうデヴィッド。<br />
彼の頭の中は「第三番」で今にも弾けそうでした。</p>
<div class="myvideo">SHINE  カデンツァ練習風景<br />
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<p>　<br />
</br></p>
<p>コンクールが近づくと、教授はデヴィッドに、「素晴らしい演奏をした記憶は永遠に残る。次は君の番だ」と言って励まします。<br />
デヴィッドはステージに立ち、ピアノに向かうと、その鍛えぬかれた指先からラフマニノフの世界を見事に作り出します。</p>
<p>もはやこの世を離れ、音楽という至上の世界に全身全霊を捧げ尽くすデヴィッド。<br />
彼の演奏は万雷の拍手でもって称えられます。</p>
<div class="myvideo"> Shine  コンクールに挑むデヴィッド<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/rachmaninov_shine"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p></br></p>
<p>しかし、その直後、デヴィッドは張り詰めた心の糸が切れたようにステージに倒れてしまいます。<br />
デヴィッドは傷つき、疲れ果て、父の元に返ってきますが、父は自分から離れた息子を決して許そうとせず、冷たく突き放します。</p>
<p>精神を病んだデヴィッドは十年間も病院で過ごしました。<br />
ピアノを弾くことは禁じられ、外に出ることさえ許されません。</p>
<p>そんな彼を気の毒に思った婦人が彼を引き取りますが、もはや普通の日常生活さえままならぬ彼と一緒に暮らすことはできず、彼は新しい身元引受人に託されます。</p>
<p>が、そこでも夜中にピアノを弾きまくって引受人を怒らせ、とうとうピアノの蓋に鍵をかけられてしまう始末。<br />
それでもデヴィッドはピアノを求めて、あるレストランに飛び込みます。</p>
<p>みずぼらしい闖入者に野次をとばした客たちも、彼の『くまんばちの飛行』を聴くやいなや、その素晴らしさに圧倒され、心から拍手を送ります。</p>
<div class="myvideo">Shine　レストランで『くまんばちの飛行』を弾くデヴィッド<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/rachmaninov_shine"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p></br></p>
<p>もう何ものにも脅かされることなく、自由にピアノを弾ける場所を見出したデヴィッドは『輝き＝Shine』を取り戻し、自分の為、そして聴衆の為にピアノを弾き続けます。</p>
<p>やがてデヴィッドは、生涯の伴侶となるギリアンと巡り合い、結婚。<br />
彼女の深い愛に支えられ、再びステージに立つのでした。</p>
<div class="myvideo">Shine　トレーラー<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/rachmaninov_shine"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<h3>§ 映画『Shine』に関するCD・DVD</h3>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B00006AUVZ&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="シャイン [DVD]">シャイン [DVD]　主演：ジェフリー・ラッシュ</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B00006AUVZ" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B00006AUVZ&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>数奇な運命を辿った実在のピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴッドの半生を綴った伝記的作品。<br />
単なるピアニストのドラマを超えて、この映画の精神的シンボルである、ラフマニノフ　ピアノ協奏曲第3番への思い入れたっぷりの作品に仕上がっている。<br />
とりわけ青年期を演じるノア・テイラーの、ラフマニノフに陶酔していく演技が素晴らしい（とても吹き替えとは思えない熱演だ）。<br />
第１楽章の難解なカデンツァに挑む場面は、ラフマニノフ・ファンにはこたえられない迫力だ。<br />
また音楽の使い方も非常に効果的で、デヴィッドの弾く美しいアダージョをラジオで聴きながら、思わず涙をこぼす父親の姿には胸をしめつけられる。<br />
ラフマニノフ・ファンのみならず、クラシックに興味のない方でも感動が胸を打つ秀作である。<br />
</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B00005FF0T&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="シャイン">『シャイン』サウンド・トラック盤</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B00005FF0T" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B00005FF0T&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>ラフマニノフやショパンの名曲も聴き応えがありますが、映画のオリジナル・テーマも、しっとりとした美しい曲です。<br />
また、彼の唯一の理解者だったキャサリンとの場面に流れる「話を聞かせて」も、心にしみるような一曲です。<br />
オリジナルの音楽だけでも十分に堪能できるお薦めの一枚です。</p>
<p>消沈したデヴィッドの気持ちを表す淋しい旋律の後、キャサリンとの心の交流を物語るような温かく、優しいメロディーが流れます。短い曲ですが本当にきれいです。</p>
<p>★話を聞かせて、キャサリン</p>
<p>メイン・テーマを聴くだけで映画の世界に入り込みます。<br />
デヴィッド・ヘルフゴッドの「ヘルフゴッド」が意味するものは、Help of God（神のご加護）。<br />
まさに神に祝福されたピアニストです。</p>
<p>★Shine メイン・テーマ</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B00005FG45&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="映画「シャイン」クラシック全曲版">映画「シャイン」クラシック全曲版</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B00005FG45" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
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<p>上記のサウンドトラックでは物足りない方には（名曲に関しては抜粋になるため）、こちらの全曲盤がおすすめ。<br />
「ラフマニノフ　ピアノ協奏曲第3番」はもちろん、「子供の情景」「くまんばちの飛行」「まことのやすらぎはこの世にはなく」など、あの印象的な旋律の全曲が収録されています。<br />
</p>
<h3>§ ピアノとラフマニノフ【第三番】をめぐる創作の抜粋</h3>
<p>概要をちょこっと説明しますと……</p>
<p>「エル（至高者）」の名を持つ建築家のロレンスさんは、すったもんだの末、「プシュケの女」と呼ばれる高級娼婦のレイアさんと結ばれます。<br />
しかし、彼は自分の地位と名声と、彼女の名誉を守る為、彼女との関係をいっさい秘密にし、彼女を家に閉じ込めるようにして一緒に暮らし始めます。<br />
彼は子供を強く欲していましたが、レイアさんの病気のせいで何年たっても子宝に恵まれません。<br />
そんな最中、彼は出張先で一組の若い夫婦に出会います。<br />
自分を敬愛する夫を尻目に、彼は美しい新妻を誘惑し、とうとう一夜を共にしてしまいます。</p>
<p>やがて彼は、彼女の夫を自分の助手に迎えますが、葛藤ゆえに相容れることが出来ません。<br />
そして、夫は、彼の代理で赴いた建設現場で事故に巻き込まれ、命を落としてしまいます。</p>
<p>残された妻は嘆き悲しみ、一粒種の息子を抱いて運河に身を投げました。<br />
息子の方は一命をとりとめますが、実はこの息子こそ、彼の血を継ぐ子供だったのです。</p>
<p>彼は「養子」として息子を引き取り、息子も周囲も欺きながら父子関係を築き始めます。</p>
<p>しかし父の後を継ぐことを拒み、好きな音楽の道を志す息子は、次第に父との関係を疑うようになり、嘘で固めた彼の城を崩しにかかるのでした……</p>
<hr />
<p>「絵でも、音楽でも、自分を表現できるものがあるという事は良いことさ」と、彼は息子に言った。<br />
「人間の欲求において最高のものは『自己表現』、その究極の形が芸術だからね」<br />
「『自己表現』ってなあに？」<br />
「自分の中の“自分らしさ”を形に表わすことだよ。お父さんはデザインの仕事をしてるだろう。あれだって、お金や地位の為にやってるわけじゃない。一つ一つの線や形に、“僕はこういう人間なんだ”“こういう理想や意志があるんだ”って事を表現する為にやってるんだよ」<br />
「ただ単に絵を描いてるわけじゃないんだね」<br />
「お前が本当の意味で音楽を奏でられるようになったら、お父さんの仕事もきっと理解できるようになるよ。“自分を表現する”という事がどんなに大切で、素晴らしいかも」<br />
「じゃあ、僕、頑張って練習するね。誰よりもうんと上手くなって、お父さんをコンサートに招待してあげる。お父さんのデザインしたコンサート・ホールで、僕がピアノを弾くんだよ！」</p>
<div id="attachment_11221" class="wp-caption alignnone" style="width: 280px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/dossi5.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/dossi5-270x198.jpg" alt="【ジュピター、マーキュリー、美徳】Jupiter，Mercury，and Virtue ドソ・ドッシ Dosso Doss" width="270" height="198" class="size-medium wp-image-11221" /></a><p class="wp-caption-text">【ジュピター、マーキュリー、美徳】Jupiter，Mercury，and Virtue ドソ・ドッシ Dosso Doss</p></div>
<p>「……あの子には本当に才能が有るんだろうか？」<br />
ある晩、彼はレイアに聞いた。<br />
「才能が無ければ、音楽の勉強をしては駄目なの？」<br />
「駄目とは言わないよ。でも、音楽学校では音楽しか教えないだろ」<br />
「好きな勉強ができるのなら、それで十分じゃないの」<br />
「だけど、社会に出た時、“音楽しか知りません”じゃ、通用しないと思わないか？」<br />
「その他の事は、後からゆっくり覚えても十分間に合うじゃない。意欲が有る時に、好きな勉強をさせた方が、よっぽどあの子の為じゃない？」<br />
「……だけどね」<br />
「あなた、まさか反対するつもりじゃないでしょうね」<br />
「……」<br />
「好きな道を志すのがどうしていけないの？」<br />
「趣味でやる分には良いさ。だが、芸術として音楽を極めるとなれば話は別だ」<br />
それがどれほど険しく、苛酷な道であるか、彼は知っている。建築の世界でも、音楽の世界でも、王道を目指して敗れ去り、悲嘆と絶望のうちに人生を終えた者がどれほどたくさんいることか。</p>
<p>芸術――それを志す者は多い。だが、天恵を受け、栄光をつかむのはほんの一握である。<br />
いったん至高の光を目指し、王道を登り始めたら最後、世俗的な仕合せは捨て、絶対的な孤独の中で己の極限に挑み続けねばならない。<br />
もし道半ばで切り捨てられたり、自分に天恵が無いことを思い知らされた時には、時の骸と永久の渇きをひきずって、一人暗がりの道を下って行かねばならないのだ。</p>
<p>それでも、建築の世界は資格が有るだけいい。<br />
たとえ王道から外れても、資格さえあれば、どこででも仕事は続けられるし、一生の助けにもなる。<br />
実績を積めば、それなりに世間の評価が得られるし、内容に見合った報酬を受け取ることもできる。<br />
少なくとも、自分が学び、努力した歳月を、形に代えて未来に還元することができる。</p>
<p>だが、音楽の世界には何も無い。<br />
才能が無ければ、それで終わりである。<br />
もちろん、きちんと教育を受け、あるレベルにまで達すれば、それなりに活躍する道も開けるだろうが、それでも恵まれた境遇にあるのは僅かだ。<br />
人に“上手いね”といわれる程度では、実社会に直結しないのが現実なのである。</p>
<p>中途半端に終わるくらいなら……人に“上手いね”と言われる程度で終わってしまうのなら、我を忘れてのめり込む前に見切りをつけた方が良い。<br />
それこそ世界に名を馳すような大ピアニストになるならともかく、 “音楽しか知らない”人間的にも社会的にも偏った大人に育った日には、父子そろって世間のいい笑い者ではないか。</p>
<div id="attachment_11222" class="wp-caption alignnone" style="width: 151px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/bouguereau24.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/bouguereau24-141x270.jpg" alt="【 芸術と文学 】－ Art&amp;Literature －ウィリアム・アドルフ・ブーグロー William-Adolphe Bouguereau" width="141" height="270" class="size-medium wp-image-11222" /></a><p class="wp-caption-text">【 芸術と文学 】－ Art&amp;Literature －ウィリアム・アドルフ・ブーグロー William-Adolphe Bouguereau</p></div>
<p>二週間ほど経った頃、彼が夜遅くまでアトリエにこもって新規プロジェクトのエスキス（下書き）を描いていると、スティーブがティー・トレイを片手にひょっこり顔を覗かせた。<br />
スティーブはサイドテーブルにトレイを置き、小さい回転椅子に腰掛けると、ワーキングデスクに頬杖をついて言った。</p>
<p>「何描いてるの？」<br />
「美術館だよ。ヴェダの文化庁から依頼があってね。契約がまとまれば、来年の三月頃には着工する」<br />
「へえ。これ、美術館なの？ 僕には落書きにしか見えないや」<br />
父の白い製図用紙に描かれていたのは、形を成す前の線の束だったからだ。</p>
<p>彼は自分の額を指差すと、<br />
「“形”は頭の中……これからここに立ち上げる」<br />
するとスティーブはほんの少し顔をほころばせ、<br />
「お父さんには見えてるの？」<br />
「右も左も、外も中も……全部、はっきりと」<br />
「どんな風に？」<br />
「鮮明な写真を見ている時もあれば、一本の映画のフィルムが頭の中で回っている時もある。いろいろだね」</p>
<p>彼は紅茶を一口飲むと再びペンをとり、フリーハンドで幾重にも線を描き始めた。<br />
スティーブは、父の指の滑らかな動きをぼんやりと見つめながら、バックに流れる曲に耳を傾け、<br />
「ああ、これ……ラフマニノフの二番だね」とつぶやいた。<br />
そして、父のワーキングデスクにうつ伏せるように身をもたせかけると、静かに目を閉じ、右の指先でメロディを奏でた。</p>
<p>「お父さんは、本当にラフマニノフが好きなんだね」<br />
「お父さんのお父さんが好きで、よくレコードをかけてたからね」<br />
「『お父さんのお父さん』も音楽が好きだったの？」<br />
「バイオリンの名手だったよ。僕が子供の頃には、よくバイオリンを弾いて聴かせてくれた」<br />
「なのに、どうしてお父さんは音痴になったの？」<br />
「教会で讃美歌を歌わされるのが嫌で、わざと滅茶苦茶歌っているうちに、本物の音痴になったのさ」<br />
「神の呪いだ」<br />
「……かもしれない」<br />
二人は顔を見合せて笑った。</p>
<div id="attachment_11224" class="wp-caption alignnone" style="width: 280px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/poussin1.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/poussin1-270x239.jpg" alt="【 詩人の霊感 】The Inspiration of the Poet－ ニコラス・プーサン Nicolas Poussin" width="270" height="239" class="size-medium wp-image-11224" /></a><p class="wp-caption-text">【 詩人の霊感 】The Inspiration of the Poet－ ニコラス・プーサン Nicolas Poussin</p></div>
<p>彼は息いれて、紅茶をすっかり飲み干すと、再びペンを手にとった。<br />
「建築の仕事は楽しい？」<br />
「楽しい時もあれば、辛い時もある」<br />
「でも偉いんでしょ」<br />
「最初から偉かったわけじゃない。人に認められ、理解と協力を得られるようになるまでは、歯を食いしばって頑張った」<br />
「……お父さんも、人に馬鹿にされた事がある？」<br />
「あるよ。若い時はしょっちゅう」<br />
「どんな風に？」<br />
「『建築馬鹿』」<br />
スティーブは声を立てて笑った。</p>
<p>彼はペンを走らせながら、<br />
「今でこそライン・トラストも体質が変わったけれど、昔は、施工中心の総合建設業で、設計も『施工の為の設計』だった。いかにコストを安く上げるか、工法を簡素化し工期を短縮するか、会社に利益をもたらすか、損得計算ばかりで、設計者はみな『製図マン』と化していたよ。<br />
もちろん施主の事を考えれば、限られた予算の中で最大限に良い物を提供する事が重要だし、会社の不利益になるようなことも極力避けなければならない。だからといって、デザインの本質を歪めるような物を作ってしまえば、施主にとっても、周りに住む人々にとっても、都市全体から見ても、目に見えない形で損害を与える事になる。</p>
<p>建築は、音楽や絵画と違って、『公共の芸術』だ。<br />
自分一人で勝手に楽しむ為のものじゃない。<br />
建築士はそうしたことを十分認識した上で設計を行わなければならないんだよ。</p>
<p>でも、お父さんみたいに『こだわりだらけ』の設計者は、ライン・トラストには不要だった。<br />
自分の『個』を打ち出そうと思えば、当然、上部と対立するし、周囲からも浮き立つ。<br />
『ライン・トラストに&#8221;芸術家&#8221;は要らん』と、面と向かって言われた事もあるよ。<br />
賞をとった後も、『サラリーマン建築家』と罵られたし、『伯母の七光り』と中傷された事もある。</p>
<p>でも、お父さんは負けなかった。<br />
とことん自分の理想と信念を貫いてきた。<br />
『たった一人で始めた事でも、それが本当に意義の有る事なら、一人、また一人と後に続く者が現れる』<br />
――ヴァルター・フォーゲルの言葉をいつも胸に繰り返しながらね」<br />
「止めたいと思った事は？」<br />
「一度も無いよ」</p>
<div id="attachment_11225" class="wp-caption alignnone" style="width: 188px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/mpmorn.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/mpmorn-178x270.jpg" alt="【 夜明け 】－Morning （Spring）－ マックスフィールド・パリッシュ Maxfield Parrish" width="178" height="270" class="size-medium wp-image-11225" /></a><p class="wp-caption-text">【 夜明け 】－Morning （Spring）－ マックスフィールド・パリッシュ Maxfield Parrish</p></div>
<p>スティーブは、ようやく外観を現した建物の絵を見つめながら、<br />
「“形”はどうやってお父さんの頭の中に生まれるの？」<br />
「ある日、突然、結晶するんだよ」<br />
「“結晶”？」<br />
「そう……ニーズ、コンセプト、立地条件、周囲の景観、予算、工法……様々な材料を、頭の中の鍋釜にぶちこんで、想像力というサジでかき回しながら、朝夕かけてじっくり煮込む。<br />
やがて材料がどろどろに融けあって、十二分に煮詰まったら、 しばらく火を止めて様子を見る。<br />
そうして、真っ暗闇の中で、深く、静かに、息を潜めて待っていると、ある日、突然、浮かび上がるんだ。<br />
霧のように散らばっていた光の粒が互いに引き合い、一つの光に結晶するように、くっきりと頭の中に形が浮かび上がるんだよ」</p>
<p>スティーブは冷やかしでなく、心から感嘆の声をもらした。<br />
「いつからそんなことが？」<br />
「子供の時から、音楽を聴いては、そのイメージを絵に描いていた。その延長だな」<br />
「すごいね」<br />
「お前も習いたければ、教えてやるよ」<br />
「いらない」<br />
スティーブは笑った。<br />
「僕、美術は万年“C”なの、知ってるだろ」<br />
「建築も音楽も同じだよ」<br />
「……そうかな？」<br />
「建築は、一つ一つ線を重ねて、形を成してゆく。音楽は、一つ一つ音を連ねて、巨大な潮流を作りだす。<br />
どちらも真っ白な『無』の中から、『世界』を立ち上げ、構築する。元は一つだよ」</p>
<div id="attachment_11226" class="wp-caption alignnone" style="width: 280px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/giovann1.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/giovann1-270x269.jpg" alt="【アポロンとパエトーン】－ Apollo and Phathon－ Giovanni da san Giovanni" width="270" height="269" class="size-medium wp-image-11226" /></a><p class="wp-caption-text">【アポロンとパエトーン】－ Apollo and Phathon－ Giovanni da san Giovanni</p></div>
<p>スティーブは再びデスクにうつ伏せると、第二楽章のメロディを口ずさみながら言った。<br />
「ラフマニノフはこの曲を作る前、交響曲を批評家に酷評され、失意と絶望からひどい神経症に罹ってしまったんだよね」<br />
「でも、ドクターの献身的な治療により、再び創作に向かった。そして不滅の名作、ピアノ協奏曲第二番が誕生したわけだ」<br />
「人間って、そんなに強くなれるものなの？」<br />
「そうだね。人間も強いけど、芸術に向かう気持ちはそれ以上かもしれない」<br />
「“芸術に対する気持ち”？」<br />
「そう。お前の“ピアノを弾かなかったら窒息する”という気持ちとはまた少し違うものだ。絶対的な美への憧れと崇拝、創造をもたらす霊的存在、あるいは霊的経験に対する驚きと敬虔さ、創造への飽くなき欲望と情熱、絶え間無い魂の希求と創造的活動……本物の芸術家は、自分の全存在命をかけて創造の極限に挑む。<br />
そして、その至高の光をかいま見、栄光をつかむのは、ほんの一握だ」</p>
<p>スティーブは顔を上げ、まるで神託をうかがうように父の顔を見つめた。<br />
「僕にも出来ると思う？ ラフマニノフやベートーヴェンやリストが至高の光をかいま見、永久不滅の美を残したように、僕も同じ極所にたどり着けると思う？」<br />
彼はペンを止め、息子の目を優しく見つめ返すと、<br />
「お父さんにはお前の音楽の才能がどの程度かは解らない。<br />
お前が本当に芸術として音楽を極めたいと望むなら、無理に止めはしないよ。<br />
ただ、それは何よりも厳しく、険しい道であることを覚悟しなければならない。<br />
できれば、お父さんはお前に、己の極限に挑むような生き方を選んで欲しくないがね」</p>
<div id="attachment_11227" class="wp-caption alignnone" style="width: 280px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/delvill1.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/delvill1-270x218.jpg" alt="【 オルフェウス 】－Orpheus－" width="270" height="218" class="size-medium wp-image-11227" /></a><p class="wp-caption-text">【 オルフェウス 】－Orpheus－</p></div>
<p>スティーブは押し黙ると、<br />
「だけど、僕は音楽無しには生きられない。たとえ極に辿り着けなくても、音楽に満たされて生きていたい」</p>
<p>「芸術は非情だよ」。彼は息子の手を取って言った。<br />
「才能の無い者には容赦なく大鎌を振るい、光の片鱗にも触れさせない。彼が破滅しようが、血を流そうが、お構いなしだ。そして希求が激しければ激しいほど、振り落とされた時の絶望は地獄の淵より深い。狂気の中に一生を終えた人間を、お父さんはたくさん知ってる」<br />
「それでも目指すと言ったら？」<br />
「そうなる前に、安全な巣に逃がす」<br />
彼は息子の目を見据えて言った。</p>
<p>スティーブは逃げるように目をそらすと、<br />
「今度は三番をかけていい？」とリモコンのボタンを押した。<br />
「この曲の為に破滅したピアニストを知ってる？」<br />
「……知ってるよ」<br />
「彼は不幸だったと思う？」<br />
「家族は不幸だったろうね」<br />
「でも彼は幸せだったと思うよ」</p>
<p>そう言うと、スティーブは彼の方に向き直り、その手元を覗き込むようにして、ディティールの現れた図面を見詰めた。   「これでやっと僕にもどんな“形”か解ったよ。正面はえらく荘厳で仰々しいね。まるでヴェルディのレクイエムみたいだ」<br />
「それじゃ、落成式にはエントランスホールでヴェルディのレクイエムを大々的に流そう」<br />rn      彼が笑うと、スティーブは「しっ」と口に指を当て、<br />
「僕の好きな第一楽章のカデンツアだ。……この悪魔的な響き。ほとばしるような力強さ。<br />
いつか僕がこの曲に挑み、大舞台に立つ日が来たら、お父さんは前列左側の席で僕の指の動きを見ていて。<br />
 “己の極限”を突破した瞬間を、必ず見せてあげる」</p>
<p>息子の熱弁に、彼は穏やかに微笑むしかない。<br />
「僕がピアノに向かうのは一種の狂気だ。この世を離れた心の作用が無意識にそうさせる。<br />
お父さんの頭の中で光が“結晶”するのと同じだよ」<br />
「……」<br />
「『紙切れ一枚の縁』だけど、僕の中にもお父さんと同じものが存在する。お父さんがしてきたように、僕も『世界』を構築したい」</p>
<div id="attachment_11228" class="wp-caption alignnone" style="width: 231px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/flclyt.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/flclyt-221x270.jpg" alt="【 クリュティエ 】－ Clytie － フレデリック・レイトン卿 Fredrick Lord Leighton" width="221" height="270" class="size-medium wp-image-11228" /></a><p class="wp-caption-text">【 クリュティエ 】－ Clytie － フレデリック・レイトン卿 Fredrick Lord Leighton</p></div>
<p>息子の十七歳の誕生日。<br />
彼は、都内の高級ホテル「水晶宮（パレ・ド・クリスタル）」のレストランで、息子と二人、誕生日を祝った。<br />
息子は本当に良い青年になった。どこに出しても恥ずかしくない、上品な人間になった。<br />
以前は「野生の猿」さながらに、やんちゃで、利かん気で、本当に手を焼いたものだが、今では一端の「御曹司」らしい風格を備え、実に堂々たるものだ。<br />
見るからにぎこちなかった正装も、今では人が見惚れるぐらいびしりと着こなす事ができるし、<br />
マナーも言葉づかいも非の打ち所がない。その上、彼に代わって人前で挨拶を述べる事もできれば、客人を丁重にもてなすこともできる。<br />
最初はあまり良い印象を持たなかった者も、今では手放しに息子の事を褒め、「養父」である彼の訓育と愛情を心から称えるほどだった。</p>
<p>教え込んだ通りの作法で、品良く食事を進める息子の姿を見ながら、もし自分の生きた芸術品が存在するとするなら、それはこの息子ではないかと彼は思った。<br />
十四年前、この子を腕に抱いて家に連れて帰った時、この子はまだ彼のものではなく、彼もまたこの子の父親ではなかった。<br />
非業の死を遂げたダンとイルゼの影に脅かされながら、ただおろおろと息子の後を追いかけていたに過ぎなかった。</p>
<p>だが、今では、父親として果たすべき事は人並みに果たしてきたのではないかという自負がある。<br />
このまま嘘を貫き、自分の過ちを隠し通す事は、ダンとイルゼに対しても、息子に対しても、裏切り行為だというのは解っている。</p>
<p>だが、今さら真実を明かしたところで、誰が幸せになるというのだろう。<br />
この絆が――家族の幸福が――「嘘」の上に成り立っているのなら、どうか壊れないで欲しい。<br />
嘘を貫く事を許して欲しい――彼は、息子の顔に浮かび上がるダン・マイアーの面影に、そしていと高き所にいるイルゼの霊に心から詫びながら、じっと息子の顔を見つめるのだった。</p>
<div id="attachment_11230" class="wp-caption alignnone" style="width: 190px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/rembran7.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/rembran7-180x270.jpg" alt="【 聖イサクの犠牲 】－The Sacrifice of Issac－ レンブラント・ファン・レイン Rembrandt Vin Rijn" width="180" height="270" class="size-medium wp-image-11230" /></a><p class="wp-caption-text">【 聖イサクの犠牲 】－The Sacrifice of Issac－ レンブラント・ファン・レイン Rembrandt Vin Rijn</p></div>
<p>「来年の事だがね――ウェクスフォードを卒業したら、やっぱり音楽院に進むつもりなのかい？」<br />
スティーブは穿つような目で彼を見ると、<br />
「当たり前だろ。解りきったことを聞くなよ」<br />
「なあ――お前も来年は十八だ。十八になったら、この世界では一応“大人”とみなされる。今までみたいに、何でもお父さんと一緒、という訳にはいかなくなってくる。<br />
音楽をやりたいというお前の気持ちは解るが、何度も言ってるように、お前は宗家の跡取りだ。いつまでも家の事は“知らぬ存ぜぬ”では通らない。<br />
これからは、お父さんやルネに付いて、家の事を少しずつ覚えていってくれないか」<br />
スティーブはちらと顔を上げると、「今だって、ちゃんとお父さんに協力してるじゃない」と、ふくれた。<br />
「解ってるよ。お前はお父さんの代わりにちゃんと挨拶もできるし、客人の接待もできる。自分の務めはちゃんと果たしてると思ってるよ。<br />
でも十八になったら立場も変わる。むろん人の見方もだ。<br />
それなりに家の事が出来なかったら、今度はお前が笑われるんだぞ」<br />
「……俺には向かないよ」<br />
スティーブは吐き捨てるように言った。<br />
「人には得手・不得手がある。俺ばかりにこだわらず、他を当たった方がよっぽど家や一門の為だと思うけど」<br />
「やる前から何を言ってる」<br />
「じゃあ、もし俺が家と一門を破産させたら、その時はどうなるの？　どうせ皆で俺をこき下ろすんだろ。『ほら、見たことか』『得体の知れない養子なんぞ取るからだ』って、皆で後ろ指を指すんだろ」<br />
「そうならないようにお父さんがちゃんと見てやる。一から十まで間違いの無い方法を教えてやる。だから何も心配しなくていい」<br />
「――ばかばかしい」<br />
「何がばかばかしいんだ」<br />
スティーブはじっと彼の顔を見据えると、<br />
「『エル（＝至高者）』と呼ばれる父親をもつ息子の気持ちがお父さんに解る？」と聞いた。</p>
<div id="attachment_11231" class="wp-caption alignnone" style="width: 210px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/carava12.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/carava12-200x270.jpg" alt="【 バプテスマ（洗礼者）のヨハネ】－St.Jhon the Baptist－ カラバッジョ Caravaggio" width="200" height="270" class="size-medium wp-image-11231" /></a><p class="wp-caption-text">【 バプテスマ（洗礼者）のヨハネ】－St.Jhon the Baptist－ カラバッジョ Caravaggio</p></div>
<p>彼が小さく首をかしげると、スティーブは投げるように溜め息をつき、<br />
「俺は御免だ。――父さんのようにはなれない」<br />
吐き捨てるように言った。<br />
「別に“同じになれ”とは言ってないよ。お前はお前のやり方で、きちんと務めを果たしてくれればそれで良い。皆だって、それで十分認めてくれるはずだ」<br />
「俺はこの一年、ローレル・インスティテュートの仕事を手伝ったり、父さんと一緒に社交場を回ったりしながら、いろいろ考えた。自分の事や、家の事や、父さんの事を――。<br />
でも、どんなに考えても出来ないものは出来ないし、向かないものは向かない。俺は、父さんの生きてる“世界”とは相容れないんだよ。解るだろう？」<br />
「お前はお前なりに、ちゃんとやってるじゃないか」<br />
「それは父さんに恥をかかせたくないからさ」<br />
「……」<br />
「俺にだって誇りがあるからね。みすみす自分や父さんをおとしめるような事はしたくないから、父さんの言い付けに従ってきただけだよ。でもそれが限界だ。俺は自分の心に嘘はつけない」<br />
「そう感じるのは、お前が“子供”だからだよ。……お父さんだって昔はそうだった。嘘やおべんちゃらの世界が嫌でたまらなかった。それでも、その中で生きてきた。それが自分の努めであり、宿命だったからだ」<br />
すると、スティーブは露骨に顔を歪め、<br />
「その『宿命』ってやつを、勝手にいじくったのはどこの誰さ？ 俺が寝てる間に、俺の名前を変えたのはどこの誰だよ」<br />
「またその話か！」</p>
<p>うんざりしたように彼がこぼすと、<br />
「父さんには『またその話』でも、俺には一生の枷さ」。スティーブは刺すように言った。「『養子』にならなきゃ、俺はもっと別の人生を生きられたんだからな」。<br />
「じゃあ聞こう。僕の『養子』にならなかったら、どんな人生があったというんだ。お前の望む『別の人生』とは何だ？ 毎日ピアノを弾いて暮らすことか？」<br />
見下すような言葉の響きにスティーブは頬を引きつらせたが、彼は淡々とナプキンをたたみ、<br />
「人間、好きな事だけやって生きていけたら苦労はないさ。僕だって、叶うものなら一日中デザインの仕事をやってたいよ。だが人間それでは通らない。雑事もあればノルマもある。嫌な人間と顔を突き合わせるのも仕事のうちだ。 が、その中でいかに自分の生き方を打ち建てていくかだろう？<br />
あれは嫌、これもしたくない――いつまでもそんな甘えが通ると思ったら大間違いだぞ」</p>
<div id="attachment_11232" class="wp-caption alignnone" style="width: 214px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/jwdstny.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/jwdstny-204x270.jpg" alt="【 運命 】－Destiny－ ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス Jhon William Waterhouse" width="204" height="270" class="size-medium wp-image-11232" /></a><p class="wp-caption-text">【 運命 】－Destiny－ ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス Jhon William Waterhouse</p></div>
<p>「だったら価値観の相違だね。俺は父さんとは違う。<br />
自分が納得できない事は、たとえそれが世間の常識であっても、俺には論外だ。<br />
俺は自分が納得できる道をとことん探す。たとえ一生かかっても――だ」<br />
彼は息子の顔を見据えると、<br />
「お前は世の中のことなど何一つ解ってない」<br />
すると息子は真っ向から見返し、<br />
「父さんだって、俺のことなど何一つ解ってない」<br />
彼は怒りを堪えながら溜め息をつくと、「いったい何が望みなんだ？」と、息子の顔を見据えた。</p>
<p>「ピアノか？」</p>
<p>「父さんは俺なんか大した器じゃないと思ってるだろ」<br />
「――そんなことはないよ」<br />
するとスティーブは口元を歪め、<br />
「じゃあ、もし俺が音楽院に落ちて、ピアニストにもなれなくて、何一つ結果を得られなかったとしても、父さんは俺の好きにさせてくれる？俺の納得いくように生きさせてくれる？」<br />
彼は眉をひそめ、「どういう意味だ」とつぶやいた。<br />
「俺には生きたい生き方がある。たとえ誰に認めてもらえなくても、俺は全力をかけて自分の好きな道を行きたい」    「だからピアノは趣味として続ければ良いって言ってるじゃないか」<br />
「そういう意味じゃなくて！ ピアノに限った話じゃなくて！」<br />
「？？？？」<br />
「俺はこのまま父さんと同じ道を行きたくないんだ。そりゃ父さんは立派だと思うし、尊敬もしてる。でも、このまま父さんの後を付いていっても、何の為にもならないような気がするんだよ」<br />
「そんな事はやってみないと解らないじゃないか」<br />
スティーブが口をへの字に曲げると、彼は優しく息子の顔を見つめ、<br />
「お前が友達を見ていて、自分に焦りや迷いを感じる気持ちは解るよ。でもお前と友達では立場が違う。背負っているものもだ。<br />
別にお前がお父さんと同じ道を歩いたって恥じゃない。お父さんの後を継ぐのも立派な自立だと思うけどね」<br />
「そういう意味じゃなくて！ 俺は人間としての生き方の問題を言ってるんだよ！」<br />
彼が思わず笑いをこぼし、<br />
「お前、いつからそういう高尚な問題に触れられるようになったんだ？」<br />
と、からかい半分に言うと、スティーブはナイフをがんとテーブルに叩き付け、<br />
「父さんは俺の気持ちなんか全然解ってない！」と叫んだ。<br />
彼が面食らったように口をつぐむと、スティーブは上着の内ポケットから折りたたんだチラシを取り出し、彼に突きつけた。</p>
<div id="attachment_11233" class="wp-caption alignnone" style="width: 164px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/eleight1.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/eleight1-154x270.jpg" alt="【 忠誠 】－The Accolade－ エドムンド・ブレア・レイトン Edmund Blair Leighton" width="154" height="270" class="size-medium wp-image-11233" /></a><p class="wp-caption-text">【 忠誠 】－The Accolade－ エドムンド・ブレア・レイトン Edmund Blair Leighton</p></div>
<p>「六月に、カレオールのコンサート・ホールで学生を対象にした新人音楽コンクールが開かれる。もし俺が最終予選に残り、上位に入賞したら、俺を認めて欲しい」<br />
彼はチラシを受け取ると、折りたたんだままテーブルの上に置き、<br />
「コンクールを賭けに使うのか？」<br />
憮然と息子の顔を見た。<br />
「“賭け”じゃない。挑戦だよ」<br />
「コンクールに勝てば、“己の極限を突破できる”とでも思ってるのか？」彼が呆れたように笑うと、<br />
「俺は必ず最終予選に残る。最終予選に残ったら、俺は『三番』を弾くつもりだ。もし俺がそれを見事に弾きこなせたら、俺を認めて欲しい」<br />
「つまり、“お前の好きにさせろ”という事か？」<br />
彼はチラシを突き返すと、「そんな賭けには応じられない」と答えた。<br />
「どうして？」<br />
「入賞しても、しなくても、お前が僕の『息子』である事に変わりはないからだ」<br />
「だったら変えてみせるさ」<br />
「どうやって？」<br />
「コンクールを見に来てよ。前列左側の席で、俺の『三番』を聴いて欲しい。最終予選で、もし俺が父さんを感動させられなかったら、その時はあっさり敗けを認めるよ」<br />
「自信が有るのか？」<br />
「もちろん」<br />
「……『三番』なんて、子供に弾きこなせる曲じゃない」<br />
彼が鼻で笑うと、スティーブはナイフの切っ先を彼に向け、<br />
「俺だっていつまでも『子供』じゃない。その気になったら、いつだって父さんを踏み越えてみせる」<br />
彼は一瞬戦慄したが、グラスの酒を空けると、<br />
「ぜひ、そうなってもらいたいものだな」<br />
やっとそれだけ言った。</p>
<div id="attachment_11234" class="wp-caption alignnone" style="width: 176px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/waterho6.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/waterho6-166x270.jpg" alt="【 オデュッセウスに盃を差し出すキルケー】Circe Offering the Cup to Ulysses ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス Jhon William Waterhouse" width="166" height="270" class="size-medium wp-image-11234" /></a><p class="wp-caption-text">【 オデュッセウスに盃を差し出すキルケー】Circe Offering the Cup to Ulysses ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス Jhon William Waterhouse</p></div>
<p>それから息子は憑かれたように「三番」に取り組み始めた。<br />
それは凄まじいまでの意地であり、格闘だった。<br />
そうしてふと窓の下を見た時、彼は芝生の上に仰向けになっている息子の姿を見つけた。<br />
息子は頭の上に楽譜を広げ、両手を羽根のように伸ばし、目を閉じていた。一瞬、眠っているのかと思ったが、よく目を凝らしてみると、両の指が憑かれたように芝生の土を叩いている。<br />
息子は無心に何かを口ずさみながら、十指を草の上に走らせ、彼にしか聞こえない音楽を全身全霊で追っていたのだった。まるで楽譜の中に深く入り込み、音符の一つ一つにこめられた秘密を探り出そうとするかのように……。</p>
<p>こうしていると、息子は霊界を自在に行き来する魔術師のようにも、得体の知れない怪物のようにも思えた。<br />
彼には計り知れない魂の奥底に、あの子はあの子にしか感じ得ない音の泉をたたえていて、絶えず湧き出す激しい力に突き動かされて生きている。<br />
その一種狂熱的な心の作用と、音楽への激しい希求は、造形を司る彼の霊泉にさえ無いものだ。<br />
もし、息子が父を超えて何かを成す日が来るとしたら、その霊的な力が練達した技巧と完全に融合し、外的世界に向かって爆発した時ではないかと彼は思う。</p>
<div id="attachment_11235" class="wp-caption alignnone" style="width: 280px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/flandrin1.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/flandrin1-270x222.jpg" alt="【 海辺の若者 】－Young Man Beside the Sea－ ヒポリット・フランドリン Hippolyte Flandrin" width="270" height="222" class="size-medium wp-image-11235" /></a><p class="wp-caption-text">【 海辺の若者 】－Young Man Beside the Sea－ ヒポリット・フランドリン Hippolyte Flandrin</p></div>
<p>息子の内部でわだかまり、激しく醗酵しているものは、まだ肝心なエッセンスを欠いていて、皮も果肉も一所くたの煮汁でしかない。攪拌されることも、濾過されることもなく、熱い樽の中でただぐつぐつと煮えくり返っているだけだ。<br />
醸成するには『何か』が要るし、最上級の酒になるにはそれ以上の『何か』を注ぎ込まねばならない。<br />
希求だけでは形に成らないのが芸術だ。<br />
ただ闇雲に挑んでも、光は生まれない。<br />
霊泉に生命を吹き込む『何か』――自分の内面世界から、外的世界に向かって『何か』が炸裂した時、初めて魂が形を成す。<br />
人の胸に響くような、輝く創造が為せるのだ。</p>
<p>それでも息子は、自分の全存在をかけて、この大曲に立ち向かっている。至難を超克して、自分の音楽を作り出そうとしている。<br />
それは絶対的孤独の中で繰り広げられる、自分との闘いだった。誰もこの闘いに力を貸すことはできない。<br />
たとえ「エル」と呼ばれる父親であろうと――。</p>
<p>やがて息子は楽譜を抱えて一回転すると、楽譜を胸に載せたまま、両手を高く天にかざした。<br />
そして二、三度、宙を叩くと、弧を描くようにゆっくりと地面に降ろした。それから両手で思い切り草をむしると、空高くばら撒き、大きな溜め息をついて、再び草の上で弾き始めたのである。</p>
<p>「――頑張れ」<br />
我知らず、彼はつぶやいた。<br />
（入賞しようが、しよまいが、見事に『三番』を弾きこなせ。そして僕との“賭け”に勝ってくれ）<br />rn彼はカーテンを閉めると、そっと窓から離れた。そして、サイドボードに飾られた父の形見のバイオリンと聖書を祈るように見つめると、思わず胸の上で十字を切ったのだった。</p>
<div id="attachment_11236" class="wp-caption alignnone" style="width: 173px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/flinvoc.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/flinvoc-163x270.jpg" alt="【 祈り 】－Inovocation－ フレデリック・レイトン卿 Fredrick Lord Leighton" width="163" height="270" class="size-medium wp-image-11236" /></a><p class="wp-caption-text">【 祈り 】－Inovocation－ フレデリック・レイトン卿 Fredrick Lord Leighton</p></div>
<p>レイアが紅茶とクッキーを持ってピアノ室のドアを開けると、ピアノの前にスティーブの姿は無く、開け放たれた窓から強い風が吹き込んでいた。トレイをキャビネットに置き、窓を閉めて部屋を見渡すと、我が家の名ピアニストは部屋の隅のソファにぐったりと横たわっていた。<br />
側に寄ってみると、スティーブは張り詰めた糸が切れたように深く寝入っている。<br />
（この子は、父親に叱られて居間のソファにうずくまって泣いていた頃と少しも変わっていない。ただ、泣いて自分を訴える代わりに、がむしゃらにピアノを弾いているだけなんだわ）</p>
<p>レイアは傍らにあったジャケットを彼の身体に掛けると、静かに側を離れ、ピアノの方に歩み寄った。<br />
譜面台には、『ラフマニノフ ピアノ協奏曲第三番』と標記された楽譜が立てかけられている。<br />
ぱらぱらと楽譜をめくると、目のまうような音符の波と、譜面を埋め尽くす書き込みが目に飛び込んできた。<br />
本格的にピアノを習った事のないレイアにも、楽譜を見るだけで、この曲の難度が十分計り知れる。<br />
それは十指で弾きこなせるものではない。十指の動きを超えて初めて可能になるものだった。<br />
レイアは彼の寝顔を見ながら、己の極限に挑む激しい気迫と、父親に対する凄まじいまでの意地を思った。</p>
<p>ピアニストが一つの曲に向かう事は、一種の霊媒に似ている。<br />
音符を通じて、彼は創造主である「神」 ――すなわち作曲者の全霊に触れ、その霊を己の内側に宿らせる。<br />
そして、自身の魂とその霊を融合させて一体の音楽と成し、 十本の指から紡ぎ出すのだ。</p>
<p>音楽を奏でている間、大抵のピアニストは我を離れ、完全なトランス状態にある。魂からあふれ出る音楽だけが彼の耳に響き、無意識に指を動かす。<br />
作曲者の霊を己に同化し、「自分の音楽」を作り出そうと思えば、ピアニストはその曲の中に深く入り込み、自身をその世界に完全に融合せねばならない。<br />
それは交霊であり、忘我であり、神託といえよう。</p>
<p>技巧の練達にそうした霊的作用が加わって初めて、ピアニストはその曲を我が物とし、「自分の音楽」を奏でる事ができるのである。<br />
そして曲へのアプローチが深ければ深いほど、心もまた作曲者の霊とより深く交わる。<br />
時には我を失うほど、強く、激しく、その霊的世界に飲み込まれてしまう。<br />
『三番』に取り組んでから、この子の勘がますます研ぎ澄まされ、周りにも、自分自身にも過敏になり始めたのも、やむを得ないことかもしれない。<br />
ただ家族にしてみれば、心の平衡を失ってまで、深く入り込まないで欲しいというのが切なる願いだったが――。</p>
<div id="attachment_11237" class="wp-caption alignnone" style="width: 169px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/elmpsyc.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/elmpsyc-159x270.jpg" alt="【 プシュケ（霊魂）】－Psyche－ アーネスト・リー・メイジャー Earnest Lee Major" width="159" height="270" class="size-medium wp-image-11237" /></a><p class="wp-caption-text">【 プシュケ（霊魂）】－Psyche－ アーネスト・リー・メイジャー Earnest Lee Major</p></div>
<p>レイアは椅子に腰掛けると、びっしり書き込みがされた譜面を見ながら、何がこの子をここまで駆り立てているのだろうと思った。<br />
入賞したいなら、なにもこんな難曲に挑まず、自分の技量に合った曲を選べば良い。父親に一端の所を見せたいなら尚のこと、得意な曲で舞台に上がれば良いのだ。<br />
たとえ上位入賞を果たしたところで、父親の意思が変わらぬ事は、この子が一番良く知っているはずなのに……。</p>
<p>とその時、楽譜の隙間から一枚の絵がこぼれ落ちた。<br />
レイアは、はっと胸をつかれた。<br />rnそれはT・フィンチの描いた『ライオス王を討つエディプス』だったのである。<br />
横倒しの戦車、振り上げられる棍棒、恐怖に蒼ざめるライオス王――『この人はどうして殺されるの？』――かつて、無邪気に聞いた幼いあの子の笑顔が、レイアの脳裏を過ぎる。<br />
レイアは震えながら絵を楽譜に直すと、ソファで寝息を立てる息子の顔を見ながらつぶやいた。<br />
（あなたは知らないの？ ライオス王を討ったエディプスの末路を。実の父親を殺した息子は、自分の罪を知った後、両目をくり抜いて死ぬまで荒野をさ迷うのよ） …〈中略〉…</p>
<div id="attachment_11238" class="wp-caption alignnone" style="width: 138px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/angelo1.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/angelo1-128x270.jpg" alt="【 スフィンクスとオイディプス】－Sphinx and Oedipus－ ギュスターヴ・モロー Gustave Moreau" width="128" height="270" class="size-medium wp-image-11238" /></a><p class="wp-caption-text">【 スフィンクスとオイディプス】－Sphinx and Oedipus－ ギュスターヴ・モロー Gustave Moreau</p></div>
<p>「父さんはまだ御冠？」<br />
「そんな事ないわよ。いつも、あなたの事を気に掛けてらっしゃるわ」<br />
「でも、居間のピアノに鍵を掛けやがった」<br />
彼が吐き捨てるように言うと、レイアは厳しい目を向け、<br />
「あなたも悪いわよ。いくら気に入らないからって、あそこまでひどい仕打ちをする事はないでしょう」<br />
「……」<br />
「お父様はね、あなたが一番大事なの。いつだって、あなたの幸せを一番に考えてらっしゃるのよ」<br />
「その『一番』が曲者なんだよ」<br />
彼は声を荒げた。</p>
<p>「俺はね、父さんが憎いわけでも、嫌いなわけでもない。理屈抜きに、その存在が重荷なんだ。解るだろ？」<br />
同意を求めるように彼女に迫ったが、レイアは彼の幼い瞳をじっと見つめると、<br />
「あなた、何を恐れてるの？ まるで逃げ惑う小鳥みたいに」<br />
「……別に恐れちゃいないよ」<br />
「いいえ、恐れてるわ。あなたは全てを恐れてる。現実と向き合う事も、あの人と向き合う事も」<br />
彼が口をつぐんで、目を伏せると、<br />
「父親と比べられるのが、そんなに恐い？」<br />
レイアは彼の顔を覗き込むようにして言った。<br />
「あの人を前にしたら、どんな人間もたじたじとなるわね。顔良し、頭良し、家柄良し、何もかも揃った完璧な人――。<br />
世間では『天才』と呼ばれ、誰もがその才を認める有名建築家――『エル』の名を持つ、至高の存在ですものね」<br />
彼が何か言いかけると、レイアは厳しい眼でそれを制し、<br />
「だからといって自分を卑下したり、意地を張ることは無いんじゃないの。あなたはあなたで、堂々と胸を張って生きればいい。誰に何を言われようと、自分を貫けばいい。人目を恐れるのは、結局、自分に自信が無いからよ。――違う？」</p>
<div id="attachment_11239" class="wp-caption alignnone" style="width: 201px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/thayer2.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/thayer2-191x270.jpg" alt="【 翼ある人 】－Winged Figure－ Abbot　H.Thayer" width="191" height="270" class="size-medium wp-image-11239" /></a><p class="wp-caption-text">【 翼ある人 】－Winged Figure－ Abbot　H.Thayer</p></div>
<p>「あなたが本当に強いのは、ピアノを弾いてる間だけ――それだって、子供が意地張って、大人にわあわあ突っかかるのと変わらない。あなたはあなたなりに頑張ってきたかもしれないけれど、まだ“本物”じゃないの。だから破綻するのよ。すぐに心がぐらついて、荒れたり、いじけたりしてしまうんだわ」<br />
彼は落ち着かぬように視線を廻らせ、固く口をつぐんでいたが、ふと上を向くと、<br />
「俺だってね、父さんみたいになりたかったよ。頭が良くて、何でも出来て、誰からも仰ぎ見られるような人間になりたかった。本当だよ」<br />
「『同じ』になる事はないわ。あなたは“あなた”で良いのよ」<br />
「でも、皆は『同じ』である事を求めてる」<br />
「皆がどう思おうと、あなたは“あなた”で良いのじゃなくて。そんなに人目ばかり気にしてどうするの？ 言いたい人には、言わせておけばいいじゃない。お父様だって、そうやって口さがない世間と闘ってこられたのよ」<br />
レイアがぴしゃりと言うと、彼は幼子みたいに押し黙り、目をしばたいた。<br />
「あなたも苦しんだでしょうけど、あの人も同じくらい、あるいはそれ以上に苦しんできたの。それでも逃げずに自分を貫いてきたわ。あなたに『嘘つき』と詰られようと、必死で家と家族を守ってきたんじゃないの。<br />
今だって、あの人の心の中はあなたの事でいっぱいよ。あなたには押し付けがましく感じられるかもしれないけれど、 あの人ほどあなたの事を大切に思ってる人間は無いわ。その気持ちは解ってあげなきゃ」</p>
<p>「俺の前にはいつだって“あいつ”がいる。いつも目の前に壁みたいに立ちはだかって、俺に強い影を投げかける。俺が影から抜け出して、“自分”を掴もうと思ったら、壁を崩すか、飛び越えるしかないんだよ。<br />
“あいつ”がどうしようもない悪人だったら、俺も容赦なく突き崩すのに、“あいつ”は悪人じゃない。俺にはとても突き崩せない。<br />
――結局、飛び越えるしかないんだよ。でも、どうやって？<br />
思い付いた事といえば、『三番』を弾く事ぐらいだった。<br />
あれを一端に弾きこなし、あいつの度肝を抜く事ができたら、何となく“勝てる”ような気がしたんだよ。<br />
もちろん、そんな事をしたって、何一つ適わないのは解ってる。<br />
でも『何か』したかった。これと言える『何か』――自分にしか出来ない『何か』が。<br />
そんな『何か』が手に掴めたら、もう惑うことも、焦ることも無い。<br />
何ものにも脅かされることなく、自分の生き方ができるような気がするんだよ……」</p>
<div id="attachment_11240" class="wp-caption alignnone" style="width: 280px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/michela7.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/michela7-270x170.jpg" alt="【 アダムの創造 】－The Creation of Man－ ミケランジェロ Michelangelo" width="270" height="170" class="size-medium wp-image-11240" /></a><p class="wp-caption-text">【 アダムの創造 】－The Creation of Man－ ミケランジェロ Michelangelo</p></div>
<p>一人、また一人と審査は順調に進み、ついに息子の名が呼ばれた。<br />
演目が紹介されると、一瞬、会場はどよめき、おぼつかない拍手がぱらぱらと鳴った。<br />
それもそうだろう。<br />
学生対象の新人音楽コンクールで、ラフマニノフの『三番』を選ぶ物好きはまずいない。<br />
しかも音楽学校の生徒でもない十七歳の若者が『三番』に挑むなど、無謀としか言い様が無いからだ。</p>
<p>それでも息子は不思議なくらい落ち着いた顔でステージに現れた。<br />
そして、ピアノの前で深々と一礼すると、ゆっくり顔を上げながら前列左側の席を見やった。</p>
<p>彼の姿を認めると、息子は安心したように頬を緩め、彼は祈りを込めて微笑みを返した。<br />
息子は堂々たる態度でピアノに向かうと、深く息を吸い込み、目を閉じた。<br />
そして、胸の中で何か唱えると、意を決したように指揮者の顔を見上げた。<br />
指揮者がタクトを上げると、オーケストラが一斉に楽器を構え、息子も静かに鍵盤に両手を乗せた。</p>
<p>第一楽章が始まった。<br />
豊かな弦の上を、息子の奏でる第一主題がたっぷりとした響きをもって流れる。<br />
スケールもアルペジオも完璧だ。ピアノも良く鳴っている。<br />
すでに深い音の世界に入った息子の指先は、まるで羽根が生えたように鍵盤の上を駆けていた。<br />
あの叩きつけるような激しさも、今はない。<br />
広がる弦の響きに、ダイヤのようなピアノの音色を融合させ、情熱と哀感に満ちたラフマニノフの世界を無心に作り出している。まるで自分の心の壁を打ち破り、別の何かに生まれ変わろうとするかのように。</p>
<p>第二楽章は哀感に満ちた弦の音から始まり、木管が柔らかにそれに追従する。<br />
広大なロシアの夕暮れを思わすアダージョをオーケストラが奏でると、やがてその豊かな音量を支配するようにピアノ・パートが現れ、 主題を受け継いだ。<br />
ここは、ともすれば派手になりがちな技巧を上手く抑え、豊かな情感を表現せねばならない。<br />
表現が大袈裟になれば仰々しくなるし、かといって抑制し過ぎれば音が渇き、印象が薄れてしまう。<br />
技巧に振り回されず、かつ感情に飲まれない様、ラフマニノフ特有の哀感を醸し出さねばならない難しい所だ。</p>
<p>それでも無心にピアノに向かい、ラフマニノフの世界を演じる息子の姿を見るうち、彼は、あのひねた利かん坊がいつの間にこんな影と深みのある大人の情感を奏でられるようになったのかと、しみじみ思わずにいなかった。<br />
その音色には、精一杯背伸びして「大人の男」になろうとする息子の希求と憧れが、可愛いくらいあふれていた。</p>
<p>彼はふと、レイアのスカートにまとわりついていた息子の姿を思い出し、頬を緩めた。<br />
息子がどんな想いでレイアを見てきたか、彼は知っている。子供の頃、ラブレターまがいの手紙を書いて渡した事も、思春期に、彼女を想う気持ちから家に居られなくなった事も、「取っちゃおうかな」という冗談が半分本気である事も――。<br />
息子にとってレイアは「求めても得られない永遠の女性」だった。息子ともめた時、「父親」である彼の存在を、息子の中で一等複雑なものにしているのは、レイアではないかと思うこともしばしばである。</p>
<div id="attachment_11241" class="wp-caption alignnone" style="width: 98px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/leighton2.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/leighton2-88x270.jpg" alt="【 プシュケ 】－Pshyche－ フレデリック・レイトン卿  Frederick Lord Leighton" width="88" height="270" class="size-medium wp-image-11241" /></a><p class="wp-caption-text">【 プシュケ 】－Pshyche－ フレデリック・レイトン卿  Frederick Lord Leighton</p></div>
<p>やがて情熱的なピアノ・ソロが第二楽章を締めくくり、最終楽章に飛び込むと、彼は椅子に深く座り直し、息子の姿を見つめた。<br />
その手も額も汗だくだ。鍵盤を叩くたびに、玉のような汗が飛び散る。<br />
今にもはちきれそうな心の高ぶりが、激しい息遣いとなって、全身を揺さぶっている。<br />
ピアノとオーケストレーションの醸し出す、華麗で情熱的な響きがホールいっぱいにこだまする中、彼は「頑張れ」と胸に叫びながら、息子を一心に見つめた。</p>
<p>音楽に全身全霊を委ね、持てる技巧の全てを駆使して、クライマックスへと向かってゆく息子の姿は、実に雄々しく、鮮烈だった。<br />
そこにすねた少年の影は微塵も無く、まるで羽根の生え変わった雄鳥のような力強さが満ち満ちていた。<br />
歓喜と希望に満ちた最後の旋律が流れ、息子のピアノが壮麗に締めくくると、彼は真っ先に拍手を送り、「良くやった、良くやったぞ」と胸の中で繰り返した。</p>
<p>息子はよろけるように立ち上がると、ピアノをつたって前に進み、深々と一礼した。<br />
嵐のような拍手と歓声の中で、息子は誇らしげな笑みを浮かべると、もう一度一礼し、指揮者と握手を交わした。<br />
汗とも涙ともつかぬものが息子の頬を濡らしていたが、彼と目が合うと、息子は頬を拭い、満面を輝かせた。<br />
彼はもう一度心から拍手を送ると、二人にだけ聞こえる声で「良くやったぞ」と伝えたのだった。</p>
<p>そうして息子が舞台袖に下がると、彼は感極まって、隣の老婦人の手をレイアと勘違いしてぎゅっと握り締めた。<br />
老婦人は眉をひそめて何か言いかけたが、彼が誰だか分かると、感激したようにその手を引き寄せ、皺だらけの手に包み込んだ。<br />
それでも彼が顔を上気させ、「素晴らしい演奏だった」と声を弾ませると、老婦人もにこやかに頷き、 「ミスも目立ったけれど、良い演奏でしたね」と答えた。<br />
「あれは僕の息子なんです」<br />
彼が顔を輝かせると、老婦人は冗談みたいに聞き流し、うんうんと頷いた。それでも彼は何度も何度も、「あれは僕の息子なんです……僕の息子なんです……」と声を潤ませたのだった。</p>
<div id="attachment_11242" class="wp-caption alignnone" style="width: 158px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/bouguereau8.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/12/bouguereau8-148x270.jpg" alt="－ The Dance－ ウィリアム・アドルフ・ブーグロー William-Adolphe Bouguerea" width="148" height="270" class="size-medium wp-image-11242" /></a><p class="wp-caption-text">－ The Dance－ ウィリアム・アドルフ・ブーグロー William-Adolphe Bouguerea</p></div>
<p><font color="darkviolet">……from My　Private Edition &#8221;97</font></p>

<a href="http://twitter.com/?status=RT+%40sanmariecom%3A+%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%80%8EShine%E3%80%8F%E3%81%A8%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%8E%E3%83%95+%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA+-+sanmarie%2Acom+http%3A%2F%2Ftinyurl.com%2F24dt3kr" class="tweet-this" ><div align="right"><img src="http://www.sanmarie.me/sanmarie/wp-content/plugins/simple-tweet/img/tweet.gif" title="ツイート" alt="ツイート" />ツイート</div></a>]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>アンドレ・ワッツのピアノ・リサイタルに寄せて / ラフマニノフピアノ協奏曲とリスト名曲集</title>
		<link>http://sanmarie.me/rachmaninov-2</link>
		<comments>http://sanmarie.me/rachmaninov-2#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 01 May 2010 21:04:37 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[ピアノの名曲]]></category>

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		<description><![CDATA[私がアンドレ・ワッツ氏を知ったのは高校生の時。
京都市交響楽団が青少年向けに当時としては破格の安さで催したクラシック・コンサートで、メイン・プログラムの『ラフマニノフ　ピアノ協奏曲第二番』のピアニストを務めたのがワッツ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/05/watts.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/05/watts-e1280358921356.jpg" alt="アンドレ・ワッツ" title="アンドレ・ワッツ" width="400" height="271" class="aligncenter size-full wp-image-13471" /></a></p>
<p>私がアンドレ・ワッツ氏を知ったのは高校生の時。<br />
京都市交響楽団が青少年向けに当時としては破格の安さで催したクラシック・コンサートで、メイン・プログラムの『ラフマニノフ　ピアノ協奏曲第二番』のピアニストを務めたのがワッツ氏だったのだ。</p>
<p>「ラフマニノフの二番」と言えば、耳が腐るほど聴き続けた名曲中の名曲だし、リヒテルの歴史的名演で名高いレコードも繰り返し耳にした。<br />
正直、あれ以上のものはあり得ないと思っていたし、後にも先にも、ピアニストと言えばやっぱりリヒテルでしょー、みたいな思い込みもあって（他にも優れたピアニストはたくさんいるのだが、幼少時に聴いたリヒテルの印象があまりに強烈だった）、アンドレ・ワッツがラフマニノフを弾くと聞いた時は、<br />
「誰、それ？　青少年向けの格安コンサートに呼び出される、三流ピアニストなんしょ？」<br />
なんて酷いことを考えたりもしていたのだ。</p>
<p>しかし。</p>
<p>あの夜、アンドレ・ワッツが弾いたラフマニノフの二番は、まさに情熱の塊だった。<br />
コンサートで「鳥肌が立つ」ほどの激しい昂揚感を感じたのは、後にも先にも、彼のラフマニノフだけだった。</p>
<p>ゾウのように大きな黒いグランドピアノが、彼の二本の手の下で、まるで雷に打たれたように震えるのを何度も見たし、疾風のようなスケールに噴き上げられて、会場中が音の渦に呑み込まれる様も感じた。</p>
<p>あの夜は、ピアニストとオーケストラはもちろん、それこそ会場中が一体と化して、壮麗なラフマニノフの世界に「本当に」酔いしれたのである。</p>
<p>あれから、ラフマニノフの二番はコンサートで何度も聴いたけれど、あれほど会場を湧かせた演奏にはついにお目にかかることはなかった。<br />
大家と呼ばれる人の演奏でさえ、鳥肌が立つほどの昂揚を覚えることはなかった。</p>
<p>評論家に言わせれば、歴史的名演を残すような世界の巨匠に比べれば、ワッツはその足元で淡々と自分のピアノを弾き続けるような亜流の存在なのかもしれない。</p>
<p>でも、「一流」とか「巨匠」とかいうタイトルは誰が決めるのだろう。</p>
<p>時には、それに属さぬ人が、生涯忘れ得ぬような名演を残すことだってあるはずだ。</p>
<p>あの夜のワッツは本当に神がかっていたし、あれほどの演奏を2千円ポッキリで聴けた私もなんと幸福だったのかと思う。</p>
<p>ピアノは、ピアニストだけのものじゃない。</p>
<p>上手く言えないけれど、そんなことを教えてくれるアンドレ・ワッツなのである。</p>
<h3>§ アンドレ・ワッツのリサイタルに寄せて</h3>
<p>九月にアンドレ・ワッツ氏のピアノリサイタルを聞きに行った。<br />
一曲目は、私も練習したことのあるモーツァルトのソナタだった。<br />
彼の演奏を聞きながら、ああ、この曲、こんなにきれいな曲だったんだ、と初めて思った。　</p>
<p>ピアノの先生は、いつもベートーヴェンは姉に弾かせ、私にはモーツァルトを弾かせた。<br />
姉がダイナミックにベートーヴェンのソナタを弾きこなすのを傍らで聞きながら、私は何度モーツァルトに舌を出したかわからない。<br />
ただ楽譜を追いかけるだけで、弾くほどに嫌になった。<br />
それでも私の指にはモーツァルトの方が合っているからと、根気よく弾かせようとする先生のことまで嫌になっていった。　</p>
<p>いやいや、だらだら弾くものだから、上達できるわけがない。<br />
そのうち私はモーツァルトにもピアノにも嫌われて、しまいには自在に指を動かすこともできなくなってしまった。自分の練習不足をたなにあげ、癇癪を起こした私は、とうとう弾くことをやめてしまったのだ。（本当に情けないことに）</p>
<p>ワッツ氏のモーツァルトはきれいだった。<br />
その響きを聞きながら、私は胸が痛いくらい思った。<br />
どうしてもっと努力しなかったのだろう。<br />
そうすればこの美しさにも気付けただろうに、と。</p>
<p>涙があふれそうになるのを必死にこらえながら、私は夢中で彼に拍手を送った。<br />
もう弾くことはできなくても、音楽の美しさに感動できる心をいつまでも持ち続けられるように、と祈りながら。</p>
<p><font color="darkgreen">1998年『音楽の友』に掲載されたものを補筆しました。</font></p>
<h3>§ Video</h3>
<p>You Tubeに二番を弾いている動画がなかったのは残念。<br />
こちらはかの有名な第一楽章のカデンツァ。<br />
ワッツらしい粒のそろった、情熱的な演奏が聴ける。</p>
<div class="myvideo">Rachmaninoff No.3 Cadenza -Andre watts-<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/rachmaninov-2"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p></br><br />
こちらは私が繰り返し聞いているアンドレ・ワッツの『ラ・カンパネラ』。<br />
他にも名演と呼ばれるものはたくさんあるのだが、結局、この演奏に落ち着いてしまう。<br />
Amazonのレビューにもあるように、一音一音が丁寧で、水面に跳ねる光のよう。<br />
一見、技巧派に見えて、それをひけらかさないところがワッツの魅力かも。</p>
<div class="myvideo">アンドレ・ワッツ　『ラ・カンパネラ』<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/rachmaninov-2"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>　</p>
<p>この動画は音質も画質も非常に良く、ワッツ氏の演奏がリアルに感じられます。</p>
<div class="myvideo">Andre Watts Liszt Transcendental Etude no.10<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/rachmaninov-2"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<h3>§ アンドレ・ワッツに関するCD</h3>
<h6>アンドレ・ワッツ　リスト名曲集</h6>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000228WCY&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>リストの名演と言えば、リスト直系に弟子と言われるホルヘ・ボレット、クラウディオ・アラウ、ウラジミール・アシュケナージなど、世界の大家が名を連ねているが、結局、私が飽きずに聞いているのといえば、アンドレ・ワッツ氏のリスト名曲集。<br />
レビューでもあるように、技巧に走りがちなリストの難曲を一つ一つ丁寧に弾きあげる誠実なピアニズムに心を惹きつけられる。<br />
フジ子・ヘミングさんもそうだけど、「この人に弾けないリスト」を味わうなら、大家には数えられないけれど、ワッツ氏のリストがお薦め。選曲もいい。<br />
「パガニーニによる大練習曲」~第3曲嬰ト短調“ラ・カンパネラ”<br />
第5曲ホ長調“狩”<br />
調性のないバガテル<br />
「3つの演奏会用練習曲」~溜息<br />
など、全12曲。<br /></p>

<a href="http://twitter.com/?status=RT+%40sanmariecom%3A+%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%84%E3%81%AE%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%81%AB%E5%AF%84%E3%81%9B%E3%81%A6+%2F+%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%8E%E3%83%95%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E3%81%A8%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E5%90%8D%E6%9B%B2%E9%9B%86+-+sanmarie%2Acom+http%3A%2F%2Ftinyurl.com%2F23gcw6r" class="tweet-this" ><div align="right"><img src="http://www.sanmarie.me/sanmarie/wp-content/plugins/simple-tweet/img/tweet.gif" title="ツイート" alt="ツイート" />ツイート</div></a>]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>涙と青春の『アルヴァマー序曲』　～吹奏楽よ、永遠なれ～　/ 『ジュビラント序曲』『インヴィクタ序曲』</title>
		<link>http://sanmarie.me/music-5</link>
		<comments>http://sanmarie.me/music-5#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 01 May 2010 20:38:04 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[珠玉のシンフォニー]]></category>

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		<description><![CDATA[誰にでも忘れがたい思い出の曲があるものだが、私の場合、それは吹奏楽の雄、ジェームズ・バーンズ作曲による『アルヴァマー序曲』だ。
全国何万の高校生吹奏楽部員の胸を熱くし、日本のみならず、世界中の若者を惹きつけて離さない、吹 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>誰にでも忘れがたい思い出の曲があるものだが、私の場合、それは吹奏楽の雄、ジェームズ・バーンズ作曲による『アルヴァマー序曲』だ。</p>
<p>全国何万の高校生吹奏楽部員の胸を熱くし、日本のみならず、世界中の若者を惹きつけて離さない、吹奏楽界のヴァン・ヘイレンこと「J・バーンズ様」。</p>
<p>そのバーンズ様の世界的代表作にして、青春時代を吹奏楽に捧げた人なら恐らく誰もが一度は演奏した（もしくは憧れた）であろう、この『アルヴァマー序曲』は、「聞くよりも、自ら奏でて初めて輝く曲」であり、どんな部員をも熱くさせる<br />
不思議な魔力を持っている。</p>
<p>吹奏楽コンサートなんかでたまたま聞いた人の耳には、「ああ、カッコいい曲だな」ぐらいにしか思わないかもしれないが、実際に演奏した者には――とりわけ、吹奏楽コンクールの自由曲として日夜練習に取り組んだ者には、不滅の輝きをもって心に刻みこまれる、まさに「<strong>永遠の青春賛歌</strong>」なのである。</p>
<div class="myvideo">アルヴァマー序曲(東京佼成ウインドオーケストラ)<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/music-5"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>
こちらはアメリカ発の演奏。テンポもゆったりとして、また違った味わいがあります。</p>
<div class="myvideo">Alvamar Overture (James Barnes)<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/music-5"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>
どんな人間も「熱さ」を求めて生きている。</p>
<p>泣ける映画が流行るのも、やらせのTV番組が横行するのも、みんな魂の充足を求めているからで、もし魂から熱を抜き取ったら、どんな元気な若者もゆっくりと死んで行くだろう。</p>
<p>しかしながら、魂の自家発電装置を持っている人間は稀で、多くは「熱してくれる何か」を必要とする。</p>
<p>もし人が幸せに生きる上で、その『何か』が不可欠だとしたら、「吹奏楽」は一生分の熱を与えてくれる。</p>
<p>たとえ途中で止めることになっても、一度でも「燃えた」経験があるならば、きっと──。</p>
<p>（私も自分のサイトにいろんな動画をくっつけてるけど、毎日聴いてるのって、このページぐらいだわ（笑）</p>
<h3>§ 思い出の吹奏楽</h3>
<p>　</p>
<p>こちらも非常に思い出深い曲、アルフレッド・リード作曲の「ジュビラント序曲」。<br />
鍵盤楽器を担当して、審査員にベタ褒めされたのがすごく嬉しかった。<br />
でも、そのキッカケを作ってくれたのは、芸大生のOBの先輩。<br />
「同じ音を連打する時は、心持ちクレッシェンドにするのがコツなんだ」<br />
この一言でステップアップしましたからねー。<br />
これもリードらしい、ノリのいい曲でした。</p>
<div class="myvideo">A Jubilant Overture Burges Symphonic Band &#8217;78<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/music-5"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p></br><br />
こちらはさらにアップテンポで、クールです。<br />
音質も良いので、両方聞き比べてみてくださいね。</p>
<div class="myvideo">ジュビラント序曲　A. リード作曲 a Jubilant Overture<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/music-5"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>
もう一つおすすめが、J・スウェアリンジェン作曲の「インヴィクタ序曲」。<br />
なんとなーくアルヴァマーに似てる。<br />
これも打楽器が大活躍なんだよね。とくにスネア・ドラムが。<br />
先輩の演奏が素敵でした。</p>
<div class="myvideo">インヴィクタ序曲　J.スウェアリンジェン<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/music-5"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p></br><br />
こちらはかの有名な「ウエストサイド・ストーリー」をブラスバンド用に編曲したもの。<br />
このドラムは非常にリズミカルで楽しかった。<br />
ンチャチャ、ンチャチャ、ンチャ、ンチャ、ンチャ、の裏拍子が最高。<br />
あと、「トゥナイト」の、ズッチャカチャカ、チャカチャカ、チャッチャッチャチャの部分とか。<br />
パーカッション大活躍の曲って案外少ないので、この時は燃えたなー。<br />
「マンボ！」ってみんなで間の手入れてね。<br />
思い出深い曲です。</p>
<p><a href="http://sanmarie.me/music-5"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p>
<p>
もう一度、聴けてよかった。。</p>
<p>Youtubeよ、ありがとう……。</p>
<h3>§ 関連商品</h3>
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<p>のっけから「アルヴァマー」で始まるファン垂涎の一枚。<br />
おまけに隠れた名曲「センチュリア」まで収録されてるぞ。<br />
これぞまさに高校ブラバン・ベスト盤。<br />
</p>
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<p>バーンズ先生が好きなら、これがおすすめ。<br />
ここにも「アルヴァマー」入ってます。<br />
ブラバンやって、アルヴァマーやってない人、淋しくないかぁ？？？<br />
っちゅうぐらい、熱く燃えます♪<br />
</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005GB5N?ie=UTF8&#038;tag=ma046-22&#038;linkCode=as2&#038;camp=247&#038;creative=1211&#038;creativeASIN=B00005GB5N">吹奏楽ベストヒット</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=as2&#038;o=9&#038;a=B00005GB5N" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
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<p>アルヴァマー序曲が収録されているCDはいくつかあるのですが、これは「インヴィクタ序曲」が収録されているのでおすすめかと。<br />
「春の猟犬」「アパラチアン序曲」も吹奏楽仲間の間では人気のある楽曲でした。<br />
東京佼成ウィンド・オーケストラによる演奏です。（上記の動画）<br />
プロのアルヴァマーはやっぱ速いですね。<br />
うちはこれの７０％ぐらいしか出せませんでしたわ(´ヘ`;)</p>
<p>1. 狂詩曲ノヴェナ<br />
2. インヴィクタ序曲●J.バーンズ<br />
3. アルヴァマー序曲<br />
4. アパラチアン序曲●アルフレッド・リード<br />
5. 春の猟犬<br />
6. 第3組曲<br />
7. クイーンストン序曲<br />
8. 小組曲<br />
</p>
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	</item>
		<item>
		<title>アレクシス・ワイセンベルクの魅力</title>
		<link>http://sanmarie.me/alexis_weissenberg</link>
		<comments>http://sanmarie.me/alexis_weissenberg#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 01 May 2010 20:14:52 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[ピアノの名曲]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://sanmarie.me/alexis_weissenberg-2</guid>
		<description><![CDATA[もし、ピアノ･メーカーのSteinway &#38; Sonsが厳密な規定の下にピアノを製作しているとしたら、誰が弾いても似たような音色で、聴いている方も飽き飽きしてくると思う。
世界で『巨匠』と呼ばれるピアニストは「 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/05/Weissenberg.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/05/Weissenberg-e1280392087621.jpg" alt="アレクシス・ワイセンベルク" title="アレクシス・ワイセンベルク" width="150" height="148" class="alignright size-full wp-image-13566" /></a></p>
<p>もし、ピアノ･メーカーのSteinway &amp; Sonsが厳密な規定の下にピアノを製作しているとしたら、誰が弾いても似たような音色で、聴いている方も飽き飽きしてくると思う。</p>
<p>世界で『巨匠』と呼ばれるピアニストは「譜面に忠実」を基礎中の基礎としており、それがどんな演奏においても「絶対的」だとしたら、ホロヴィッツのショパンも、アルゲリッチのショパンも、ポリーニのショパンも、みーんな同じように聞こえてくるはずなのだ。</p>
<p>でも、実際にはそうではない。</p>
<p>同じようにSteinway &amp; Sonsのピアノを弾き、同じようにショパンのエチュードを弾いても、似通った演奏というのはどれ一つとしてなく、100人のピアニストがいれば100通りのクレシェンドがあり、フォルテシモがある。</p>
<p>その違いが分かるようになれば、そこに聞こえるのはもはや「ショパンのエチュード」ではなく、ピアニストそのものだ。</p>
<p>誰もが知っている「あのメロディ」に乗って、生きた人間の息づかいが伝わってくる。</p>
<p>私がクラシックに弾かれるのも、まさにこの一点にある。</p>
<p>たとえば、ビートルズの名曲もいろんなアーティストにカヴァーされ、音楽のもつ多様性を感じるけれども、そこに演奏者の生々しい息づかいを感じるかと言えば、BGMのようにすり抜けて行くケースが圧倒的に多い。音楽としては素敵だと思うけれど、演奏者自身に強烈なオーラを感じ、「この人の演奏をもっと聴きたい」と熱望することがほとんどないのだ。</p>
<p>では、なぜクラシックの演奏者には生々しい息づかいを感じるのか。</p>
<p>ショパンもビートルズも「人の心をつかむ」という点では負けず劣らずなのに、ショパンの音楽により興味をそそられるのは何故なのか。</p>
<p>それは恐らく──下品な言い方をすれば──「いじくり甲斐」があるからだと思う。</p>
<p>たった四小節の間にも、ショパンの譜面には表現すべきことがたくさんある。</p>
<p>一音一音が真剣勝負であり、和音一つにも演奏者のセンス、技巧、解釈などがにじみ出してしまう。</p>
<p>この研ぎ澄まされた感覚──ピアノでありながらピアノの音色を超えた「何か」がクラシックには顕著に表れる。</p>
<p>そしてその「何か」に出会った時、クラシックはもはや「音楽」という枠を越えて、全人的な存在になるのである。</p>
<p>演奏家との出会いは、恋愛みたいなものだ。</p>
<p>どんな立派な釣書の持ち主でも、好きになれない時は好きになれないし、いい人だからといって必ずしも男性として魅力的に映るわけでもない。</p>
<p>それと同じで、どれほど箔のある演奏家でも心を動かされないケースもあれば、「一流」の肩書きが眉唾物にしか見えないこともある。<br />
かと思えば、「えーっ、こんなのが趣味なの？？」と周りにけなされるようなタイプにどっぷり浸かることもあるし、ある日突然、あれほど激しかった情熱が冷めることもある。</p>
<p>そして、私にとって後者に当てはまるのがピアニストのアレクシス・ワイセンベルクであり、「彼のことが好き」と口にすることは、もしかしたら「ヤクザの親分を好きになってしまったの」と告白するのと同じぐらいリスキーで、アンビリーバブルなのではないか、と、長年思い込んできたのだった。</p>
<p>もちろん、アレクシス・ワイセンベルクは「巨匠」の肩書きからは程遠い際物ではないし、あの大御所カラヤンにも認められ、名盤と言われる録音もちゃっかり残しておられるお方だから、「彼のことが好き」だと公言したところで、リスキーでもアンビリーバブルでも何でもないかもしれない。<br />
いや、もしかしたら、私が想像する以上に「隠れファン」が存在するかもしれない。</p>
<p>そう分かっていても、何故か口にできない。</p>
<p>そういう危うさが彼のピアノにはある。</p>
<p>ファンの私でさえ「おいおい」と思うような乱暴な演奏もあったりして、一般に「巨匠」「一流」と呼ばれる人々の平均点の高い演奏とはあまりに毛色が異なるからだ。</p>
<p>彼のピアノは、一言で言えば『クリスタル』。</p>
<p>光で編み上げたレースのように繊細でありながら、深く切り込むような鋭さを秘め、それが時に驚くほど剛胆で勇ましく聞こえる。</p>
<p>そのくせ、浮世離れしたような透明感にあふれ、どれほど俗な弾き方をしても澱むところがない。</p>
<p>あたかも思い出した時だけ俗人の前に降臨する仙人のように素っ気なく、聴衆はもちろん、周りの仲間にすら振り向かないような孤高の世界に生きている水晶のピアニスト。</p>
<p>それが私の感じるアレクシス・ワイセンベルクであり、まあお世辞にも「これからクラシックを聴こう」という人におすすめする気にはならないタイプではある。</p>
<p>そんなワイセンベルクとの出会いは、ドビュッシーの名曲集。</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B000STC5X8&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="亜麻色の髪の乙女~月の光/ドビュッシー:ピアノ名曲集">亜麻色の髪の乙女~月の光/ドビュッシー:ピアノ名曲集</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B000STC5X8" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000STC5X8&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p></br><br />
最初からこだわりがあって購入したわけではない。<br />
たまたま選曲が私好みだったことと（「ベルガマスク組曲」「子供の領分」「喜びの島」が収録されている）、ケースの帯にかかれた「現代的」とか何とか言う謳い文句に引かれて手にしたまでの話だ。</p>
<p>聞いて、陶然とした。</p>
<p>光を音にすれば、こんな演奏になる──と思った。</p>
<p>初夏の朝露のようにピュアで、流麗なドビュッシー。</p>
<p>これが私の探していた音だと確信し、目を閉じては、夜の水面にたゆとう月の光を想った。</p>
<p>わけても心惹かれたのが、このCDで初体験となった「組み合わされたアルペジオ」。</p>
<p>まるで掌から光の粒子がさらさらとこぼれ落ちてゆくようなきらめきと儚さ。<br />
それでいて技巧の鋭さが要所要所に感じられ、決して甘いだけではない。<br />
この絶妙なバランス。<br />
繊細でありながら、突き放すようにクールで、聴く者にベタベタと媚びることがない。<br />
このクリスタル・ガラスのような横顔が「ワイセンベルク様」とお呼びしたくなる所以である。</p>
<div class="myvideo">組み合わされたアルペジオ(≪練習曲集≫第2巻から)<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/alexis_weissenberg"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>ちなみに「ワイセンベルク様」とお呼びしているのは、私だけではないらしい。</p>
<p><strong><a href="http://piano-bravo.seesaa.net/article/45927680.html" target="_blank"><br />
ピアノぶらぼー！　もっと身近にクラシック　より　『ペトルーシュカおすすめ第２弾（のだめアニメ第２２話）』<br />
</a></strong></p>
<p>こちらの管理人：ドルチェ様の熱い記事も非常に面白いです。曰く、</p>
<blockquote><p>
こちらも 変態的なくらいのテクニシャンぶり。<br />
おまけに、そこまで裏事情 さらさんでも・・・ って呆れるほど、はっきりくっきり 曲の細部まで見せてくれる演奏です。（ワイセンベルクの場合、この曲に限らずだけど）<br />
もうちょっと、ペダルでぼかしたり、あいまいに弾いてる方のが多いと思うのですが、ここまでやられると、このおじさん変態かも？！ と思ってしまいます（爆）。
</p></blockquote>
<p>その変態技が炸裂したのがこちらの映像。<br />
この映像を見たカラヤンが「これを撮影したカメラマンとピアニストを連れてこい」と言ったのが彼らの出会いだとか。（よそ様のブログで読んだ）</p>
<div class="myvideo">ストラヴィンスキー作曲　『ペトルーシュカ』 から「ロシアの踊り」<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/alexis_weissenberg"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>ワイセンベルクの演奏に対して好き嫌いがはっきり分かれるのも、「芸人」だか「芸術家」だか境界が曖昧で、作曲家やクラシック音楽に対する尊敬の念から弾いているというよりは、「己のために弾いている」という「俺様イズム」がどこか鼻につくからではないだろうか。</p>
<p>タイトルや名声にこだわることなく、聴衆に媚びを売ることもなく、ただひたすら己の道を突き進むようなストイックさは、時として、価値観を違えた敵に映ることがある。</p>
<p>巨匠と呼ばれる人達の演奏に親しみ、「これがクラシック」という自分なりの尺度を持った人から見れば、ワイセンベルクの超然としたピアニズムは、耳の中の異物のようにゴロリとやかましく、決して相容れない世界のものかもしれない。</p>
<p>しかし、ひとたびその魅力にとらえられると、この突き進むような演奏がこの上ない快感となって響いてくる。</p>
<p>もっと聞きたい、もっと知りたいと興味をそそられ、気がつけば、クラシック・コーナーで目につくのはワイセンベルクのCDばかり……というような事態にもなりかねない。</p>
<p>なぜにワイセンベルク？</p>
<p>それは彼のようなピアニストが他にいないからだ。</p>
<p>優等生は他にもたくさんいる。</p>
<p>でも、ワイセンベルクは、この世にあなただけ。</p>
<p>この恋愛じみた興味と磁力に動かされ、明日もまたCDを買ってしまうのだ。</p>
<p>その他の名盤と呼ばれるものには見向きもせず……。</p>
<h3>§ アレクシス・ワイセンベルクのCD・DVD</h3>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B00005FIMN&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第">ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B00005FIMN" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005FIMN?ie=UTF8&amp;tag=ma046-22&amp;linkCode=as2&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=B00005FIMN"><img src="http://sanmarie.me/image/music/sonata.jpg" alt="ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ" width="150" height="150"></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B00005FIMN" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;margin:0px !important" /></p>
<p>ラフマニノフの名手とされるピアニストはこの世にい～～っぱいいるのだけれど、結局、買ったのは<br />
ワイセンベルク。甘すぎず、主張しすぎない哀愁が耳に心地よい。<br />
特にこちらの第二楽章はワイセンベルクの繊細さとクールさが見事に表現されて、まさにクリスタル。<br />
（そこはそんなにシャープに弾かなくても……と言いたくなる箇所がなきにしもあらずだが）<br />
そのくせ、いつまでも心に残る不思議な魅力が秀逸。<br />
</p>
<div class="myvideo">ラフマニノフ　ピアノ・ソナタ第二番　第二楽章<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/alexis_weissenberg"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B000V2RWLW&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="ラフマニノフ:前奏曲全集">ラフマニノフ:前奏曲全集</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B000V2RWLW" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000V2RWLW&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>他にも名盤と呼ばれるのはいっぱいあるのに、どうしてまたワイセンベルクを買っちゃったんだろー。と、家に帰ってから考え込んだ一枚。<br />
天下のラフマニノフもワイセンベルクの手にかかると、なぜか入り込めなくなるから不思議。<br />
アシュケナージのようなお涙頂戴のラフマニノフもいいけれど、一線引いたようなクールなラフマニノフもまた一興かと。<br />
玄人向きですな。<br />
</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B0018D894W&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="Alexis Weissenberg: Classic Archive [DVD] [Import]">Alexis Weissenberg: Classic Archive [DVD] [Import]</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B0018D894W" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B0018D894W&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>上記の「ペトルーシュカ」が収録されているファン垂涎の輸入物DVD。<br />
収録曲は</p>
<p>1. Igor Stravinsky: Three Movements from Petrushka<br />
2. Sergei Prokofiev: Piano Sonata No.3<br />
3. Alexander Scriabin: Nocturne for the left Hand Op.9 No.2<br />
4. Sergei Rachmaninov: Prelude Op.23 No.6<br />
5. Frédéric Chopin: Piano Sonata No.3 &#8211; Largo, Nocturne Op. Posth. In C minor, Étude Op.25 No.7<br />
6. J.S. Bach: Chromatic Fantasy, BWV 903, Partita No.6 &#8211; Corrente<br />
7. Johanes Brahms: Piano Concerto No.2</p>
<p>ほほーと唸ってしまうラインナップ。<br />
</p>
<p>他にも名盤とされるカラヤンとのラフマニノフ・ピアノ協奏曲とかあるんですけど、まあ、正直、馴染みのない方にはおすすめできんです。<br />
本当にワイセンベルクらしさが発揮されたピアノ協奏曲の録音ってあるのかなーと思うくらいクセがあるので。<br />
私は全部聴いてないので、どこかにはあるのかもしれないけど、優等生的な演奏でないと思うよ、多分。</p>
<p>そんな彼でよかったら、ぜひ。。。</p>

<a href="http://twitter.com/?status=RT+%40sanmariecom%3A+%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%81%AE%E9%AD%85%E5%8A%9B+-+sanmarie%2Acom+http%3A%2F%2Ftinyurl.com%2F27ev7ra" class="tweet-this" ><div align="right"><img src="http://www.sanmarie.me/sanmarie/wp-content/plugins/simple-tweet/img/tweet.gif" title="ツイート" alt="ツイート" />ツイート</div></a>]]></content:encoded>
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	</item>
		<item>
		<title>帝王リヒテルのチャイコフスキー『ピアノ協奏曲第一番』/ ショパンのエチュードOp10, No.4</title>
		<link>http://sanmarie.me/music-6</link>
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		<pubDate>Sat, 01 May 2010 20:11:47 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[ピアノの名曲]]></category>

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		<description><![CDATA[ロシアの三大ピアニストと言えば、「リヒテル、ギレリス、ペトロフ」というのが一般的らしいが、私はあえてここから一名を差し引いて、『リヒテル＆ギレリス』の両名をもってクラシック・ピアノの最高峰と位置づけたい。
そりゃもう、通 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>ロシアの三大ピアニストと言えば、「リヒテル、ギレリス、ペトロフ」というのが一般的らしいが、私はあえてここから一名を差し引いて、『リヒテル＆ギレリス』の両名をもってクラシック・ピアノの最高峰と位置づけたい。</p>
<p>そりゃもう、通に言わせれば、「ミケランジェリがいるだろ」「ホロヴィッツはどーした」と、さんざん頭を叩かれるに違いないが、これは優劣の問題ではなく、存在感の問題なのだ。</p>
<p>確かに、ある部分では、「ミケランジェリの方が長けている」「ホロヴィッツの方が優れている」というのはあるだろう。</p>
<p>しかし、『ピアニスト』としての存在感──人間としての生き様に重きを置くなら、リヒテルとギレリスに並ぶものはない。</p>
<p>とりわけリヒテルは、私が一番最初に出会ったピアニストだった。</p>
<p>それまでピアニストの個性などまったく分からなくて、「ピアノの上手な人＝ピアニスト」ぐらいの認識しかなかった子供時代の私に、ピアノの演奏は技術の良し悪しをアピールするための発表会じゃない、まるで自然な呼吸のように、奥深いところから吐き出される魂の発露だということを教えてくれた。</p>
<p>なぜなら、彼の演奏は、子供の私にさえ「リヒテルだけが持つ音の響き」を感じさせるほど強烈で、身震いするほどの存在感をもって聞こえたからである。</p>
<p>以下は、1997年、リヒテルの訃報を聞いた時に、雑誌の投稿用に書いたもの。</p>
<h3>§ Essay</h3>
<p>十歳の夏、交通事故で入院していた時、姉が「この曲、めちゃカッコイイで」と、一本のカセットテープを持って来てくれた。それはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番だった。<br />
ホルンに続く、地の底から湧き上がるようなカデンツァを聴いた時、「これこそ帝王の音だ」としびれた。<br />
鍵盤を駆け抜けるような指の動きや、峻厳で力強い音の響きに、子供の私はただただ圧倒されるばかりだったのである。<br />
退院して、レコードのジャケットを調べてみると、ソリストは「スヴャトラフ・リヒテル」──それが、私にピアノ協奏曲の魅力と、ピアノの底知れぬ魔力を教えてくれた最初のピアニストの名前だ。<br />
以来、様々なチャイコフスキーを耳にしてきたけれど、結局は十歳の時に聴いた彼の演奏に帰っていった。<br />
他の演奏をスラブの風に喩えるなら、彼の演奏は力強い激流。まるで内に渦巻くものが、一点の出口に向かって、ほとばしり出るかの如くである。<br />
世にピアニストはごまんといるけれど、あの気高く、自尊心の塊のような楽器を完全に支配し──多くは、彼女の背中をむなしく追いかけるだけ──一音一音に込められた作曲者の心や、彼の生きた国や時代を鮮やかに映し出し、かつ弾き手である自分という人間をそこに織り交ぜ、生きた、独自の音楽を作り出せる者は少ない。　<br />
リヒテルは、その一音で全てを語り尽くせる本物の演奏家だった。<br />
もう彼の演奏を生で聴くことは叶わないけれど、その響きは時を越えて燦然と輝き続けるだろう。<br />
さよなら、そしてありがとう。</p>
<h3>§ Video</h3>
<p>以下は、私が十歳の時に聞いたムラヴィンスキー指揮、レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団との演奏。</p>
<div class="myvideo">チャイコフスキー『ピアノ協奏曲第一番　第一楽章』<br />
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<div class="myvideo">チャイコフスキー『ピアノ協奏曲第一番　第二楽章』　<br />
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<div class="myvideo">チャイコフスキー『ピアノ協奏曲第一番　第三楽章』　<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/music-6"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>現在『名盤』と言われているカラヤン指揮・ウィーン交響楽団との演奏と聞き比べてみて下さい。</p>
<div class="myvideo">
<p><a href="http://sanmarie.me/music-6"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>とはいえ、「帝王」「巨匠」と呼ばれるほど、リヒテル自身は貫禄たっぷりの偉ぶった人間ではなく、むしろ神経が細やかで、穏やかな人柄だったという。</p>
<p>（ちなみに、上記の雑誌投稿で採用されたのは、「リヒテルのコンサートで花束を渡した時、「巨匠」のイメージとは程遠い笑顔を見せて下さった」というエピソードでした。）</p>
<p>そんなリヒテルの人柄をしのばせる一文が、ムラヴィンスキー盤のライナーノートに記されている。</p>
<blockquote><p>
もうだいぶん前のことだが、リヒテルが日本でまだ、リフテルという発音で呼ばれていた頃、彼が20年以上も別れて暮らしていた母親との劇的な再会について記した、ポール・ムーアという人の記事を読んだことがある。</p>
<p>当時リヒテルはまだ我々にとってまぼろしのピアニストであり、彼をめぐるすべてのことが一種の伝説として受け取られていた頃だけに、その物語は特に強い印象を残したものだった。</p>
<p>（モスクワ音楽院時代）リヒテルの母親アニーがたまたま息子を尋ねて、オデッサからモスクワへやって来た時、ヒットラーによるソビエト攻撃が始まった。彼女は直ちにオデッサに戻り、リヒテルもそれを追ってオデッサへ帰ることになっていたのだが、しかし先に返った母親が受け取った一通の電報には彼がしばらくの間モスクワに留められるだろうと記されており、それ以後音信はばったりと途絶えてしまったのである。<br />
そしてこの後両親がたどった経歴は悲惨だった。<br />
父親は当時オデッサにいたドイツ人名を持つ約6000人の人達と一緒に逮捕され、処刑されてしまった。</p>
<p>彼は政治運動などまったくしてなかったし、しいて言えば1927年にオデッサのドイツ領事館で音楽を教えたことくらいしか罪状として覚えがなかったという。<br />
そして母親はそれから２年後に、その弟と再婚するのである。新しい夫はやはり音楽家で、かつてリヒテルに理論を教えたこともあったという。
</p></blockquote>
<p>この頃のロシアの芸術家には悲惨な体験を持つ人が多い。</p>
<p>やはりソビエト政府によって父親を銃殺されたバレリーナのマイア・プリセツカヤ、姉が国外逃亡し、自らも強制収容所に送られたミッシャ・マイスキー、etc。</p>
<p>彼らの精神性の根幹にあるものは、自信や悦びや満足感ではなく、闇の底で洗い流されたような魂の光であり、慈愛であると思う。</p>
<p>今、ここに生きていることへの感謝。そして、生きとし生けるものすべてに対するあふれるような愛情。</p>
<p>音色と共に放射するその輝きに、人は涙し、この世で本当に美しいものは何かを知るのだ。</p>
<p>リヒテルが亡くなった時、彼に続くものをどこに見出せばいいのか、まるで偉大な潮流がプツンと切れたような空しさと失望感を覚えた人はきっと少なくないはずだ。</p>
<p>そして、彼の後継者と目されるピアニストは、未だ現れていない。</p>
<p>
こちらは世界最速（？）と言われるショパンのエチュードOp.10, No.4</p>
<p>これ早送りじゃないよね、と思わずツッコミを入れたくなるような演奏です。</p>
<div class="myvideo">リヒテル　Chopin Etude Op10, No.4<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/music-6"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<h3>§ 関連商品</h3>
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<p>残念ながら、このCDは廃盤になって久しいです。<br />
音源がかなり古いので、CD化されただけでも奇跡です。<br />
演奏としては、カラヤン盤の方が圧倒的に有名だからでしょうね。<br />
ムラヴィンスキー盤も古き佳き時代がしのばれて、非常に味があるのですが。<br />
「若さとはなんぞや？」と問いかけたくなる、中年期の名演です。<br />
</p>
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<p>上記のムラヴィンスキー盤を抑えて歴史的名盤になってしまったカラヤン盤。<br />
確かに、ラフマニノフの演奏は素晴らしいと思う。<br />
しかし、チャイコフスキーに関しては、ムラヴィンスキー盤の方がよりドラマティックで、若々しい。<br />
「リヒテルらしい・・」と私は思う。<br />
</p>
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<p>ホロヴィッツは大の仕事嫌いの怠け者でビデオ鑑賞が大好きだった。誰よりもピアニストの近くにいる調律師である著者が、ギレリス、クライバーンなど偉大なピアニストたちの素顔を語る。</p>
<p>フランツ・モアさんというのは、スタンウェイが誇る調律師で、主にホロヴィッツのピアノの調律を手がけておられたんですね。<br />
同じ「A」の音でも、ホロヴィッツは微妙な波長の違いを聞き分けることができたとか。<br />
演奏会用のピアノのメンテナンスも非常に大切な仕事であり、「名演はピアニスト一人で成り立つものではない」ということを教えてくれる非常に面白い一冊。<br />
ホロヴィッツのエピソードがメインなので、ホロヴィッツの好きな方にはこたえられない内容だと思う。<br />
あと、世界的ピアニストでありながら、ソビエト政府の強い監視下に置かれ、狭いアパートでアプライトのピアノを弾いて練習していた誠実で信心深いギレリスや、巨匠リヒテルの意外に細やかな一面など、興味深い。</p>
<p></p>

<a href="http://twitter.com/?status=RT+%40sanmariecom%3A+%E5%B8%9D%E7%8E%8B%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%86%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%80%8E%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%95%AA%E3%80%8F%2F+%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%89Op10%2C+No.4+-+sanmarie%2Acom+http%3A%2F%2Ftinyurl.com%2F2a73vdx" class="tweet-this" ><div align="right"><img src="http://www.sanmarie.me/sanmarie/wp-content/plugins/simple-tweet/img/tweet.gif" title="ツイート" alt="ツイート" />ツイート</div></a>]]></content:encoded>
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	</item>
		<item>
		<title>ショスタコーヴィチ・ピアノ協奏曲とディズニーアニメの美しい融和</title>
		<link>http://sanmarie.me/classic</link>
		<comments>http://sanmarie.me/classic#comments</comments>
		<pubDate>Wed, 03 Mar 2010 21:59:34 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[ピアノの名曲]]></category>
		<category><![CDATA[珠玉のシンフォニー]]></category>

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		<description><![CDATA[クラシックの名曲に共通して言えること──それは、「音楽的＝絵画的」ということだ。
スラブを渡る風や、鐘に包まれた古い町並み、橋の上にたたずむ人の哀しい翳りが、まるで一枚の絵のように目の前に浮かぶ。
あの名曲を絵画にした [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/03/fantasia.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2010/03/fantasia-300x198.jpg" alt="ファンタジア　ディズニー　ショスタコーヴィチピアノ協奏曲" title="fantasia" width="300" height="198" class="aligncenter size-medium wp-image-13662" /></a></p>
<p>クラシックの名曲に共通して言えること──それは、「音楽的＝絵画的」ということだ。</p>
<p>スラブを渡る風や、鐘に包まれた古い町並み、橋の上にたたずむ人の哀しい翳りが、まるで一枚の絵のように目の前に浮かぶ。</p>
<p>あの名曲を絵画にしたい──頭の中に広がる音のイメージを形にしたい──という思いは、きっと音楽が生まれた時から人の憧れだったろう。</p>
<p>そして、それを美しいアニメに仕上げた人がいる。</p>
<p>Magic Kingdom の使者、ウォルト・ディズニーである。</p>
<p>アニメ史に残る傑作、『<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000FEI530?ie=UTF8&amp;tag=ma046-22&amp;linkCode=as2&amp;camp=247&amp;creative=7399&amp;creativeASIN=B000FEI530">ファンタジア</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B000FEI530" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;margin:0px !important" />』は、第二次大戦前夜、1940年に制作された。</p>
<p>日本軍が、慰安に向かう米軍の飛行機を撃ち落としたら、その中に２本のフィルムが搭載されていた。１つは、『風と共に去りぬ』。もう1つがこの『ファンタジア』である。</p>
<p>フィルムの内容を確かめるために極秘の上映会を開いた日本軍の上層部は、その余りの素晴らしさに「敗北」を覚悟したという。</p>
<p>日本人が今日食べる物にも事欠き、ぼろぼろの姿で堪え忍んでいる時に、アメリカ人は、たった一本の娯楽映画を作るために何万ガロンという石油を燃やし、こんな高度なアニメを作って楽しんでいたのだから。</p>
<p>『風と共に去りぬ』は言うに及ばず、『ファンタジア』も芸術性においては白眉のものである。</p>
<p>「禿山の一夜」「魔法使いの弟子」「くるみわり人形」など、個性的でメロディアスな名曲を１つのストーリーに見立て、ディズニーらしいリズミカルな動きで表現したこの作品は、一音一音に至るまで、完璧なまでに視覚化したものだからだ。</p>
<p>子供でなくても、「ああ、この音は、確かにこんな動きをするだろうね」と思わず納得してしまう。</p>
<p>曲への深い理解と豊かな感性に裏打ちされたカラフルかつチャーミングな世界観は、頑ななクラシックマニアの心をも溶かしてしまうだろう。</p>
<p>そんなウォルトへのオマージュとして、2000年には新しいバージョン『<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005HOVZ?ie=UTF8&amp;tag=ma046-22&amp;linkCode=as2&amp;camp=247&amp;creative=7399&amp;creativeASIN=B00005HOVZ">ファンタジア/2000 [DVD]</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B00005HOVZ" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;margin:0px !important" />』が作られた。</p>
<p>ここで紹介するのは、クラシックファンでなくても心が躍る、片足の兵隊と美しいバレリーナの恋物語である。</p>
<p>アニメ化されたのは、『<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005G879?ie=UTF8&amp;tag=ma046-22&amp;linkCode=as2&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=B00005G879">ショスタコーヴィチ : ピアノ協奏曲 第2番</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=B00005G879" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;margin:0px !important" />』</p>
<p>クラシックのみならず、ジャズ風のお洒落な作品も多い、20世紀ソビエトを代表する作曲家ショスタコーヴィチ。</p>
<p>ショパンやリストなど、「クラシックらしいクラシック」に親しんでいる人からすれば、ちょっと調子が外れたような彼の旋律は、収まりの悪いクッションみたいに、モゾモゾと落ち着かないことだろう。</p>
<p>だが、何度も聴いていると、その壊れた部分が妙に耳について離れなくなる。</p>
<p>そんなに好きじゃないんだけど、「もう一回」と思う。</p>
<p>不思議な音楽だ。</p>
<p>だが、この「ファンタジア」に関しては、これ以上ないほど完璧に絵とマッチし、まるでこのアニメの為に作曲された音楽のよう。<br />
本来ならストーブに焼かれてしまうアンデルセンの「すずの兵隊さん」をハッピーエンドでまとめたのはさすがディズニー。<br />
バレリーナの動きも本物そっくりだし（これは非常に研究していると思う）、雨の戸外に叩き落とされてからの冒険もスリル満点だ。<br />
片足の兵隊さんがどんどん素敵な騎士に見えてくる、とてもロマンティックな演出である。</p>
<p>私も軽い気持ちで見始めて、途中からグイグイ引き込まれてしまった。</p>
<p>ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲って、こんなヒロイックだったけ？と思うほど。</p>
<p>今まで理解していなかった名曲の一面を、改めて思い起こさせてくれる「ファンタジア」。</p>
<p>動画を見ていると、無性に子供時代が懐かしくなった。</p>
<div class="myvideo">Dmitri Shostakovich &#8211; Piano Concerto No. 2 in F major, Op. 102<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/classic"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<h3>§ ショスタコーヴィチに関連するCD・DVD</h3>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B00005G879&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="ショスタコーヴィチ : ピアノ協奏曲 第1番、第2番">ショスタコーヴィチ : ピアノ協奏曲 第1番、第2番　イェフィム・ブロンフマ</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B00005G879" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B00005G879&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>本作でピアノソロを演奏しているブロンフマンのCD。<br />
ジャケットもしっかり「すずの兵隊さん」。<br />
クリスタル感あふれる現代的な演奏である。<br />
</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B00005HOVZ&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="ファンタジア/2000 [DVD]">ファンタジア/2000 [DVD]</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B00005HOVZ" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B00005HOVZ&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>本作が収録されているDVD。<br />
ジェームズ・レヴァインの指揮というのがいかにも２０００らしい。<br />
「威風堂々」「火の鳥」「ローマの松」といった選曲も、とってもビジュアル。<br />
聞き流しても楽しめるおすすめの一枚だ。<br />
</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B000TX4UKO&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="ファンタジア 【日本語吹き替え版】 [DVD] ANC-003">ファンタジア 【日本語吹き替え版】 [DVD] ANC-003</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B000TX4UKO" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000TX4UKO&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>1940年に制作されたとは思えないクオリティの高さである。<br />
とりわけミッキーが魔法のホウキに振り回される『魔法使いの弟子（デュカス）』は、「誰もが見たかった世界をついに映像化した」といっても過言ではない。<br />
何よりクラシックに対する深い理解と愛情が感じられ、羨ましいほどの気持ちになる名作だ。<br />
</p>
<p>　<br />
ちなみに、ショスタコーヴィチというと、カクカクした音楽ばかり作っているような印象がありますが、こんな素敵なメロディもあるんですよ。</p>
<p>「二人でお茶を Tea for Two」。誰でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。</p>
<p>晴れた日に庭先にテーブルを出して、ウェッジウッドのカップでお茶をしたくなるような曲です。あ、もちろん紅茶はアールグレーでね♪</p>
<div class="myvideo">『二人でお茶を』 ショスタコーヴィチ<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/classic"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B000EMH7VY&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="ショスタコーヴィチ:ジャズ音楽集">ショスタコーヴィチ:ジャズ音楽集</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B000EMH7VY" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000EMH7VY&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>「二人でお茶を」をはじめ、ノスタルジックな「ジャズ組曲」、クラシックの「ピアノ協奏曲」が収録されています。<br />
江戸川乱歩の「黒蜥蜴」なんかが出てきそうな、大正モダンの世界です。<br /></p>

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	</item>
		<item>
		<title>オルフ作曲『カルミナ・ブラーナ』 / Fortuna Imperatrix Mundi －おお運命の女神よ</title>
		<link>http://sanmarie.me/carmina_burana</link>
		<comments>http://sanmarie.me/carmina_burana#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 05 Jan 2010 21:43:39 +0000</pubDate>
		<dc:creator>阿月まり</dc:creator>
				<category><![CDATA[名曲クラシック]]></category>
		<category><![CDATA[カルミナ・ブラーナ]]></category>
		<category><![CDATA[珠玉のシンフォニー]]></category>

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		<description><![CDATA[当サイトで人気の高い「カルミナ・ブラーナ」。
たくさんの方が検索されていますので、歌詞付きの動画と、マニアの中では人気の高いオイゲン・ヨッフム盤の情報を追加しました。
「カルミナ・ブラーナ」は私も大好きな曲です。
特に、 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>当サイトで人気の高い「カルミナ・ブラーナ」。<br />
たくさんの方が検索されていますので、歌詞付きの動画と、マニアの中では人気の高いオイゲン・ヨッフム盤の情報を追加しました。<br />
「カルミナ・ブラーナ」は私も大好きな曲です。<br />
特に、運命の非情さを描いた歌詞、「運命、世界の王妃よ」は、何度読み返しても胸に迫るものがあります。<br />
クラシックに興味のない方でも、一度は聴いて頂きたい名曲です。<br />
冒頭とクライマックスで高らかに歌われる「運命、世界の王妃よ　- Fortuna Imperatrix Mundi -」は、世界中のいろんな作品のイメージ・ソングとして使われていますので（特にアクション映画）、きっとどこかで耳にした覚えがあるはずですよ。</p>
<p>こちらは英訳付きの動画です。</p>
<div class="myvideo">Carmina Burana  -Fortuna Imperatrix Mundi-<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/carmina_burana"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p>「カルミナ・ブラーナ」は、バイエルンにあるベネディクト会のボイレン修道院(Benediktbeuern)で発見された詩歌集で、世俗カンタータとも呼ばれています。<br />
ここで紹介するFortuna Imperatrix Mundi は、曲の冒頭と最終章で高らかに歌われます。</p>
<blockquote><p>
<strong><br />
－Fortuna Imperatrix Mundi－<br />
全世界の支配者なる運命の女神</strong></p>
<p>おお 運命の女神よ</p>
<p>まるで月とそっくりに<br />
いつも姿態が変わりやすく<br />
しょっちゅう大きくなってみたり<br />
あるいは小さくなったりする</p>
<p>まったく呪わしいこの人生は<br />
意地悪な目つきをすると思えば<br />
今度はまた愛想よくして見せる</p>
<p>ふざけた気持ちで<br />
時には窮乏を 時には権力を<br />
氷のようにかき消してみせる</p>
<p>恐ろしく非情に<br />
しかも何の実もない （空しい）運よ<br />
お前はぐるぐる回る車輪みたいに怪しからん 悪性のものだ</p>
<p>その安心とて あてにできずすぐに潰え去ってしまう。</p>
<p>今はすっかり影に隠れ暗い姿で<br />
私のところへも掛かってくるのだ</p>
<p>それでもうお前の非道な戯れのため<br />
私は現在 背中を蔽う衣さえ失くなってしまった。</p>
<p>心身の安全さと徳性との運も今は<br />
私を見捨て去った</p>
<p>しょっちゅうそれは情欲と不足との<br />
隷従に陥ってしまう</p>
<p>さらばこの時に当たり<br />
一刻の猶予も無く<br />
脈打つ心にお触りなさい</p>
<p>時運によって強い者までとり挫いだ</p>
<p>それを私と一緒に<br />
皆さんも嘆いてください！
</p></blockquote>
<div id="attachment_10610" class="wp-caption aligncenter" style="width: 280px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/11/pclaesz3.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/11/pclaesz3-270x187.jpg" alt="【Vanitas Still Life】 ピーター・クラエシュ　Peter Claesz" width="270" height="187" class="size-medium wp-image-10610" /></a><p class="wp-caption-text">【Vanitas Still Life】 ピーター・クラエシュ　Peter Claesz</p></div>
<p>この絵はまたの名を『Memento mori（死を忘れるな）』。<br />
「死」を意識することによって、「生」への思いを深めよ、という意味があります。</p>
<p>これは、Fortuna Imperatrix Mundi』に続く『Fortune Plango Vulnera』。</p>
<p>最初の部分は繰り返しになりますが、小澤征爾さん指揮の動画をどうぞ。</p>
<div class="myvideo">¡Oh, Fortuna! Plango Vulnera-Carmina Burana<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/carmina_burana"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<blockquote><p>
<strong>Fortune Plango Vulnera</strong></p>
<p>運命の女神の（与えた）傷手を<br />
涙のこぼれる眼もて私は嘆く<br />
またもや私に背いて冷たい仕打ちに出ることを<br />
まったく本で読んだのは本当だった</p>
<p>運命の女神の額には髪があるけれど<br />
大抵はそれにつづく機会というのは禿だということ</p>
<p>運命の女神の玉座に 私は得意になって座っていた<br />
栄華のいろとりどりな 花の冠を頭につけて</p>
<p>すなわち以前 幸せよく栄えていただけ<br />
今はまったく落ちぶれ果てて<br />
栄光も奪われ去った</p>
<p>運命の女神の車の輪はめぐって行く</p>
<p>卑しめられて私のほうが降って行けば<br />
他の人が高いところへ引き上げられる。</p>
<p>あまりにも有頂天になって<br />
頂上の座に王として座する者こそ<br />
墜落に心するがいい</p>
<p>なぜとなら<br />
車輪の下にはヘクバの名が読めるのだ<br />
（滅ぼされたトロイア女王）</p>
<p>CARMINA BURANA<br />
作曲 ORFF（オルフ）<br />
呉 茂一 訳
</p></blockquote>
<p>この歌詞に関連するコラム　<strong>【<a href="eclipse-9" target="_blank">カルミナ・ブラーナ　～『運命』とは</a>】</strong></p>
<h3>§ 関連アイテム</h3>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B000V2RWRG&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="オルフ:カルミナ・ブラーナ">『カルミナ・ブラーナ』 指揮：小澤征爾 　演奏：ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 </a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B000V2RWRG" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /></p>
<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B000V2RWRG&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>【Amazon.comより】<br />
日本のアマチュア合唱団の雄「晋友会」が,小沢の熱い指揮のもと、ベルリンで大仕事をやりとげた。<br />
ときにはオケをもしのぐかと思う合唱の表現力。歌うことの感動をストレートに声にする…アマチュアならではの良さだ。<br />
カルミナのベストに推せる1枚。<br />
</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B002GKRTBK&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="オルフ:カルミナ・ブラーナ">オルフ:カルミナ・ブラーナ　指揮：オイゲン・ヨッフム　演奏：ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B002GKRTBK" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B002GKRTBK&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>【Amazonレビューより】<br />
比較のつもりで久し振りに聴いてみた、以前から所有しているこのヨッフム指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団盤の方が、我が小澤盤より、どう聴いても、明らかに出来が良いのだ。そこで、急遽、予定変更、このヨッフム盤の方のレビューを書く破目になってしまったというわけなのである。<br />
ヨッフム盤と小澤盤は、出だしの合唱の処理からして、全く異なっている。小澤盤が音をレガート気味に延ばしてくるのに対し、ヨッフム盤は、音を一音一音、明確に区切って発音させているのだ。この辺までは、合唱指揮者の範囲なのかもしれず、また、どちらが良いという問題でもないのだが、ヨッフム盤は、原始的で野性味に溢れており、小澤盤より全体で４分７秒も速く、荒々しく駆け抜けるようなドライブ感は、この曲の持つ魅力を余すところなく表現しており、やはり、この曲を代表する決定的名盤の評価にたがわぬ快演と認めざるを得ないのだ。<br />
ちなみに、ヨッフムは、この１９６７年１０月の演奏当時、まだ、６４歳。私にとって、ヨッフムは、朴訥とした風貌同様、晩年のブルックナーの交響曲での、質朴とした演奏をする指揮者というイメージが強かったのだが、この「カルミナ・ブラーナ」でのエネルギーに満ち溢れた熱い演奏を耳にすると、「ヨッフムは、こんな演奏もするのか！」と、新鮮な驚きを禁じ得ない。　<br />
</p>
<h3>§ おまけ</h3>
<p>多分、皆さんはこれもお好きなんじゃないかと思います。</p>
<p>今やアクション映画やドキュメンタリー番組の定番ですね。</p>
<p>最近ではオタクアニメの『エヴァゲリオン』でも使われて、そのオリジナル・サウンドトラックと思い込んでいる人もあるのではないでしょうか。</p>
<p>正解は、ヴェルディの『レクイエム』怒りの日です。</p>
<p>こちらはよりパッショネイトで、底から噴き上げるような感じです。</p>
<p>歌詞は、下記サイトを参照のこと。<br />
<a href="http://home.intercity.or.jp/users/mark/tohkoh/midi/diesirae.htm">「レクイエム（死者の為のミサ曲）」より 「Dies irae（怒りの日）」</a></p>
<div class="myvideo">Verdi -Requiem- Dies irae 『怒りの日』　指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン<br />
<p><a href="http://sanmarie.me/carmina_burana"><em>Click here to view the embedded video.</em></a></p></div>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B0000896M5&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="とっておきのクラシック(1)ヒッツ">とっておきのクラシック(1)ヒッツ</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B0000896M5" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B0000896M5&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>とりあえず上記の２曲が欲しいなら、このCDがおすすめ。<br />
「カルミナ・ブラーナ~おお,幸運の女神よ(オルフ) 」「レクイエム~怒りの日(ヴェルディ) 」「ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュウィン)」「ボレロ(ラヴェル)」「シェエラザード(リムスキー=コルサコフ) 」「誰も寝てはならぬ*トゥーランドット」といった人気の名曲が収録されています。<br />
</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/aw/rd.html?ie=UTF8&#038;dl=1&#038;uid=NULLGWDOCOMO&#038;lc=msn&#038;a=B00005F6HY&#038;at=ma046-22&#038;url=%2Fgp%2Faw%2Fd.html" alt="怒りの日">怒りの日</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ma046-22&#038;l=msn&#038;o=9&#038;a=B00005F6HY" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /><br />
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?o=9&amp;p=8&amp;l=as1&amp;asins=B00005F6HY&amp;t=ma046-22&amp;IS2=1&amp;fc1=000000&amp;lc1=0000FF&amp;bg1=FFFFFF&amp;lt1=_blank&amp;bc1=000000&amp;f=ifr" style="width: 120px; height: 240px;" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0" scrolling="no"></iframe></p>
<p>この系列が好きなら、怒りの日大全集CDがおすすめ。</p>
<p>1. レクイエムK.626~怒りの日(モーツァルト)<br />
2. 同~同(ヴェルディ)<br />
3. 同op.89~同(ドヴォルザーク)<br />
4. 同op.5~同(ベルリオーズ)<br />
5. パガニーニの主題による狂詩曲op.43~第7変奏-第10変奏(ラフマニノフ)<br />
6. 死の舞踏S.126(リスト)<br />
7. 交響詩「死の舞踏」op.40(サン=サーンス)<br />
8. 幻想交響曲op.14~第5楽章「ワルプルギスの夜の夢」(ベルリオーズ)<br />
9. グレゴリアン・チャント~怒りの日(第1旋法)<br />
10. ソレーム修道院の鐘の音</p>
<p>このCDは、私の妹が持っていたのですが、最後の「ソレームの鐘の音」が異様にコワイと言ってました。<br />
今やマーケットプレイスで8000円代ですか・・。溜め息です。<br />
</p>
<div id="attachment_10613" class="wp-caption aligncenter" style="width: 250px"><a href="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/11/lastjudgment.jpg" class="highslide-image" onclick="return hs.expand(this);"><img src="http://sanmarie.me/sanmarie/wp-content/uploads/2008/11/lastjudgment-240x270.jpg" alt="ミケランジェロ『最後の審判』" width="240" height="270" class="size-medium wp-image-10613" /></a><p class="wp-caption-text">ミケランジェロ『最後の審判』</p></div>

<a href="http://twitter.com/?status=RT+%40sanmariecom%3A+%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%95%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E3%80%8E%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%80%8F+%2F+Fortuna+Imperatrix+Mundi+%EF%BC%8D%E3%81%8A%E3%81%8A%E9%81%8B%E5%91%BD%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%A5%9E%E3%82%88+-+sanmarie%2Acom+http%3A%2F%2Ftinyurl.com%2F23letzb" class="tweet-this" ><div align="right"><img src="http://www.sanmarie.me/sanmarie/wp-content/plugins/simple-tweet/img/tweet.gif" title="ツイート" alt="ツイート" />ツイート</div></a>]]></content:encoded>
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